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第15話 誠実の門 アリスとミツバ

第15話 誠実の門 アリスとミツバ


宿を出ると三日月達が待っていた。

三日月が、コトリの手を繋ぎ

「お使い様、行きましょうか、船はこちらです」

(見送りしてくれるのかな)

「三日月、ありがとう」

桟橋に着くと三角帆付けたこの世界では、中々良い船が見える。

船の渡り板の前にいる商人?に切符見せる。

「シーガス行き間違い無しと1等の2人部屋のお客様、渡り板に気つけてください。船に乗りましたら船員がお部屋まで案内します」

コトリと手を繋なごうと振るかえると三日月がコトリを連れてくる。

「三日月なんで」

「お兄ちゃん、立ち止まると迷惑でしょ」

船員が「可愛いお嬢さんの言う通りですぜ、進んで、

お客の部屋はこちらです、食堂はあの階段を降りてすぐ、料金は別です」

サトルは、2人部屋に入る。コトリは、隣の三日月の部屋に入っていった。

(参ったな、三日月達もオデリア大陸に行くのか)

ノックがして、部屋にコトリと三日月が入ってくる。

コトリが笑いながら

「お兄ちゃん、驚いた?ごめんなさい」

「凄く、驚いた。渡り板にいた三日月を見た時に頭が???になった」

三日月が説明し始める

「昨夜、繋ぎの者が来まして、ハイエルフ国の調査を命じられました。

と言うことで、ハイエルフ国にご一緒します」

「三日月、随分と端折った説明ありがとう、訂正を一つ。ハイエルフ国には、いきません」

今度は、三日月が驚いた。

「えー、なぜ、どうして」

「端折って説明すると、アルス王女達に会って、関わると面倒な予感がするから後、狭い船内、誰が聞いている分からないから、名前は旅の商人カロンで、コトリ様はコトリちゃんでお願い」

「端折っていないような、名前の件を含め分かりました。

でも、カロンさん世界樹に行くんでしょう、ハイエルフ国からしか道はありませんよ」

「俺達には、強い味方がいるから大丈夫。なあ、ナビ、アップル」

サトルからナビとアップルの声が『『任せなさい』』

とう言う事で飛んでいきます」

三日月が鳴き真似をして

「悲しいです、シーガスについた途端、お別れなんて、一緒にハイエルフ国に行来ましょう」

「俺も悲しいよ、でもロジネさんに頼まれ物が有ってねドワーフ国に行かないといけないんだ。

冗談もこの辺して、仲良くシーガスまで旅をしようか」

「はい、カロンさん。コトリちゃん、私達の部屋に遊びに来てね」

「うん、わかったの」

サトルは、コップに冷たい水を入れて渡す

「コトリちゃん、歩いてのどが乾いただろ、冷たいお水だよ」

「うん、ありがとうなの」

「船が動き出したら、甲板に行こう、町が小さくなって行くのが見えるよ」

「うん、楽しみ」

ここはクローバー王国、誠実の門の近く

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

アリス王女の一行は、昼少し前に誠実の門が見える所まで来た。

カルム副近衛隊長は、手を挙げ太い声で

「ぜんたーい、止まれ」

隊列の前から乱れなく止まる。

カルムは、馬を返しアリスの馬車に行き、片膝を立て

「アリス王女様、誠実の門に到着いたしました」

「カルム隊長、ご苦労様」

「アリス王女様、ここで昼食を取り、誠実の門の先に行かれてはと思います」

「では、そのように」

「昼食の準備が整いましたらお向かいにあがります」

輜重部隊が、アリスの昼食用テントを張り、料理を始める。

アリス達は昼食が終わり、食後のお茶を飲んでいる。

カルムは、共の2名を連れて、3人は片膝を立てる。

「アリス王女様、我が国は、今は、あの門をくぐることはできません。

そこで、他国の冒険者2名が道案内をいたします。

「キリガンとリッキーです」

「初めてお目通りさせて頂きます、冒険者のキリガンと申します、無作法は平にご容赦ください」

「同じく、リッキーと申します」

王女の代わりにカーラーが答える

「キリガンさん、リッキーさん道案内を頼みますよ」

「はい、我らにお任せください」

「この後の道順はどうなるですか?」

ここから半日程度でミドロバ村に着きます、ここで1泊する予定です。

次のアカロバ村には2、3日かかります」

「アリス王女様、出発の準備をいたしましょう」

ミツバとカンナの子供2人は、タミラとロジーナとの月1度の情報交換と食料、衣服、日用品の援助の依頼をして、ひとまず安心する。

今は、慰霊碑の掃除を済ませ、転移ゲートがある元集会所に向かっている。

ミツバが気がつく

「カンナさん、馬車の音が聞こえます」

カンナは耳すまし

「はい、聞こえます。嫌な予感がします」

「集会場の転移ゲートを知られる訳にいきません。子供達を連れて、一先ず世界樹の結界の中に避難して」

「ミツバさんは、どうするつもりですか?」

「話をします、アカロバ村をはじめエルフ族に危険な存在か見極めます」

「では、子供達を避難させた後、弓で遠距離から援護します」

ミツバは、ミドロバ村の広場に立ち侵入者を待つ。

すぐに、村の入り口に6名の護衛と思われる者と立派な馬車が現れる。


ゆっくりと近づく一団にミツバは力強い声で誰何する。

「ミドロバ村に何用か?名を名乗れ」

ジャクソンは前に出て

「我は、ハイエルフ国第3王女アリス様の護衛隊長ジャクソンである」

「貴女はミドロバ村に者か」

「そうだ、何用か」

「今、アリス王女様がこちらに来れられる」

馬車からアリス、カーラー、エイミーが出てくる。

アリスは、静かな声で

「私は、ハイエルフ国第3王女アリスです。あなたのお名前は」

ミツバはアリスを見て、コトリと同じか少し年下ぐらいか?

「ミドロバ村村長亡きクロバの娘、ミツバですわ」

カーラーが横から

「王女の前です、膝をつきなさい」

ミツバは呆れる。

「エルフには上下はありません、能力に見合った役があるだけですよ。勘違いをしないよう、ご忠告しますわ」

アリスは、またかと思い

「カーラー、控えなさい」

「ミツバさん、私はハイエルフ国王カリスタの命を受け、精霊様のお使い様をわが国にご招待したく、この地に来ました。お使い様の所在をご存じありませんか?」

ミツバは、わざわざ遠い所からお使い様を探しにきた事を不思議に思った。

「お使い様は、すでに旅立ちました。精霊のお導きがあれば、ハイエルフ国に参られると思いますよ」

「お使い様のお名前、お姿、人柄等教えて頂けませんでしょうか?」

ミツバは、どうしても探すつもりなのか?縁があればお使い様自ら現れると言うのに。待てない理由でもあるのか?

「お使い様は、命を蔑ろにする者、命を粗末にする者、理不尽な行いをする者には、厳しいお方です。普段はとても優しい方ですよ。

名前、姿は教える事はできませんわ」

アリスは、これでは、スミルの時と一緒ではないかと焦る。

「それは、どうしてですか?」

ミツバは、アリスに引いて欲しかった。

「お使い様を、悪意ある者から守るためですわ」

アリスは、

「どうしても、お聞きしたのですが?」

「お断りします」

この声を聞いたカーラーは、

「ジャクソン、捕まえて、吐かせなさい」

アリスは止めなければいけなかったが、毒の騒動から何一つ上手く行かない事で正常な判断が出来無くなっていた。

ジャクソン達は、脅しのつもりで長剣を抜き、ミツバに迫る。

ミツバは、結界を張り、魔道具の槍を取り出し構える。

それを見たジャクソン達は、反射的に剣を上段に構え切りかかる。

ミツバは、身体強化を掛け、槍で剣を受け流し石突でジャクソンの腹を打つ。

ジャクソンはもんどりうって転がる。

護衛3名の足元に空気圧縮弾が破裂する。護衛達は、何処から攻撃をしているか分からず、動けなくなる。

ミツバは呼吸を整え、諭すように

「アリス、この大陸のエルフと戦争をするつもりですか?ここで剣を収めれば不問とします、続けるのであれば、貴方達はオデリアの大地を踏めないでしょう」

侍女のエイミーが

「剣を納めなさい。侍女が勝手な命令を出した為、このような事態になり申し訳ありません」

空気が止まる。

リッキーこと力雲が

「あなたが有名な12人のリーダーですか?さすが500人の兵隊を前に一歩も引かず殲滅した力、いい物を見た」

ミツバは、アリスを引かせる為、あえて力雲の話に乗る事にした。

「有名かどうか知りませんが、お使い様が勇気、訓練、この槍を頂いたおかげですわ」

力雲が

「案内人としては、引き上げたいと思いますが、アリス王女様」

アリスは知っている。あの槍は、結界LV4も貫く魔導槍。引くしかない。

「ミツバさん、ごめんなさい、私達は引き返します」

ジャクソン達護衛は、本気の剣でなかったが、ミツバ達に圧倒された事を恥じる。

アリスは、失意が心を刺す、目から涙が零れる。

カーラーは下向き、唇が緩む。

アリス達は、目的叶わず、重い足を引きづり、帰っていく。

カレンは、アリス達が引き上げるのを確認してミツバの元にいく。

「ミツバさん、大変でしたね」

「本当に。サトルさんとの対人訓練がこんなに役に立つとは」

「王女の護衛は、腕の立つ者を選んだはずなのにね」

「カレンさんの援護も素晴らしかった。3人は一歩も動けませんでした」

「ハイエルフ国に何が起こっているんでしょうか?」

「王女達の行いを見ると、いい話では無いでしょう。サトルさんとコトリが心配です」

「もう一度、慰霊碑に旅の無事を祈りましょう」


ミツバが祈りを終え振り返ると、力雲が片膝をつきショートソードを両手で捧げるように持っている。

力雲が

「ミツバ様、私はマハード元帥の配下者の力雲と申します、アリス王女の監視をしております。

またお使い様よリ、このショートソードを頂いた者、怪しい者ではありません」

ミツバは、剣の四つ葉のマークを確認する。

「それで、力雲さん、何ようですか?」

「はい、お使い様と巫女様は今日船に乗りオデリア大陸のシーガスに向かいました。お二人ともお元気です」

「ありがとう、力雲さん」

力雲は、解毒薬を5本取り出す。

「黒い蝶こと不死蝶の解毒薬です、念の為納めてください。尚この薬は巫女様がお作りなりました」

「エルフ族には人的被害ありませんでしたが、畑など壊滅しました。この薬はありがたく、頂戴しますわ」

「では、失礼します」

ミツバは去って行く、力雲を見ながら

「コトリが解毒薬を作るとは驚きです、コトリも成長しているんですね」


ミツバはコトリを思いながら集会所に向けて歩き始める。

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