第3話 黒い霧
第3話 黒い霧
サトルは「皆、大丈夫か」と声をかけ、全員を見る。前より厚くした土の障壁を作る。
キックボードからナビ(スマホ)を取り出し
「ナビ、キックボード遠隔操作して、開拓村を画面に映し出して」
「了解」キックボードが開拓村に飛んで行く。
サトルは、三日月に見て(大丈夫そうだな)と思い声をかける
「三日月」
「はい、お使い様、あの・・」
「事情は後で聞く、仲間をこちらに呼び寄せて、この辺りは危険だ」
少し迷いながら「はい」答え、火魔法で合図を打ち上げる。
サトルは、スマホの画面から流れてくる動画を見る。
コトリが見ようしているので、コトリの目線に合わせるため座る。
三日月は遠慮気味に肩越しから見ている。
フォレストウルフを先頭に、ゴブリン、オーク、オーガが黒い霧から逃げるようにこちらに向かってくる。
サトリは、土魔法を唱え自分達を囲むように5mの高さの壁を作る。
「アップル、護衛モード」
アップル「了解」言って飛び立ち壁の周囲を旋回しながら、ウルフ、ゴブリンには鋼鉄弾、オーク、オーガには徹甲弾で倒して行く。
スマホの画面から開拓村が黒い霧で覆われ、人が倒れているのが見える。
「オーナー、黒い霧は毒です。
この壁に蓋をして、霧が入らないようにしてくだい」
サトルはナビの進言に従い、土魔法で壁に蓋する、同時ライトの魔法を唱える。
アップルから念話が届く。
『港町方向から2名、王都方向から1名こちらに来ます、2名の方は、このまま進むと魔物と鉢合わせします』
サトルは、間髪入れず
『アップル、こちらに戻り、三日月を乗せ2名を先に救出後、残り1名を救出』
アップルは、キックボードに椅子4つつけた形でサトルの元に転移してくる。
サトルは、有無を言わせない口調で
「三日月、君の仲間がこちらに来ようとしている、アップルに乗って助けに行ってくれ」
「はい、お使い様」三日月は1番先の椅子に座る。
サトルは、椅子に座った三日月に
「アップルが仲間の所で飛んでいく、君は仲間に『乗れ』と言うだけで良い、後はアップルに任せれば良い」
三日月は信頼した様子で「はい」と答える。
「よし、行けアップル」
アップルは「了解」と答え、2名の所まで転移する。
サトルは、再び画面に目を移し、開拓村を過ぎた辺りの先に、旅客機程の大きさの蝶のよう魔物の後ろからドラゴンが出すブレスが蝶の魔物の脇に通り過ぎるのが見える。蝶の魔物は、右、左、上、下と不規則に飛びブレスを交わしながら、
ドラゴンの後ろにまわろうとしている。
サトルは、開拓村を救うにはあの魔物達の情報がないと手の打ちようが無いと思いナビに問いかける。
「ナビ、あの魔物の正体は、わかるか?」
「分かりせん、アップルも分からないそうです」
『オーナー、世界管理者に問い合わせてみます』
『頼むナビ』
ナビは、念話で世界管理者に連絡を取り始めた。
アップルが転移してくる。
三日月達はアップルから降りて、サトリの前に片膝をつく、三日月が
「お使い様、皐月、楓、向日葵でございます」
サトルは、跪つかれてちょと嫌だと思いながら
「三日月、仲間はこれだけか?」
三日月は、すまなさそうに
「後、桜、ツツジが開拓村を偵察に行っています」
サトルは、不味いと思いナビに指示する。
「ナビ、アップルは2人を探せ」
ナビは、キックボードに転移する、アップルも開拓村付近に転移し捜索を開始する。
サトルは、三日月達に分かっている事を話す。
「今わかるのは、あの黒い霧は毒だ。開拓村南側の上空ではゴールド級の魔物が格闘している。君たちの仲間を助けた後どうしたら良いか、今はわからない」
今の話を聞いていたコトリが、
「お兄ちゃん、開拓村のひとたちはどくで倒れいるでしょ、コトリどくにきく,くすりをもっているよ、これでたすけられるよね?」
サトルは思案顔で
「コトリは、みんなことを助けたいんだね、でもねナビもアップルもあの魔物を知らないと言うんだ、だからコトリの薬で助かるどうかもわからないんだよ」
「・・・でもね、でもね、たすけたい・・」涙をこぼしながら声が小さくなる。
そこにナビから念話が届く
『三日月さんの仲間と思われる2人と子供2人です、毒に侵されているようで動けないようです』
『ナビ戻ってきて俺がそこに行って、4人をアップルに乗せる、アップルは4人を護衛』『『了解』』
ナビがキックボードと共に転移してきた。
「オーナー、行くのは危険です」
「俺の状態異常耐性があるし、首から下を覆うレインコートの魔導具あるから大丈夫だよ」
ナビは困った様子で
「あの魔物は、この世界のものではありません、オーナーのスキルが効く保証がありません。魔導具も絶対安全と言えません。オーナーを行かせません」
ナビの断固とした物言いに、
「ナビ、それでも行く」サトルは、魔導具を起動しゴーグルをかけ、世界樹のシーツを切り裂いて口を覆うする。
その時、三日月の声が響く
「お使い様、私の部下です、私が行きます。私が行かないといけないんです」
ナビが同調し、諭すように
「オーナー、落ち着いてください。三日月さんに任せましょう」
サトルは三日月の顔が女から男に変わったように見えて
「分かったよ、ナビ」
サトルは、三日月に向かい、レインコートの魔導具、ゴーグル、切り裂いた手拭い状の布を渡す。
「三日月、レインコートの魔導具を腕につけ、装着と唱えて」
「はい、装着」
「これで首から下は、体に密着した結界LV1で保護される。
後は、ゴーグルを掛け、この布で口を覆って、少しは毒に防げると思う。
頑張って」
「はい、お使い様」
三日月は、ナビに乗り逃げ遅れた仲間の元に転移する。
サトルは、受け入れる準備を始める。
コトリは、サトルの悔しそうな顔を見て(お兄ちゃんも私と同じ悔しいだ。でも、お兄ちゃんは、立ち止まらないんだ。私も今できること考えよう)