“247”
「本当に紅茶頂いていいんですか!?」
「全然気にしなくて良いわよ、友達だもの。でしょ?」
「いやーありがとうございます!!とうとうレイヴンにもなったラシェルさんが、私と仲良くしてくれるなんて、今でもちょっと信じられませんね!!」
「大袈裟よ、別に話して仲良くするだけじゃないの」
「いやいやフロランスさんは、我々女性団員の憧れですから!!私の友達もよく話してますよ、“やっぱりカッコいい”って!!」
「褒めすぎよ、全然会ってくれるなら会うわよ。私は別に高嶺の存在じゃないんだから」
「いえいえ、何もそんな事は無いですよ!男連中でもフロランスさんには、頭が上がらない連中がいっぱい居るんですから!!フロランスさんは我々の憧れみたいなものです!!」
「そんな事無いわよ、まだレイヴンにもなったばかりだしね」
「そんな事ありますよ!」
「何というか、今日は随分と機嫌が良いみたいだけど、何か良い事でもあったの?」
「はい、実はですね、最近彼氏が出来まして!!はい!!ダメかと思ったんですが、何と上手く行きまして!!はい!!」
「彼氏?」
「はい!」
「待って、え?あんた、好きな男が居たの?そんな話、全然聞いてないけど」
「え?はい!言ってませんでしたっけ?」
「…………ふーん、あぁ、そう。あれは?」
「あぁ、あれはですね!我が団が誇る、個人用の高機動航空機!!ウィスパーです!!」
「ウィスパーねぇ。話こそ聞いてたけど、何で航空機が“囁く”のよ?」
「ふふふ、それは別の由来があってですね、恐らくは直接見た方が分かりやすいかと!!」
「へぇ。しっかし変な機械ね、あれでどうやって飛ぶのよ?どこにも気嚢が無いじゃない。羽だけじゃどうしようも無いでしょ?」
「おっ!?フロランスさん、その辺の理屈分かるんですか!?」
「やっぱりフロランスって呼ばれるの慣れないわね、まぁ良いけど。一応は分かるわよ、気嚢ぐらいはね。それで?気嚢無しでどうやって飛ぶのよ?」
「そこまで通じるのなら話は早いですね、あれこそ我が団の技術の結晶、新開発のオーニソプター機構とディロジウム静穏駆動機関により、気嚢無しかつ素早い機関始動と離着陸を可能にしたーーーー」
「あーはいはい、はい。分かった分かった。要はアレでしょ、何か変な引きこもりがそのオーブン機構だかを開発してウィスパーを開発したって話でしょ。あの変わり者の、何だっけ。可愛い子が住んでるんでしょ?」
「オーニソプター機構です!えーとですね、まぁ。ちょっと、塔の方に変なのが住んでまして、まぁ良いじゃないですかその話は。技術開発班でその話は禁句なんですよ」
「分かった、分かったわよ。それで、あれがそのオーニソプター機構だかを搭載したウィスパーってやつね。思ったより面白い見た目ね、ここがスロットルなの?」
「はい!!新規格故に操縦が大分難しいんですが、大空をツバメみたいに飛び回れるそうですよ!!それも、気嚢型の航空機が追い付けないぐらいに縦横無尽に!!」
「ウィスパー、ねぇ」
「どうしました?」
「これ、ちょっと触っても良い?」
「構いませんよ!!どうぞ!!」




