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第8話 銀龍と不死蝶

第8話 銀龍と不死蝶


サトルはミスリル槍に状態異常無効化のスキルを付与する。

ゴーグルを掛け、レインコートの魔導具等で毒の防御する。

サトルの顔に一瞬緊張が走る

コトリが心配そうに

「お兄ちゃん、かならず帰ってきてね」

サトルは笑顔をコトリ向けて

「大丈夫、すぐ帰ってくるからね、帰ったらみんなでプリンを食べよう」

三日月達が片膝をつき

「「ご武運を」」

サトルは、キックボードに乗り

「ありがとう、ナビ、アップル、上空に転移、魔物2体を視認後、作戦を開始する。ゴーだ」


魔物2体は、開拓村から西へ数キロ移動し格闘している。

アップルはスノーボード形態で転移して銀龍と不死蝶の間に割って入る。結界LV1から4を張り、銀竜に向かい飛行する。


アップルは信頼されている事を感じた(銀竜と遊べか、痺れる言葉だった。前の世界管理者は、指示以外の言葉を言わない、進言しても黙れの一言。やる気が無くなった、心が無表情になるのが怖い。今は、サトルさん達と一緒にいて心が温かくなった)


銀龍は、邪魔とばかりブレスは発射する、アップルの結界LV1、2が破壊されLV3がミスリル粒子で硬化し視界を閉ざす、直ぐに結界を張り直し、鼻先を掠めるように反転する。


アップルは、先程の会話を思い出す(ナビのプロポーズをお受けしますの言葉。ナビは予備機で孤独なのは分かっていた。でも、かける言葉が見つからずズルズルと時間だけが過ぎていった。

ナビは、この戦闘の厳しさを十分に分かっているはずなのにあの場面の冗談を言えるようになっていた。

サトルさんの影響なんだろうな)


銀龍は逃げるアップルのミスリル針を放つ、結界LV4まで破壊し、スノーボードに当たる。アップルは墜落したと見せかけ為、急降下、反転して地面スレスレを飛行し、急上昇して銀龍の顎にスノーボードをぶつける。


アップルは、楽しいと思った(あの管理空間では、動かないで情報収集、分析、問題の対応しているだけだった、自分の何十倍も大きな龍の顎に自分をぶつけている。自由に空を飛び、龍の顎を自分の体で殴る。一歩間違えれば自分が壊れるかもしれないのに。楽しい。)


一瞬、銀竜の頭が持ち上がる。銀龍は上昇しながら逃げて行くアップルにミスリルの槍を放つ。

アップルは、スノーボード底で槍を受けて止め反動で錐揉み状態になり数十m吹き飛ばされた後バランスを取り戻すが、

再び発射されたミスリルの槍がすぐ目の前に迫る、スノーボードはバランスを取り戻した直後で回避動作の時間が無い、ボードから緊急脱出すれば確実に助かる、でも囮の役目を果たせなくなる。

アップルはサトルの言葉を思い出す(知恵と力で遊べ)ナノ秒の間に幾つもの対応を検討する。

アップルは叫ぶ「モード1」キックボードに変わり直後、ハンドルポールにミスリルの槍がぶつかり(カッキィーン)と音がして、ミスリルの槍が離れていく。

アップルは呟く「ナビありがとう」

ナビが石の槍をハンドルポールにぶつけ、サトルへの直撃を避けた事を思い出し、アップルは同じ事をした。


「銀龍さん、さっきの攻撃は楽しかったよ、もっともっと遊ぼうよ」

アップルは、銀龍の頭、首、胴体に空気圧縮弾付き徹甲弾を連射する。


サトルとナビは、銀龍から数百m距離をとり、アップルの戦いを見ている。

サトルは、独り言のように「流石アップル、威力偵察をしながら囮をしているのか考えたね、今度は転移して顔面の真近で徹甲弾を連射している」


銀龍は、不死蝶を無視して、完全にアップルに注意が向いている。

「アップルが作ったチャンスだ。ナビ行くよ、銀竜の後ろに転移、首と胴の境目を狙う」

「了解、転移します」

サトル達は、銀龍の後方100mに転移する。

サトルはミスリル槍に魔力を流し槍は白く輝き出す。

「ナビ、首の後ろに突撃だ」

「了解、ゴー、ゴー、ゴー」

ナビは、最高速度で龍に突撃しても怖くなかった(あの魔法師に向かって突撃した時と同じだ。オーナーといれば何も怖くない)


サトルを乗せたナビは、銀龍の首を目掛けて飛んで行く。

銀龍の後ろに来た時、左から銀色の尻尾が向かってくる、ナビは右上に飛び回避する、銀龍の尻尾が右に流れ切った反動を使って尻尾が右からサトル達に尻尾が再び迫る。

ナビは、キックボードを左下に急下降し避け、勢い余り銀龍の背中を接触する。

勢いが止まらず、キックボードは銀龍の首を目がけ背中を滑って行く。

サトルは「ここで決める」と力強く声をだす。

ミスリルの槍にさらに魔力を流し、槍を中心に光が大きく膨れ上がる。

光に槍は、首に衝突して、50cm四方の鱗がパリンと言う音として砕き散り、破片がサトルの体を傷つつける。

槍は銀龍に突き刺さる事なく2枚目の鱗で止まる。キックボードの一体化魔法はサトルを離さない。槍を握っていた右手の感覚が無くなり、左手は槍の穂先に向け滑って行く。

サトルは、悲鳴を上げた瞬間から時間が引き延ばされた感覚を覚える。

右腕がゆっくりと飛んで行く、肩口から血が噴き出すのが見える。

気が遠くなる。

「オーナー」と叫び声が聞こえる、コトリからの(帰って来て)の言葉が頭に響く。

キックボードの底面が銀竜の体に当る、反動でキックボードは銀龍から飛ばされようとしている

サトルは、ゆっくり流れて行く時間の中で、ここで槍を手放せば誰も助けられないと感じて、槍、自分自身、ナビ、キックボードに一体化魔法をかける。

どうすれば、2枚目の鱗を破れるか?なぜ、右腕は千切れ飛んだのか?右腕だけでは、槍を支えきれない?」


サトルの時間が戻り、サトルは錐揉みしながら銀龍から離れていく。

ナビが操作してバランスを取り戻す。

ナビから心配した声で

「オーナー、大丈夫ですか?」

「右肩からの血は自動回復スキルが効いて止まった。

銀龍の鱗は2重になっていたから2枚目で槍が止まった。

同じ場所をもう1度攻撃すれば貫ける」

「では、オーナー回復するまで、上空に待機します」

「今すぐ攻撃する、アップルもそんな時間は保たない」

「同じ攻撃では、今度は、片腕だけですみません」

「策はある、ナビ、背面飛行のまま砕いた鱗に向け突撃する」


ナビは、いやスマホから水がこぼれる。

「いやです、嫌です、オーナーがこれ以上傷ついて・・・嫌です」

サトルは、ニコリと笑い優しく声をかける。

「大丈夫だよナビ、俺は、コトリちゃんに帰ると約束したからね」

ナビは思った。約束は守らないと

「オーナー、その言葉ズルいです、絶対、みんなでコトリちゃんの元に帰ります」

サトルは、思念通話で、ナビ、アップルに同時に話す。

『アップル、もう少しだけ銀龍と遊んでくれ、俺達はもう一度攻撃する。

銀龍の上空から背面飛行で突撃して、ミスリルの槍を突き刺す。

ナビ、アップル、突撃だ』

『『了解』』


アップルは、銀龍の顔目掛けて飛行する、徹甲弾に連射、合間に石の槍を打つ。

砕け散る石の槍は視界を奪い、徹甲弾が目に当たりさらに銀龍の視界を奪う。


ナビは、上空200mに転移し、背面飛行に移る。

サトルは左手でミスリルの槍を持ち、石突をキックボードに置く。

穂先は、破壊した箇所の2枚目の鱗。

ナビは、サトルの策を理解した、やることは、2枚目の鱗と穂先とキックボードを

一直線に操作すること。

サトルは、ミスリルの槍に魔力を最大限に流すと槍は先程以上に白く輝く。

200m上空から背面飛行で急降下、ナビは重力の助け借り能力以上のスピード

で銀龍に突っ込む。

サトルが屈んだと同時に槍は、パリッと鱗を破壊し、鈍い音がして50cm程銀龍に突き刺さる。

銀龍は、我慢するように唸りをあげる。鱗の破片はゴーグルに当たり傷つけ、別の破片は頬を

切り裂き血が滴り落ちる。

「ナビまだ浅い、上昇して反転、急下降の勢いでキックボードの裏面で槍を叩け」

「了解」

ナビは、指示通り、勢いをつけキックボードの裏面で槍の石突をハンマーのよう

叩く、1m程食い込む。

銀龍は、グギャーーと声をあげる。

サトルは槍を握り、槍に魔力を流し、状態異常無効化の魔法を発動させる。

ナビは、銀龍を鑑定して、狂乱状態が消えたことを確認した。

サトルは念話でナビとアップルに連絡する。

『アップルありがとう、銀龍は正常に戻った。攻撃を中止して、不死蝶を追ってくれ』

『了解、不死蝶を追いかけます、ついでに右腕を探します』

銀龍は背中の槍を抜こうと首を回しているが届かない。

「ナビ、可哀想だ、槍を抜こう」

「了解」

サトル達は銀龍の背中に降り、槍を抜く。サトルはついでに傷ついた銀龍の体に治癒魔法をかける。

銀龍は、首を回しサトル達のしている事をじっと見ている。

流石にミスリルの鱗は直せなかったが、他は回復した。

サトル達が飛びさると、銀龍は、一声吠えて西に飛んでいった。

「オーナー、銀龍をあのまま行かせて良かったですか?」

「どうだろう、槍を抜いている時に見た銀龍の目は悪いヤツに見えなくてね。

もし、悪さをして討伐の対象になったら、ただの商人は、勇者に頼むよ」

「ちょと無責任のような気がするけど、オーナーはただの商人でしたね」

サトルは苦笑いを浮かべ

「そうそう、世界を旅する、ただの商人カロンだからね」

2人で大笑いをする。ナビは真面目な顔に戻り。

「アップルから連絡、不死蝶を見つけそうです」

「ナビ、もう一仕事だ。アップルの所まで、転移」

「了解」


サトル達は、アップルの所まで転移してきた。

アップルが、不安げに。

「サトルさん、不死蝶の後ろ翅が青くなり始めました」

「銀龍からの攻撃が無くなって、防御色から本来の姿に戻ろとしているか。

ナビ、すぐに解毒薬を取り行く。不死蝶の前の翅の上空まで転移」

「了解」

サトル達は不死蝶の上空に転移すると白い鱗粉が見て取れた。

「ナビ、ゆっくり近づいて」

「了解」

サトル達は、不死蝶を怖がらせないよう近づき、サトルが白い鱗粉を片手で掬い上げ、アイテムボックスに入れる。

「ナビ、アップル任務完了。コトリちゃんの所に帰るよ」


サトル達は、転移して戻る。コトリがすぐに気が付き駆け寄ってくる。

「お兄ちゃん、怪我ない?解毒薬は?」

「コトリちゃん、みんな大丈夫だよ、解毒薬も手に入ったよ」


アップルは、(サトルの右腕をどうしようか?)と思った。

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