その、いのちのかがやき
私を有名にして欲しい。
どんな形でもいい。
そう少女は言った。
ヒョロリと背の高い
薄気味の悪い無精髭の男がにやりと笑った。
私の選択が間違っていたかどうか
それはもう、
誰にもわからない
彼女たちだ。
無機質な金属の部屋の奥
暗がりから二人の少女が現れた。
この二人は君と同じことを願った。
僕はその願いを叶えよう。
僕にはそれだけの力がある。
いいね?
二人はすぐに頷いた。
迷いはない。
私は、
正直躊躇ってしまった。
本当に信用して良いのだろうか。
でも、
私には目的がある。
その為に足踏みする訳にはいかない。
はい。お願いします。
よろしい。
では、君たちを世界に知らしめてやろう。
まどろっこしい段階など踏まず、一足飛びにね。
どこかで固く重い扉が閉じるような感覚。
もう後戻りは出来ない。
どんな形でも
軽はずみな言葉を嘆いても
後悔しても
私はこの日へ戻ることは出来ないのだ。
人の形を留めていた最後の瞬間に
例えば目玉
これはただのカメラでありこれ自体に何の感情もない。
ただ写した情報をここに伝えるだけだ。
頭を、側頭部をトントンと指で突く
どうした?痛いか?
そうか、まだ痛いのか。
心配するな。
2つある部位というものは、片方が欠けても補填できるものだ。
多少機能は落ちるがね。
ピンと指で弾く
コロコロと転がり、ベタっとしたゼラチン質がスチールデスク上のマグカップに絡めとられて動きを止めた。
君たちの世代の幸せとは何だろう?
そうだね。
SNS、誰かと繋がることだ。
無粋なデバイスを隔てずに誰かと繋がること、
それは至上の幸福だと思わないかね?
だが時にそれが刃となることもあるだろう。
何、心配は要らない。
それは情報の是非を君たちが判断してしまうからこその刃だ。
ただカメラが垂れ流す情報を何の感情も持たずに眺め続ける。
常に他者と繋がりながら孤独を忘れ永遠の時を生きる。
それを幸福と言わず何と言うのかね。
君たちはこの世界で最初に祝福を授かった幸運な3人なんだよ。
すぐにみんな幸福になる。
君たちのようにね。
おっと、
もう私が何を言っているかもわからないか。
さあ、世界に発表する時が来たよ。
約束を果たせるね。
世界が初めて目にする完璧な生命だ。
今に君たちのことを知らないものなど居なくなるだろう。
さあ、見せてご覧。
君たちの命の輝きを・・・
・・・シテ
コロ・・・シテ・・・