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ヨミガラスとフカクジラ  作者: ジャバウォック
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「繰り返すがクロヴィス、間違いなく裏は取れたんだな?」





「あぁアキム、今回の件で自律駆動兵の開発は滞るだろう。ヴェンデル・レーヴェがあれだけ大々的に投資を取り止めた事も幸いした。レーヴェはどれだけ無謀に見えても、必ず勝つ所にしか投資しないからな」


「……逆に言えばレーヴェが投資を取り止めた側は必ず負ける、か」


「他の投資家も、レーヴェが切り捨てた所には投資などそうそう出来ないだろう。捨てられた船には穴が空いてるものだからな。有能な船長が見捨てた船になど、誰も乗らないさ。飲むか?アキムの好きなシングルモルトがまだ幾つかある筈だが」


「いや良いクロヴィス、飲むのはもう少し状況が落ち着いてからにするさ。レーヴェが乗らなければ他も乗らないから、結果的に勝ち負けはレーヴェ次第という訳だ。今回の件も博打だったが俺達がベットした“カラス”は勝った、お前の手柄だクロヴィス。上流階級の様子は?」


「上流階級の一握りしか買えない様な代物には、今後も代わり無いだろうな。自律駆動兵の製造は相変わらず続いているが…………普及は難しいだろうな」


「……今回は急拵えの武器で何とか勝ったが、時間をかけて本格的に対策を取る必要があるだろうな。暫くは大丈夫にしろ、技術開発班に指示しておかなければ」


「クルーガーなら、また名案を出してくれるだろう。必要ならヴィタリーにも掛け合おう、専用の訓練部隊を編成出来るかも知れない」


「…………ヴィタリーなら、確かに自律駆動兵を翻弄する程のレイヴンを鍛え上げるかも知れないな。クルーガーの開発した武器を使えば、尚更だ」


「デイヴには、いつ知らせる?」


「近い内に伝令なり手紙なりを出すつもりだが、デイヴィッドもその内知るだろう。最近は少しずつ団内でも味方が増えている様だしな」


「味方?」


「あぁ。ヴィタリーの部下からの報告らしいが……技術開発班の連中を中心に、この団内でもデイヴィッドの側に立つ連中が増えているらしい」


「…………その、なんだ。こう言っては何だが、あれだけの前評判が知れ渡った中で心から彼の味方をする連中が居るのか?この団に連れてきた我々が言える事じゃないのは、勿論分かってるが」


「“万が一”に備えてデイヴィッドを切り捨てやすい様に、敢えて団内の評判については手助けはしてこなかったんだが、案外一人でも上手くやっているらしい」


「……アキム、意図的にデイヴの評判を落としていたのか?本気か?」


「別に悪評を此方から広めた訳じゃない。わざわざ評判を落とさなくても、周りが噂を膨らませて勝手に評判は落ちていく」


「……………想像以上に“色んな事”に備えていたんだな、アキム」


「そう言うな。ディオニシオの一件から黒羽の団は、戦果を上げた代わりに非常に複雑な立ち位置になってしまったんだ。“どう転んでも立ち上がる”必要があったんだ。分かるだろ?」


「まぁ、否定はしないが…………それで、団内で出来たデイヴの仲間と言うのは?」


「クルーガーを筆頭にした技術開発班の連中、ユーリを含む一部の実力主義のレイヴン達も彼を気に入っている。今回の戦果でね」


「ユーリか……悪い奴では無いんだが、彼もかなり変わり者の節があるからな…………」


「しかも何をどうやったのか、ユーリはデイヴィッドに指揮権を譲渡する程に彼を信頼している。言うまでも無いが、普段の彼からしたらとんでもない事だ」


「あの作戦会議の後、ヴィタリーと飲んだが………あいつも“未だに信じられん”とぼやいていたよ。同感だがね」


「そしてヴィタリーの部下の報告によれば、技術開発班の“魔女の塔”のニーナ・ゼレーニナと最近はよく会っているらしい」


「待て、ゼレーニナ?あの、塔の奥に引きこもってる、ウィスパーの開発者の?」


「あぁそうだ。どこで接点を持ったかは知らないが、デイヴィッドはゼレーニナの塔に度々入っていく姿を確認されているらしい。それも、結構な時間を過ごしてから出てくる事もあるそうだ」


「……信じられん、あのゼレーニナだろう?彼女の技術は確かに計り知れない値打ちがあるが、“魔女”と呼ばれる様なあの少女にどうしてデイヴが?失礼を承知で言うが、ゼレーニナと一対一で30分も話せたら奇跡だぞ」


「トミー・ウォリナーからも裏は取れている、どうやらデイヴィッドは専用の特別資金をあのゼレーニナに投資し、その結果特別な装備を作らせているらしい」


「益々信じられん、取り次ぎも紹介も無しにあの偏屈を手懐けたのか?“私達では話になりません”と苦情が来て、クルーガーや我々が呼び出される様な少女を?たった一人で?」


「信じられんが、事実は事実だ。相当上手くやったか、逆に魔女に気に入られたか……」


「……実力こそ本物だが、変わり者で有名なユーリ・コラベリシコフに気に入られた上、“塔の魔女”として技術開発班の厄介者、ニーナ・ゼレーニナと個人的な契約まで結んでいる…………どうなってるんだ?」






「正しく“何故か癖のある連中ばかり集まってくる”という奴だろうな。面倒な事だ、全く」

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