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第16話 銀龍再び

第16話 銀龍再び


ここは、シーガスに向かう船の中

三日月はサトル達の部屋をノックする。

「どうぞ」の声で三日月はドアを開け驚く。

「カロンさん、この部屋、昨日と全然違う、どうなっているの?」

サトルは、(驚いただろう)と思いながらも、何食わぬ顔で

「コトリが、臭いと言うので色々改造した、だけ」

三日月は、言葉は謙虚だが自信満々のサトルに

「だけ、だけて、カビ臭い黒い壁も天井も床も綺麗になっているし、ベットも家具も無い、

空気は森の中にいるようだし、何より浮き板に座って浮いて朝食を食べているの?」

「お姉ちゃん、お兄ちゃんに頼んでこの部屋みたいにして貰えばいいと思うの」

三日月は縋るよう表情で

「カロンさん、ぜひ是非、お願いします」

「旅の商人カロンとして、代金は2部屋で負けて金貨10枚でいかがですお嬢様」

「えーお金取るの」

サトルは、ニヤついて

「はい、昨日から商人カロンですから」

コトリが助け舟出す

「お兄ちゃん、めー、コトリの遊び相手にひどい事はだめ」

「コトリちゃんがこう言うので今回はただにしますよ」

三日月は、コトリ様の遊び相手だったの嬉しいような、なんかモヤモヤする。

「お兄ちゃん、お姉ちゃんの食事を出してね」

三日月はやさしいな思う。

「コトリちゃん、ありがとう、でも、私だけ美味しい物を食べるわけには」

「三日月お姉ちゃん達は、自分が部屋を改造している間に食べてもらおうと思うけど、コトリちゃんこれで良いよね」

「お兄ちゃん、優しくて好き」

サトルは、ドヤ顔で三日月の顔を見る。

三日月は、お使い様は偶に意地悪する、それだけ距離が近くなったと思った。

サトル達は、朝食を食べ終わり、新たに浮く板を何枚かだし、三日月達の朝食を

作った。

三日月達はこのハムエッグ美味しい、ふわふわパン最高と言って食べていた。

サトルは、ドアを開けると、

三日月達は浮く板に跨がったコトリの板を押して部屋の中を行ったり来たりしてい。コトリはキャ〜キャーと言いながらはしゃいでいる。

「コトリちゃん、新しい遊びなの?」

「うん、今度、プルちゃんに海の上を引っ張ってもらうの」

「そんな楽しい事は、ダメです」

「えーダメなの、楽しいのに」

皐月がツッコミ入れる。

「カロンさん、楽しのにダメなんです?」

「えーそんな事を言った?心の声が漏れたか?」

「言い直します、危ないでしょう、それと人目に触れると面倒な事になるからダメです」

サトルは、戯ける様に

「お嬢様方、部屋の用意が出来ました。

部屋全てとベットと家具は、洗浄と浄化を3回施し、新造当時に戻りました。

空気清浄機の魔導具を取り付け、あの澱んだ空気は森林の空気になりました。

ご満足頂きる出来です、どうぞ、お部屋に戻りお確かめ下さい」

「三日月が空気清浄機の魔導具というのは?」

「三日月お嬢様、良い質問です。私めの渾身の出来です。

風魔法で空気を吸い込み浄化魔法で空気を綺麗にしてから空気を噴き出します」

三日月がきもいと思い

「カロンさん、その気持ちわる喋り方、やめて下さい」

サトルは

「残念、良きにはからえとか言って、遊びに付き合って欲しかった。俺は、泣く。

えーんえーん」

「お兄ちゃん、気持ちわるいの」

「じゃ、冗談はやめてと。綺麗になったよ」

三日月は、お使い様の性格がわから無くなった。

「とりあえず、ありがとう。部屋を見にいきましょう」

コトリがヘンなのと思いながら、サトルを見ていた。

時間は、昼。サトル達は後部甲板で車座になり、焼きそばパンと冷たい紅茶で昼飯を食べている。

コトリは、紅茶を1口飲み、お腹をさすり、

「お兄ちゃん、お腹一杯」と言って残り3分の1になったパンをサトルに向ける。

サトルは、パンを受け取り、食べる。

後ろからサトルに声をかける人がいる、サトリは振り向き立ち上がる。

黒く日焼けした、逞しい体の男が

「お前が、旅の商人カロンか?」

「はい、商人のカロンです、この子は妹のコトリ、あの女性達は、コトリの遊び相手です」

ゴバンは、遊び相手?変な紹介をするなと思いながら

「俺は、この船の船長ゴバンだ」と分厚い手を出す。

サトルも、手を出し握手する。

ゴバンは、手を握った瞬間、オーラを感じサトルの目を凝視する、ゴバンは長年の経験から立ち振る舞いはただの若い商人、だが得体が知れない老練さをも感じる。

「お前達の部屋を綺麗にしたのは、お前か?」

サトルは、得意げに答える。

「はい、そうです。苦労しました」

「その割には呑気に昼飯を食っているな。まあ良い、1部屋綺麗にする料金は幾らになる?」

「部屋と家具の洗浄が金貨1枚、空気を綺麗にする魔導具金貨4枚計金貨5枚になります」

「随分高いな、金貨3枚に負けろ」

「船長、1等客室3部屋の洗浄費はタダですよ、これでもサービス価格です」

「ばか、お前が勝手にやった事だろ、サービスに入らんわ」

「気が付きました、最新式空気清浄機の魔導具を大銀貨5枚値引きでどうですか」

「部屋の洗浄も大銀貨5枚に負けろ、計金貨4枚でどうだ」

「船長さんには敵いません、金貨4枚で、貴重品を置か無いようにして下さい」

「分かった、用意ができたら、誰か呼びに行かせる」

ゴバンは、歩きながら(俺の威圧を軽く受け流しやがった、かなり危険な戦場に立った経験があるな、油断ならない)と思った。

交渉の様子を見ていた、三日月が呆れた顔で

「カロンさん、随分儲けたでしょう」

サトルは自慢げに

「そんな事は、あるな」

サトルの答えに顔を見合わせ大笑いする。

サトルとコトリは、船員に案内され洗浄する部屋に入る。

部屋に入った瞬間やられたと思った、サトルの部屋の3倍の大きさの船長室だった。

船員がサトルの顔を見て笑う。

「カロンさん、船長に一杯食わされたでしょう」

「やられたよ、ただ、商談は成立した後だから仕事をするよ」

「この船は、商船だから船長には商才がある者が選ばれんるですぜ」

「ああ、勉強になったよ、仕事はきっちりやると船長に言ってくれ」

サトルは、コトリに洗浄魔法を教えながら部屋を綺麗にする。

仕事が終わり備つけの椅子にコトリと冷たい紅茶を飲んでいる。

船長が笑いながら入ってくる。

「随分時間がかかったな、おお良い出来だ」

「まあね、酒とタバコの匂いが染み込んでいて苦労したよ」

「カロン代金の金貨4枚だ」

「確かに。空気清浄機は能力を2倍にしておいたよ」

「それは、サービスだよな」

「今回は、船長を甘く見た俺の自業自得と言うことだな」

船長は笑いながら

「船員達の部屋も頼むよ」

「こちらの、商売だから受けるよ、ただし、部屋を見てからね」

船長は大笑いし、サトルは苦笑いをする。

サトルは、船員の部屋と食堂を洗浄、空気清浄機を合わせて金貨28枚で請け負った。さらに1等客室の空気清浄機3台を金貨10枚で売った。

船長は「四往復で元が取れそうだ」笑っていた。

次の日サトルは、三日月達6人を金貨6枚とケーキで雇い、1日中洗浄した。

サトルの部屋で全員で朝食を食べている。コトリがふと

「お兄ちゃん、シーガスには何時つくの」

「今日で四日目だから、明日にはつくと思うよ」

コトリは腕を組んでいる、サトルは「どうしたの」と声をかける

「コトリ、今日は何して遊ぼうか考えているの」

「お魚を釣ってみるか」

「よく分からないけどやって見たい」

サトルは、釣竿を作り、糸巻きグモの糸を釣り糸にする、錘代わりによく磨いた鉄をつけた。三日月達もやりたいと言うの同じ物を作った。

コトリは、最初の1匹を釣り上げた時は、大騒ぎした。

1時間で、1人1〜2匹のすずきに似た魚を釣り上げた。


突然、ナビから念話が届く

『オーナー、海中から巨大な魔力、距離は5km弱、この船に向かって来ます』

サトルは、振り返り大声で近くいた船員に

「船長に伝えろ、魔物がこの船に向かっている、早くしろ」

サトルは、コトリ達に

「みんな、竿を捨てて、いつでも結界を張る準備しろ」

ゴバンが走って海上見て、

「カロン、何も見えないが」

「魔力感知で捉えた。海中から巨大な魔力がこちらに向かって来ている、魔力の大きさからゴールド級の可能性がある。魔術師はいるか、武器はあるか?」

「魔術師は、いるが攻撃魔法はファイアボールとアロー、武器はバリスタが1台」

「進路を変えて、交わすしかないか。船長指示を」

ゴバンは、半信半疑ながら面舵の指示をする。船は右方向に向かう。

ドーンと音がして、巨体が海から飛び出し背中から大きな水柱が空に向かう。

ゴバンは巨大なクジラの魔物を見て叫ぶ。

「ホワイトグラージ、なんでこんな南に!」

サトルはナビとアップルに同時に念話を送る

『船の進行方向の逆から全力攻撃、船から引き離せ』

『『了解』』2人はサトルから姿を隠し飛び出す。

「コトリちゃん、三日月、桜、ツツジ、皐月、楓、向日葵、最悪の場合アップルに乗って逃げてもらう、必要な物はこのアイテムバックに入れてある、三日月受け取れ」三日月はサトルの真剣な目を見て、無言で受け取る。

コトリは、サトルでもあの魔物を倒せない分かっている。涙が

「お兄ちゃん、おに・・・い」サトルは、コトリの頭を撫ぜながら

「コトリちゃん、俺にはナビが付いている」

「ゴバン、魔物の特徴、弱点と攻撃スキルを教えろ」

「カロンお前、戦う気か」

「家族を守る為ならなんでもする、でも戦って勝てない、みんなが助かる方法を

考える、だから教えろ」

サトルは、グラージがまだこちらに向かって来るを見て。

「ゴルバ、取り舵を指示しろ」「とりーかじー一杯」

「ゴルバ、教えろ」

「白い巨体、全長約30m、姿はクジラに似ている。火魔法が弱点だがファイアサイクロを数発撃っても嫌がるだけだった。水魔法が得意だ、兎に角1発がでかい。

巨体で体当たり、大きな口で船を齧り破壊する」

「ゴルバ、油はないか」

「料理油とランプ用が計10樽ある」

「ここに持って来させろ、俺は投石機を作る。あと乗客に海へ逃げる準備をさせろ」ゴルバがは船員達に指示する。

ナビ達は、グラージに徹甲弾、石の槍を次々と打ち込み自分達に注意が向くよにする。

ナビは(オーナーは諦めない、今度は手足だけでは済まない。デカブツ、ナビが相手だ。こっち来い)

アップルは(くそ、あの時に強力な攻撃魔法を貰っておけば。サトルの言葉が蘇る。強い力は身を滅ぼす。アップルお前の知恵と力で遊んで来い)

アップルは念話でナビに呼びかける。

『ナビ、クジラの正面から見て左側の目を狙う、合わせろ』『了解』

アップル達は一旦上昇に左目に向かい、全力攻撃をする。

グラージは、気にせず船に向かう。

その時、水平回転してきたアップルのテール角を目にぶつかる、反動でアップルはふっとんでいく、続いてナビのテールが目にぶつける。ナビも錐揉状態で飛んで行く。

ナビ達はバランスを取り戻して、グラージを見ると船まで100m迫っている。

サトルは、シーソー式の投石機をつく上げ、樽の栓の代わりに油染み込ませた布を差し込む。

三日月達に指示する

「俺が合図したら、身体強化をかけ2人1組身で樽の反対側の板に飛び降りろ」

「「了解」」

ナビ達に念話で呼びかける

『ナビ、樽が飛んできたらグラージの口に向かうよう軌道調整しろ。

アップルはナビとタイミング合わせ空いた口に全力攻撃』

グラージは、船を噛みちぎろうと口を開ける。

サトルは、30mにグラージが迫った時、「今」と合図する。

三日月と桜は高く飛び上がり、落下の勢いで強く板を踏み込む。

樽は放物線を描き、グラージに迫る、ナビは樽を叩き口に押し込む同時に空気圧縮弾付き徹甲弾を撃つ、グラージの口の中で油が燃え出す、アップルも攻撃する。

この攻撃で、グラージは止まる。

サトル達は次々と樽をグラージに打ちこむ。グラージは口を閉じ顔が油で燃えるが、海に潜り火を消してしまう。

グラージが船に向かって動き出す。

『アップル、もう手がない、コトリと三日月達の救出を頼む』

「ゴルバ、もう手がない。全員船首に向かい飛び降りろ」

「カロンは、どうする」「俺も行くから、指示しろ」

グラージが船にぶつかろうと迫って来た時、グラージの頭に銀色の槍が1本、2本

と突き刺さる。

太陽から銀色のドラゴンが急降下しグラージに刺さった槍を足で踏み込む。

全長2mの2本の槍は、グラージの脳と魔結晶を貫き絶命させる。

船にいる全員は、この光景を見てただ立ち止まり、ドラゴンを見ている。

銀龍は船の上を旋回し、雄叫びをあげる。

その声で我に帰った、サトルは、銀龍に向かって。

「銀龍、借りを返しに来たか、ありがとう」と手を振る、コトリ達も手を振る。

銀龍は、再び雄叫びを上げ、オデリア大陸の方向に飛んで行く。

船全体が歓喜に包まれている、ゴルバが笑いながら

「カロン、グラージが何者かに攻撃されていたのを見たよ。随分と訳ありだな」

サトルは、笑顔を返し

「まあな、俺は、旅の商人を続けたいんだ、グラージは銀龍が倒した、倒すまで何があったかは秘密にしておいてくれ、当然俺たちの名前も」

「ああ、わかったよ、船員にも言っておく。最初、握手した時に俺の威圧を簡単に受け流した時に訳ありと感じていたよ。ここまでとは想像できなかったがな。

あと、見事な指揮だった、じゃな」

コトリが足に抱きついてきた。

「お兄ちゃん、コトリは・・」

サトルは笑顔をコトリ達に向ける

「コトリちゃん、みんなで、ケーキを食べよう」

ゴルバは操舵室に戻りながら(精霊様のお使い様か、12人エルフの母親を率いてネグロ軍を殲滅、毒に侵された100人を超える村人を助け、銀龍を撃退、その銀龍に助けられるか)カロンも偽名なんだろうな。

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