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1839年
レガリス中央新聞
芽吹きの月7日
“非合法奴隷、多数発覚。奴隷商社の経営難増加、過去に見ない大打撃へ”
1839年のレガリス内の奴隷商社において、経営難と認められた商社が過去の最多件数を大きく超え、最多件数を更新したことが明らかとなった。
幾つかの総合商社においても奴隷貿易部門の縮小、または廃止が顕著になり、著名な奴隷商社や貿易が、次々とレガリス内から姿を消す、もしくは日陰に追いやられている。
近年の亜人の凶暴化、また危険思想を強める抵抗軍の度重なる帝国への破壊行為、また集団的な精神症の流行など様々な要因により、近年の奴隷貿易は経営悪化の1歩を辿っているとの事。
帝国の調査による非合法奴隷の多数発覚、責任問題及び返金問題により、現在所有されている合法認可奴隷の正式な再認証が義務付けられた事も、衰退を更に加速させていると一部からは声が上がった。
高額なキセリア人奴隷に多数、未承認の非合法奴隷が確認されたのみならず信用問題により、過去に購入した亜人奴隷を信用度の高い商社による再承認が義務付けられた事や、過去の承認記録を遡って確認する必要が出てきた為に、高額なキセリア人奴隷のみならず一般的な亜人奴隷に関しても、悪影響が確認されている。
また、未承認奴隷や非合法奴隷である事が発覚した際の、返品及び返金体制も整っておらず不備も多い事が更なる問題となっており、市民からは「奴隷の再承認や過去の記録を遡る事を考えると、奴隷を購入・管理する事に関して気が重い」との意見が上がった。
先日、長年に渡って非合法奴隷の売買に関与していた事が明らかになったメネルフル修道院、及びラクサギア地区の実態について帝国本部は重く受け止め、聖レンゼル修道会に対しての予算額を大きく減額する処分を下した。
一部からは先月の判断とは真逆の形に異義を唱える声も上がったが、帝国は本件に関して撤回や緩和の意思は一切無い、との事。
また先月の修道会特別監査において、今回のメネルフル修道院による非合法奴隷売買及び、外部の違法組織との癒着、腐敗について発見出来なかった事に関して帝国は、監査部門にも処分を検討していると発表した。
今回の件が直接的な要因になったのかは定かでは無いが、帝国によるラクサギア地区の治安維持活動及び、治安維持予算が大きく縮小される事が明らかとなった。
ストリートギャングによる暴力的な支配が市街に横行している事も踏まえ、ラクサギア地区の更なる治安悪化が懸念されている。




