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1838年
レガリス中央新聞
陽射しの月29日
“レイヴンの魔の手留まらず、邪教徒が引き起こした惨劇”
先日、有数の上流階級ガルバン家の所有するナッキービル地区の大庭園にて、またもレイヴンの襲撃があった。
レイヴンがまたもや大庭園内に現れ、会場内にて兵士十名近くを殺害した後、ディオニシオ・ガルバン氏を抹殺。
有数の上流階層のガルバン氏が警護に当たらせていた私兵団は、銃砲隊のみならず装甲兵までも含めた大軍勢であったが、件のレイヴンはこの警備を単独で突破した上、ガルバン氏の殺害に至っている。
この事態を重く見た帝国軍は抵抗軍“黒羽の団”の評価を“残留反乱分子”から“排除性優先敵対勢力”に再評価し、帝国軍も優先的にレイヴン排除に注力する事が正式に発表された。
また、ラグラス人種の血統的劣等意識がレイヴン達の行動の根底に関与しているとして、帝国軍は民衆の該当人種に、調査の際の全面協力を要請している。
今回、報告からレイヴンに新たな脅威が発覚した。
大庭園襲撃の際に、レイヴンが“黒魔術”を使ったとの報告が入った。通常なら笑い話にもならないジョークとして流される様な話だが、実際に現場にいた目撃者の大半が同様の報告をしている事は、決して軽視するべきではない。そしてその結果、ディオニシオ・ガルバン氏の訃報に繋がっていると言う事も。
多数の報告を総合的にまとめるなら、「レイヴンが蒼白い光を放ち、黒い霧と共にカラスを生み出した」というのが共通の見解となる。そして、現に逃走の際にはそのカラスに兵士が妨害されたと言うのだ。
乞食でも作家でも無く、現実主義の兵士達が口を揃えて言った証言という事を、胸に留めておいて貰いたい。付け加えるなら、酷く動揺した様子であった事も。
根の深い邪神崇拝が根幹にあると見て、帝国軍はレイヴン排除に注力すると同時に、邪神グロングスを崇拝する邪教徒への投獄や市民権剥奪等の処罰を邪教徒の関係者にも適用する等、厳罰化する事を表明。
帝国によるテネジア教の更なる徹底、邪教徒及び邪教自体の根絶が期待されている。来月から、レガリス内においてキセリア人以外の人種への身分調査厳格化、権利制限も視野に入れているとの事。
また、奴隷に対する逃亡防止、また管理の容易化を目的として一部で行われていた奴隷への薬品に寄る焼き印を、契約の際に正式に義務付ける法案が議会で可決された。
特定部位に焼き印を入れる事を義務化する事により、奴隷への更なる徹底管理が期待されている。
法案は来年から施行予定。




