第14話 シーガス行きの船を待つ間に
第14話 シーガス行きの船を待つ間に
ここは、港町トミラ
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サトル達は、朝食を済ませて、サトルの部屋に集まる。
サトルがすまなさそうに声をかける。
「コトリちゃん、訓練をしたいんだ。お姉さん達と町を見物したり、美味しい物の食べ歩きをして欲しいんだよ、良いかな?」
「うん、いいよ。とっくんだね」
「三日月頼めるか」
三日月は、どうんな訓練をするのか興味が湧く
「はい、お任せください、ツツジ、皐月、楓、向日葵、コトリ様のお相手をして」
サトルは不思議に思い。
「三日月と桜は、なんか用事があるの?」
三日月は、したり顔で
「当然、お使い様の監視です」
サトルは三日月が堂々と監視の言葉を使った事に(開き直ったか)と思った。
サトルは、ツツジ達に金貨1枚を渡す。
「ナビ、姿を隠して、コトリちゃんの護衛を頼む」
「了解」
サトルは、三日月達と門をでて人影ない事を確認してアップルに乗って森へ転移した
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ここは王都
アリスは、ムーア国王に感謝の言葉を述べ、エルフ村に向け出発した。
アリスを護衛するのは、アリス配下4名に加え、近衛騎馬隊16名、魔法師5名、月光配下から冒険者を装った力雲、霧雨、計27名と輜重部隊。
ムーアは、アリス達を見送りながら、誰とは言わず話しかける。
「アリス王女達が急いで出発したな、ハイエルフ国では、一体何が起こっているのか?あれ程、本意隠し、お使い様の力を必要とする事がハイエルフ国で起きているか。我が国に影響ない事を願いたいものだ」
マハード達は答えに窮して、黙っている。
アリスは、王都の街並みを見ながら、お使い様の探す手がかりを見つけなければと決意する。
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森に転移したサトルは、木を切り、切り株を片付け、整地する。
三日月は、凄いスピードで広場が出来るのを唖然と見ている。
次にサトルは、左手で1mの土人形の的を作り、右手で徹甲弾を撃つ。
1秒毎に的が出る度に徹甲弾で破壊する。その様子を三日月達が興味深く見ている。
1時間経ち、小さい家とテーブルと椅子を出し休憩する。紅茶セット出すと桜が紅茶を入れる。
喉が渇いたサトルは、熱い紅茶を生活魔法で冷たくする。
それを見ていた桜が
「お使い様、前から不思議に思っていたんです、冷たい紅茶をどうしたら作れるのかを。その魔法を教えて欲しんですが?」
「良いよ、生活魔法L V2かな」
「はい」
「訓練すればできるよ、川に手を入れるどうなる」
「冷たいです」
「その水がどう冷たいのかをイメージしなから魔法を発動する事」
「やってみます」
桜は、サトルが休憩している間だ、何かぶつぶつ言いながら頑張っている。
「できました、お使い様、飲んだら熱くありません」
「残念、桜、それは温くなっただよ、魔素は集まっているけど、魔力に変換が出来ていないな。まず、魔力制御のスキルを上げよう」
「お使い様、どうすれば良いですか」
サトルは、紙飛行機を取り出す
「風魔法で、これを地面落ちないようにする事」
「あ、コトリ様がリバーシしながら飛ばしていたのは、魔力制御の訓練だったですか?」
「そうだよ、魔力制御のスキルが高ければ、新し魔法を覚え易くなり、既存魔法の応用ができるよ」
三日月も魔力制御の訓練すると言うので紙飛行機を渡した。
サトルは、土人形を動かしながら、徹甲弾を撃ったり、バリエーションを変えながら訓練をする。その他には鉄のインゴットで人形や花を作って土魔法のスキルレベルを上げる努力をする。
夕方まで訓練して、コトリと合流後、食堂で夕食を取り、風呂に入り一服している。
三日月が
「お使い様、シーガス行きの船が5日後に出るそうです、切符を取りましょうか?」
「切符売り場を教えて、勉強の為に俺が買いに行くよ」
「では、明日教えます、紙飛行機を後4つ下さい。全員訓練しますので」
「三日月達も冷たい紅茶が飲みたいの?」
「それもありますが、波及効果を期待しています」
その夜、リバーシをする声と頭の上で紙飛行機が飛び回った。
・
翌日、朝食が済み、三日月達の案内でシーガス行きの切符を買いに出かける。
専用の売り場があると思っていたが、商会で販売していた。大商会が商品運搬用の船に乗客を乗せているそうだ。
シーガスまで雑魚寝が1人金貨4枚だか、2人用個室を金貨16枚の切符にした。
サトルがコトリに聞く
「コトリちゃん、また訓練行くけど、コトリちゃんはお姉さん達と買い物をする?」
「お兄ちゃん、飽きたから、お兄ちゃんの訓練を見に行く」
「じゃ、そうするか、三日月達はどうする?」
三日月は、当然と言う顔で
「もちろん、ご一緒します、この2日体を動かしていないので私達も訓練します」
サトル達は、町を出て昨日の場所に転移する。
サトルは、休憩用に小さい家を2棟出し、外にもテーブルと椅子を2式出す。
訓練を始める。
ナビに乗り移動しながら、的を作り徹甲弾を撃つ。移動、的当てスピードも段々速くしていく。
三日月達は、紙飛行機を風魔法で操る訓練をしている。コトリも紙飛行機を飛ばし三日月達の紙飛行機の間を縫うように飛行させている。
コトリは、飛ばすだけで飽きて三日月の紙飛行機を的にコトリの紙飛行機の先端からウィンドウバレットを発射する。
三日月達は紙飛行機が急に落下し始めて首を傾げる。
コトリがいたずらが成功して笑っている。
休息時間、三日月達が紙飛行機の訓練の話をしている。
「なんか急に落ちるんだよね、魔力制御が甘いのかな」
「でも最初の30分は上手くいってたよね」
サトルが
「コトリちゃん、種明かしとごめんなさいしないとね」
コトリは(ばれていたの)と言う顔をして
「お姉ちゃん、ごめんなさい、コトリが紙飛行機から魔法を撃て落としていたの」
三日月が(えー)言う顔をして
「コトリちゃんそんなことができるの、やり方教えて」
「三日月お姉ちゃん、怒らないの」
「じゃ、(メーいたずらしたら直ぐごめんなさい)を言いなさい。結構悩みましたからね」
「で、やり方教えて」
「でも、お姉ちゃんにはまだ無理だと思うの、2つの動作ができるだけの魔力制御ができないとダメなの」
「どうすればいいの」
「うんとね、もっと色んな飛ばし方すればできるようになるよ」
三日月が色んな飛ばし方て何?て顔をしているので
サトルが助け舟を出す
「紙飛行機で鬼ごっこすれば良いよ、コトリちゃんが鬼でね」
「お兄ちゃん、鬼ごっこ楽しそう、お姉ちゃん達やろうね」
「はい、コトリちゃんを捕まえますからね、捕まえたら髪の秘密を教えてね」
「うん、良いよ」
その日、当然コトリの紙飛行機を捕まえることが出来なかった。
・
(船を待って2日目)
翌日、三日月達はコトリの紙飛行機を囲んで捕まえようとするが、ウインドウバレットで全機落とされた。三日月は気が付いた目的は魔力制御にレベルを上げる事。三日月達は正攻法に戻し実直に紙飛行機を追う事にした。
サトルは、なかなか土魔法のレベルが上がらないので、気分転換を兼ねて魔導具の攻撃力を上げることにした。
形状はショットガン、バレルを3段にして下側のバレルに魔結晶を入れ10個をいれ、上段、中段から同時に徹甲弾を打ち出す。
試して見たが結果的には、徹甲弾が同時2発出るだけで、打撃力は上がるが、貫通力は上がらない。
遊びでSPが携帯してるSIG P230をモデルに鋼鉄弾を発射する物と徹甲弾を発射する2種類を作る。銃把に2個の魔結晶入れてショートソードの2倍撃てるようにした。
この銃で的当てしていると、三日月が試したい言うので渡した。撃ちながら笑っているのが怖い。
昼食を取り、外のテーブルでみんなでお茶を飲んでいる。
サトルは、汚染したミスリルから毒を取り除く目的で土魔法のレベル上げをしている。
サトルは、考えいる(何をやってもレベルが上がらないな。土魔法で金属成形して銃もどきをつくたが、手応えが無い。訓練法のアイデアが尽きた。
ふと空を見るとコトリの紙飛行機がアップルを追いかけている。なぜアップルは飛べるか、地球では翼の形状で揚力を発生させ何かしらの推進力で飛んでいる。
この世界との違いは、魔素の扱い方。
薬瓶2本に魔素を注入する、2本の瓶を近づけると最初は反発して瓶がくるりと回るとくっつく。磁石のようだな。
瓶を板状にし手を離すと、くるっと回ってテーブルに落ちた。
磁石のような極性があるのか?テーブルに落ちた面を鉄で覆う。
手を離すと、鉄の面を上に浮かぶ。
じっとサトルのすることを見ていた三日月が
「浮きましたね」「浮いたね」
「どうして浮くんですか」「さあ、不思議だね」
コトリがニコニコと期待した顔サトルに向け
「お兄ちゃん、コトリ乗ってみたいの」
「乗ってみるか」
サトルは長さ60cm幅30cmに 拡大コピーする。
サトルがコトリの手を繋ぐと、コトリは片足づつ板に乗る。
コトリが乗っても10cm浮上しているがコトリの重心がずれると傾き落ちそうになる。
「お兄ちゃん、コトリが動いても大丈夫に出来る?」
「新しい訓練方法も思いつかなし、やってみるよ。待っている間お姉さん達と鬼ごっこしてね」
「うん、わかった」
サトルは、浮く板と同一構造の長さ15cm幅5cm高さ5cmの板を4つコピーして
魔素収集魔法陣とゴミ箱機能を付ける。これを浮く板の両サイドに2個ずつ固定化魔法で取りつける。
浮く板に乗り、魔力制御で右に傾くと右の魔素を増やし、前側傾くと前側2個の魔素を増やす。バランスを取り戻すと魔素をゴミ箱に入れる。
時間を掛けて、取り込む魔素量の調整をする。
この結果を魔力制御の魔法陣に反映させ、制御魔法陣を両サイドにつける。
サトルは、2回目の休憩をしていたコトリを「できたよ」と呼ぶ。
コトリは嬉しそうに板に乗り、体を動かすがニコニコした顔から真顔に戻り、飛び跳ねたりする。
コトリは板から降りて「お兄ちゃん、つまんない、コトリが板を動かしたいのに」
「コトリが自分でバランス取りたいのか、もう1個出すから試して見て」
サトルは制御魔法陣を外した浮く板をコピーして、コトリの前に置く。
「コトリちゃん、魔力制御で、両側の魔素量を調整してバランスを取って見て」
コトリがヘルメット被り、板に乗り魔力制御を使いバランスを取り始める。
サトルは、思った(これって、ラノベのフローティングボードて事かな)
コトリは、夕方頃には、浮く板に乗りながら紙飛行機を飛ばしていた。
・
(船を待って3日目)
訓練所でコトリが提案する。
「三日月お姉ちゃん達、コトリが浮く板に乗りながら紙飛行機を飛ばすから捕まえてね」
「コトリ様、敵に塩を送るんですね、捕まえてみせます」
「コトリ、むずかし言葉は分からないけど、負けない」
昼前にコトリの紙飛行機が捕まった。
コトリは、ニコニコしながら
「捕まっちゃった、お兄ちゃんシャンプー貸して」
「コトリちゃん、敵に塩を送ったんだね、はい、どうぞ」
「うん、もうすぐお別れするから」
コトリは、三日月達を連れて家に入る。
・
三日月が家から出て来て、恥ずかしそうに
「お使い様、コトリ様からお使い様に髪を乾かしてもらうように言われて」
「じゃ、椅子に腰掛けて、風魔法で髪を乾かすから」
風が吹くシューと言う音がして髪が乾いていく。
「お使い様、この風魔法も魔力制御が高くないと出来ないんですか」
「そお、暖めた風を送っているからね、風を吹く、温める2つ同時に制御しないと」
「コトリ様は2つ同時に制御しているんですね」
「いや、完全じゃないが、今3つ出来るようになったよ」
「あー、そう言うことですか、私たちと遊びながら訓練していたんですね。
里の子供達にもこの遊びをさせたいのですが宜しいですか?」
「秘密では無いから、良いよ」
サトルは、この後、髪を洗った女性達の髪の毛を乾かす。
三日月達は、お互いの髪の毛を褒めあった。
昼食後、桜は紅茶を冷やそうと頑張っている。
コトリが期待込めて
「お兄ちゃん、浮く板にナビちゃんみたいなハンドルをつけて、浮く高さを半分にして、欲しいの」
「コトリちゃん、ナビの真似をあの板でするの」
「うん、楽しそうなの」
サトルは、高さを半分するには、本体の魔素量を減らせば良いか、あー増えせば高く上がる、後で試してみよう。
サトルは、本体を50cmにしてハンドルポールを取りつけ、魔素量を調整して浮く高さを5cmにする。
本体後ろに、鉄の熊手を取り付け踏むと地面に噛むブレーキをつけた。
「コトリちゃんできたよ」
「お兄ちゃんありがとう、小さくなって乗りやすそうなの」
「後ろの板を踏むと止まるからね。最初は、スピードを出したらダメだからね」
「うん、わかった。しゅっぱつーしんこうー」
コトリは左足で地面を蹴り、滑るように進んでいく。
サトルは、最初の浮く板を取り出し本体に魔素収集魔法陣とハンドルポールを取りける。魔素量を調整しながら、高度限界を確認する。
三日月達は、コトリの魔導キックボードを見ながら魔力制御の訓練をする。
(船を待って4日目)
コトリは、鬼ごっこして三日月達の魔力制御の訓練の手伝いをしている。
サトルは、魔導具キックボードに高度制御魔法陣と一体化魔法陣を取り付ける。安定したところで、両サイドに風魔法で風を噴射する魔導具を取り付け飛行テストをする。
昼食後、桜が声を上げる
「できた、紅茶が冷たくなった。お使い様できました」
「桜、飲んでみてもいいか?」
「はい、出来上がりを試してください」
サトルは、期待に満ちた桜の目を見ながら飲んでみる。
「うーん、うまい、良い感じで冷えている、桜、よく頑張ったね」
「お使い様、コトリ様ありがとう」
コトリが、よしよしと桜の頭をなぜる。
三日月達は、桜にやり方を教えてもらっている。
三日月達が紅茶を冷やす事が出来るのはもう少しかかりそうだ。
三日月が魔導キックボードで飛んでみたいと言うので高さ1m に制限した物を作り渡した。
三日月達は、きゃーきゃーと騒ぎながら飛んでいる。
コトリがサトルの袖を引っ張り
「コトリのキックボードも飛びたいの」
コトリに甘いサトルは、高さ50cm制限した物を渡そうとするが
「お兄ちゃん、1mにして」と上目遣いされたが
「コトリちゃん、50cmに慣れたらね」
コトリは、不満そうな顔をするが
「うん、わかったの、約束なの」
コトリは楽しそうに魔導キックボードを操っている。
(船の出発日)
サトル達は朝食を食べ、部屋に戻り、出発の準備をする。
コトリが
「お兄ちゃん、シャンプー6本ちょうだい」
「コトリちゃん三日月達に渡すのかい」
「うん、コトリといっぱい遊んでくれたの」
コトリに渡すとトコトコと三日月達に部屋に行った。
サトルは、ステータスを確認して結局、土魔法が上がらなかったと思った。
あれ何か増えてる、錬金術LV2(魔導具の作成LV2)、鍛治LV2、魔導キックボードの影響だよね。とりあえず結果でて嬉しい。
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コトリがニコニコしながら帰ってきた。
「コトリちゃん、船に乗ってオデリア大陸を行くよ」
「うん、しゅっぱつ しんこう」




