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ヨミガラスとフカクジラ  作者: ジャバウォック
82/294

081

 1838年

 レガリス中央新聞

 薪山の月28日


 “投資家ヴェンデル・レーヴェ、自律駆動兵に興味”





 先日の自律駆動兵によるレイヴン撃退により、クリストフォロ・ピアッツィ氏及びピアッツィ氏の発明“自律駆動兵”に、富裕層の中でも有数の投資家、ヴェンデル・レーヴェ氏が高い関心を持っていると本日報じられた。


 研究開発の末に、レガリスの技術の結晶とも言える自律駆動兵を世に送り出したピアッツィ氏だが、本人曰く「まだまだ普及に耐え得る段階ではない」との事。


 神経拡張機構に加え、有機器官部品、筋電技術という最新技術が隅々にまで散りばめられていると言われる自律駆動兵は、富裕層の財力をもってしても普及しきらない程に単価が高い事がネックとなっている。


 その為ピアッツィ氏は今自律駆動兵の能力向上等は元より生産ラインの安定、また黄金を擂り潰すとまで言われている神経拡張機構の代替技術に注目、開発しているとの事だ。


 自律駆動兵を構成する技術の中でも特に、希少金属をベースにする神経拡張機構は希少金属自体の高騰もあり、自律駆動兵の単価の高さの原因となっている。




 そんな中、ヴェンデル・レーヴェ氏が先日ピアッツィ氏及び自律駆動兵の研究に対して、投資を検討している事を正式に公表。


 既にレーヴェ氏は重装型と機動型、複数の自律駆動兵を正式契約の後に邸宅に搬入しており、自律駆動兵の高い能力に大変満足しているとの事。


 そして先日のレイヴン撃退を本紙で聞き、ピアッツィ氏が自律駆動兵をレガリス中に普及させる為に尽力していると知ったレーヴェ氏。


 レーヴェ氏は正当人種に誇りを持っている事もあり、黒羽の団の工作員レイヴンが自律駆動兵にまるで敵わなかった事を聞いてからは、レガリス及びバラクシアの未来の為にも全面的な投資及び支援を検討しているとの事。


 投資家ヴェンデル・レーヴェ氏は、非常に慎重な方針を取る事で知られているが、確約した相手には莫大な額を投資する事でも広く知られている。


 また、その一方でレーヴェ氏の投資は経済に広く波紋を及ぼす為、専門家の一部は“今回のレーヴェ氏の莫大な投資が決定すれば、自律駆動兵の研究のみならずレガリスの経済にも大きな変動を及ぼす可能性がある”と懸念している。


 このままレーヴェ氏の投資が確約されピアッツィ氏の研究が飛躍的に進歩すれば、穢れた亜人達に“未来”を脅かされずに安眠出来る日が来るかも知れない。





 ピアッツィ氏は今回の件については、こう締め括った。


「もしレーヴェ氏が投資してくれるなら、私はレガリス及びバラクシアに更なる黄金時代をもたらして見せましょう」

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