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1839年
レガリス中央新聞
芽吹きの月1日
“非合法奴隷の違法売買発覚、帝国本部による本格調査へ”
先日、帝国本部はレガリス南部の奴隷商及び、奴隷貿易において一部の奴隷が帝国の公式な承認、及び検査を受けずに売買されている事という情報が各所から上がり、調査する運びとなった事を発表した。
調査により現在判明している情報によると、非認可のまま売買されている奴隷は修道院に所属しているキセリア人女性が大半との事。
また、一部の修道院が違法組織と故意に加担、及び癒着していた事が明らかとなった。
認可を受けずに売買されるキセリア人の非合法奴隷は偽造された認可証と共に、帝国の正式な認可を受けずに各所へと密輸され、数々の奴隷貿易会社から高額で売買され今もレガリス中央部へ深く流通している。
レガリスのみならず諸外国の違法組織にも認可無しの違法奴隷が売買され、ストリートギャング等の資金源になっている事を重く見た帝国本部は、一部の奴隷所有者や奴隷貿易会社を対象に帝国による公式認可証明書、及び奴隷売買記録を帝国へ再提出させる事を決定。
抵抗した場合、また公式な認可や売買記録が確認出来なかった場合は厳罰に処す、との事。
また今回の件は高額なキセリア人奴隷の認可証のみならず、安価な亜人奴隷に関しても認可証及び売買記録の確認は同様であり、過去の売買であっても再提出や再承認が必要である。
非合法の奴隷売買については先日、レイヴンに襲撃されたばかりのラクサギア地区、及びメネルフル修道院が発端とされている為、一部では黒羽の団の捏造ではないか、と噂されているが現状として確証は取れておらず、幾つかの奴隷貿易においては実際に非合法の奴隷売買が確認された為、その線は薄いとの見解が公式に発表された。
年明け辺りからレガリスにおいて治安が悪化した地区、また犯罪率の高い地区において、塗料で不気味なカラスのシンボルが路上の壁等に描かれる現象が多発している。
また亜人や貧困層、邪教崇拝者の間ではカラスのシンボルが世界に変革をもたらしてくれる、という異常な妄想が流行しており犯罪率の増加や治安の悪化に拍車を掛けているとの事。
一部の罪人やストリートギャング、脱走奴隷の間では“カラス達による変革に備えよ”と言うメッセージを添えて、カラスのシンボルを掲げたり各地に描いたり、と言う行為が流行しており幾つかの記者は会見にて、“これはレイヴンを指した言葉ではないか”と発言したが公式に否定され、この類いの妄想は劣等種や労働階級に頻発する一種の精神症だと帝国は発表した。




