第13話 アリスとムーア
第13話 アリスとムーア
ここは、港町トミラ
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桜達が探したこの町一番の宿、4人部屋を3部屋取り、1人当たり大銀貨2枚。
コトリの希望通り、清潔な部屋に風呂付き。
コトリが髪がベタベタすると言うでの髪をシャンプーで洗ってあげ、コトリはそのまま風呂に入る。風呂から上がったコトリの髪の毛を風魔法で乾かす。
コトリは、寝てしまったので、サトルは、ゆっくり風呂で汗を流す。
夕飯は、金目鯛の魚醤煮付け、パン。デザートにプリンが出て来てコトリは、この宿は正解ねと大人の真似をする。
三日月達は、食事をするコトリの金色に輝く髪の毛を見て、コトリに教えてと頼んでいる。
コトリは、リバーシで勝ったら教えると言い、コトリが眠くなるまでゲームが続いた。三日月達は、一勝もできず、髪の毛の秘密が聞けなかった。
サトルは、コトリが寝たのを見て、ナビに警護を頼み、
アップルに乗り、毒の調査に出かける。
アップルが話しかけてくる。
「サトルさん、怒っていない?」
「何を」
「黒雲達に全部喋った事」
「怒っていないよ、知っている情報を全部話さないと、黒雲達が危険な目に遭うとアップルが判断したんだよね」
「はい、毒の影響で魔物が移動し、旧街道も安全じゃなくなったので」
「元々、アリスの警護には、黒雲達に武器が必要と思っていたんだ。
黒雲達は予想外に水周り魔導具を要求したんで、会話の流れがあんな風になってしまっただよ。アップルゴメンなアップルを傷つけるつもりは、なかったんだ。
もう一度、ゴメンな」
「アップルは、謝罪を受け取りました、今後もよろしくお願いします」
「ありがとう、アップル。まだまだ人間が出来ていないサトルを宜しくお願いします」
サトル達は、最後に銀龍と不死蝶が戦った辺りで、毒の散布された範囲を調査し、毒を固定化した、
アップルの感知能力で銀龍のブレスでミスリル化した物を開拓村付近を含め、全て回収した。
土魔法で回収した毒を含んだミスリルを毒だけ分離しょうと頑張ったがこの日は出来なかった。
サトル達は明け方に帰り、サトルはそのまま寝てしまった。
コトリと三日月達がリバーシをしている声で目が覚めた。
コトリが気が付き
「お兄ちゃんおはよう、よく寝ていたから、起こさないでいたよ。食事の時間は
終わったよ」
「おはよう、コトリちゃん、みんな、とりあえず顔を洗って焼きそばパンを食べることにするから大丈夫」
この後、開拓村で使った小麦粉、布など消耗した物の補充の為、みんなで買い物に行った。三日月達が欲しがった物をねだられた。
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ここは王都
アリスは、謁見用の服に着替えて、迎えが来るのを座って待っている。
既に子供から王女に思考を切りかえ目を閉じて、話す内容を反復する。
重要な事は、本当の目的を悟らせない事、この目的に必要な情報を手に入れる事
今は、心を落ち着かせる、予想外の出来事にも冷静でいようと考える。
コンコンとのノックがする。カーラーの入室許可の声が聞こえる。
「アリス王女様、お迎えが来ました」
アリスは、ゆっくりと目を開け、立ち上がり「行きましょうか」と声をかける。
パステル調の薄い緑のドレスは、アリスが歩く度に光を反射し見る者は息を飲む
謁見室の扉が開かれ、両サイドに近衛騎士が並ぶ中、アリスを頂点に2人の侍女、4人の専属護衛が乱れなく赤い絨毯の上を滑るように歩いていく。
ムーア国王が一段高い椅子に座り、両側に王国の重鎮が並ぶ。
ムーア国王の前に止まり、両手でドレスを少しつまみ上げ左足を軽く引く。
ムーア国王達は、優雅で見事なカーテシーに目を見張る。
アリスは、透き通るような声で
「ハイエルフ国 カリスタ国王の名代で参りました。第3王女アリスと申します」
ムーアは圧倒的な存在感に飲み込まれようとした自分に喝を入れる。
「アリス王女、遠路よくぞ参られた。
200年の時を経てハイエルフ王族をこの地に再び迎える事ができた。
アリス王女、歓迎する」
アリスは、想定と同じ流れになり微笑む
「新生クローバー王国誕生をお祝い申し上げます。
新生クローバー王国が過去を断ち切り、再びエルフ族と手を取り合える環境を整えた事を大変嬉しく思っています」
「互いに助けいあい、支え合う国になる事を切に願いた」
アリスは、(我が国はそこまで望んでいない)言葉を選ばないと
「はい、今回の訪問は、第一歩になると思います」
「その一歩を進める上で、余からお願いがあるのだが」
アリスは、警戒する。
「なんでしょうか?」
「現在、奴隷解放を急ぎ進めている、ハイエルフ国の者もいるかも知れん、その者が安心して帰国できるように受け入れの為の協議の場を別途設けたい」
アリスは思う(この程度の提案ならば、我が国民の為にも)
「はい、我が国も気になる事案です、そのご提案を受け入れる事はやぶさかではありません」
「そうか、嬉しく思うぞ」
アリスは、本来の目的に舵を切る。
「私からお願いがあります」
ムーアは考える(一歩と言った、国交が目的で無いな、する気も無いか、これからが本来の目的か、素直に本当の目的は言うとは思えない。情報を引き出さねば)
「クローバー王国に精霊様のお使い様が降臨されたと我が国民は大層喜んでおります。エルフ族にとってお使い様は、特別な存在です。
王家としても我が国にお使い様をお招きしたいと切に願っています。
お使い様の所在などお教え願えませんでしょうか?」
「余もその願いを叶えたいのだが、名前も姿も分からない。
其方も申したようにエルフ族とお使い様は縁が深い。
その内お使い様からハイエルフ国に向かうと思うが」
アリスは、特別と言う言葉が失敗だった気がつく。どう切る返すか。
「残念ですわ。お使い様の伝令役が教会にいると噂で聞き及んでいます。
我が国の民への土産話しとして、どういう人柄かを聞きたいと思います。
面会の手筈をお願いできませんでしょうか」
ムーアは(さも知らん顔をして、かなり事前に情報を手に入れている。
ただ、最新の情報知らぬ、王宮に缶詰にした事は正解だった。
我らがお使い様の居所を知っていることも。もう一度かん口令を出さねば。
寿命が長いエルフ族がお使い様を待てぬとは。
お使い様自らハイエルフ国に来るまでの時間がないのか?
事前にハイエルフ国は、何か企んでいるとスミル教えれば、お使い様の不利益になる事を言うまえ。アリスが失言するかも知れんしな)
「あいわかった、午後に面会の段取るゆえ、お部屋で休憩のほどを」
「ムーア国王感謝いたします」
アリスは、カーテシーをして謁見の間から出て行く。
ムーア国王は重鎮達を従え、執務室に戻る。
・
執務室にはマハード元帥、ナガラン近衛隊長、デミオ守衛隊長、ブリオリ宰相代理、月光。
ムーア国王が口を開く
「まず、指示する、ブリオリ宰相代理改めて、最近のお使い様の行動についてかん口令を引け、特に口軽メイドが出ぬように。
月光、アリス王女達が場内の者と接触せぬようにせよ。すぐに行動せよ」
「「はい、ご指示通りに」」(宰相代理、月光は部下指示する)
「皆の者も先程の会談を聞いていて気が付いたと思うが、黒雲の推測と先程の会談からハイエルフ国はお使い様の力が早急に必要なり、アリス王女を我が国に寄越した。
素直に話していれば、我は誠実に答えたものを。素直に話せない事情があるのだろう。残念だ。
ハイエルフ国の目的が分からね現状では、最悪を考慮してお使い様の情報を出さぬ事とする」
一同の顔を見てムーアは
「質問または、気になる事項は無いか」
デミオ守衛隊長が元部下を思い
「スミルは、嘘がつけません、本当の事を話す可能性があります」
「スミルと以前話した時、(お使い様の顔を死んでも教えません)と言っていた
何よりスミルは、お使い様を神と言っている、お使い様の不利益になる事は言うまい。この3日間の不死蝶騒ぎは、口どめする必要があるが」
マハード元帥が質問する。
「エルフ族とネグロの戦闘を知っている可能性があります。エルフ族からお使い様の情報を引き出す為、面会を希望した場合は、いかがしますか?」
「誠実の門まで案内する、我ら人族は今は、門をくぐれぬからな。
その方が都合が良いかも知れん、アリス王女が移動している間にお使い様はこの大陸から出て行くだろう。
お使い様とアリス王女が会う必要があれば、精霊様が引き合わせるだろう。
もっとも1度あったが侍女が引き裂いたな」
「他に無いか」全員の顔を見てムーアは
「デミオ守衛隊長、スミルを1時に会議室に来るように手配してくれ」
「はい、同行者を認めますか」
「そうだな、認める、ただアリス王女との面談に立ち合わせるかは、同行者による」
「月光、月影に秘密裏に会議室を警備の事」
「ナガラン近衛隊長、表の警備計画を」
「そうですな、過剰になると貴国を信頼しないと言う意志表示と受け止めかねませんから、中に2人、外に2人とします」
「ブリオリ宰相代理、会議室の支度とアリス王女には2時頃に面談を予定していると伝えてくれ。以上
他になければ解散する。」
・
アリスは、部屋に戻り会談の内容を考える。
特別な存在と言ったのは、失点だった。
しかし、こちらの情報をほとんど流していない。
人族でただ1人お使い様の顔を知るスミルの面談を取り付ける事は成功した。
後はお使い様の情報どう引き出すか・・・。
・
会議室 2時
スミルは、ルミアと共に重鎮と座っている。
扉が開き、アリスとカーラーが入ってくる、一同は立ち上り迎える、続いてムーア国王入室する。
ブリオリ宰相代理が、スミルとルミア司祭を紹介する。
スミルの首輪を見たカーラーは、目を開き眉を持ち上げる。
「私は、ハイエルフ国第3王女アリスと申します、スミルさんお使い様の人柄など
をお話しください」
「はい、王女ちゃま」
カーラーが怒気を込めた声で
「奴隷の分際で、王女ちゃまとは何事か、アリス王女様と呼びなさい」
この言葉に空気が凍る。
ルミアがカーラーを睨み
「神とお使い様の伝令役であるスミル様を奴隷の分際とは。権威を傘に着る、貴女こそ何者か、神から見れば、貴女などスミルよりずっと下の存在。
今の言葉を取り消しなさい」
アリスは、(カーラーの悪い癖が出た)思い、この場を収めればと冷静を装い。
「カーラー、今の言葉を取り消し、スミル様に謝罪しなさい」
カーラー唇を噛みながら
「先程の言葉を取り消し謝罪いたします、申し訳ありません」
「スミル様、私からも謝罪致します、申し訳ありません、カーラーは部屋に戻りなさい」
「はい、アリス王女様」背中を丸め出て行く、部屋でると途端に背筋が伸びる。
ムーアは(スミルは、これでお使い様の不利益になる事は言わないだろう)思う
「アリス王女、スミルは敬語が苦手の上、緊張しています、言葉使いはご容赦ください」
「はい、わかりますわ、スミル様、言葉使いは気にせず、お使い様の人柄など教えてください」
「はい、アリス王女ちゃま、お使い様は、命を大切にする・です。
厳しくて、優しい人です、俺が巫女様に酷いことしたのに反省しろと優しい顔をしました・です」
アリスは、しめたと思った。
「お使い様の顔はどんな顔ですか?」
「王女ちゃま、すみません。顔は教えません」
「どうしてですか?」
「お使い様を利用しようする、人がいるから・です」
「私は、大丈夫ですよ」
「俺は、死んでも言いません。神に誓っています・です。
アリスは、なんとかお使い様を探すヒントを得ようとする。
「お使い様は、どんな服を着ていますか」
スミルは、この間見た服を思い出す。
「町の服屋で買う、旅人が着る服を着ていた・です」
「髪の色どうです」
「金色だったり、緑だったりよく変わります・です」
アリスは、何を聞いてもお使い様を探す手がかりない、心が折れかけた。
「お使い様は魔法を使いますか?」
「見えない矢を打ちます・です」
「後はありますか?」
「空を飛ぶ板を操ります・です」
アリスは、だめだこれ以上無理と思う。カーラーで警戒されたか。
「スミルさんありがとうございました」
ムーアがスミルに
「スミルありがとう、ルミア司祭お付き合い頂きありがとう」
スミルほっとして席を立ち扉へ歩く、ルミアは、笑みを残し部屋を出ていく。
「ムーア国王ありがとうございました、お使い様の人柄に触れました。
私も少々疲れましたので、戻ります、今後の事は後ほど相談させてください」
「わかりました、では、後ほど」
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ムーア達だけ残り話はじめる。
「まずは、月光、スミルに護衛をつけてくれ、誘拐される可能性がある」
「はい、承知しました、配下の者をいかせます、失礼します」
月光は出ていく。
「王女ちゃま、発言が出た時にルミアが良い仕事してくれた、我もキレそうになったから助かった」
マハード元帥は首を縦に振り同意する、デミオ守衛隊長は
「私は心臓が止まりそうになりました、その後全て王女ちゃまで通したスミルはわざとなのか真面目なのわかりませんでした」
この言葉に一同が大笑いする、ムーアが
「ブリオリ宰相代理、礼儀としてアリス王女の歓迎の宴を開こう、準備と連絡を頼む」
アリスは、部屋に戻ると緊張が解け、思考が子供に戻った。
ベットにダイブし、足をバタつかせベットを叩く。
アリスは声を出して
「スミルのバカ、バカ、バカ、王女ちゃまて、もーいや、おうちにかえる」
カーラーは、首部をたれている。護衛達は、アリスが失敗したと悟る。
「アリス、まだ、次の手があります、諦めないで」「はい・・・・」
アリスは、歓迎の宴の席で、エルフ族の村の案内を頼んだ