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ヨミガラスとフカクジラ  作者: ジャバウォック
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「エルキュールはずっとあの調子か?」





「あぁ。最近は遠目にでもカラスを見掛けたら、真っ青になる始末だ」


「クソッタレめ、だからブロウズなんぞに関わるとロクな事が無いんだ」


「だが今回の件を持ってきたのは、あのカワセミだろ?エルキュールだって断れねぇよ、あのカワセミが言い出したんだから」


「………カワセミと言えば、ジョアンナはどうなったんだ?」


「ジョアンナか………まぁ大体は聞いた通りの結末だよ。ションベン漏らして、鼻は折れるわ肋骨もヒビが入ってたわで、見せしめにされてからまだ立ち直れていないらしい」


「“見せしめ”って言うだけあるな、全く。あのカワセミに、真正面から殴り合って勝てると思ったのかね」


「ジェフリーの件が効いてたんだろ。向こうも向こうで随分と笑い者にされたからな。まぁ、気持ちだけは分からんでもないが」


「俺なら何を血迷っても、カワセミに殴りかかろうなんて思わないがな。漸く雪が収まってきた所だってのに」


「もう幾ら何でも除雪は懲り懲りだ、もう一回あんな寒波が来たら、幾ら何でも俺達倒れちまうぞ」


「………そういや、ジョアンナを見せしめにした件もそうだがカワセミの奴、このクソ寒い中エルキュールと一緒に何やってたんだ?倉庫がどうの、カラスがどうの、としか俺は聞いてないが」


「あぁ。何でも、わざわざ光を締め切った真っ暗な倉庫にブロウズを閉じ込めて、部下と殴り合わせたんだと。幸い大した怪我は無かったんだがその………」


「何だよ?言えよ」


「……大した怪我は無かったんだが、随分大人しくなっちまった。“あんな化け物に目付けられたくねぇ”って調子だ、一時期なんて一緒にブロウズの愚痴を言ってたのによ」


「ブロウズに何されたんだよ?カラスの死骸でも口に突っ込まれたのか?」


「さぁな。だが、エルキュール程じゃ無いにしろあの倉庫で、あいつらも酷い目にあったのは間違いないらしい」


「何でカワセミはそんな事したんだよ?ブロウズが歯を何本折るかで賭けでもしてんのか?」


「倉庫の一件はエルキュール曰く、カワセミが言い出したそうだ。何でそんな事したのかについては、何も教えてくれなかったんだと。“そんなに聞きたいならお前の折った歯で壁に書いてやろうか”と言われて、ついぞ聞けなかったとか」


「クソッタレめ。理由も説明せずにそんな事するなんざ、いよいよカワセミもおかしくなって来てんじゃねぇのか?」


「“黒魔術”掛けられたって話も、あながち噂じゃないのかもな。どう考えてもマトモじゃねぇよ、あの女」


「カワセミが幹部に極秘任務でも命じられて、それに関係してんじゃねぇか、みたいな話も何度か聞いたが………それにしたって、あんな訳分かんねぇ真似をする理由にゃならねぇしな」


「まぁ流石に考え過ぎだろう、そうだとしてもわざわざブロウズを倉庫に閉じ込めて遊ぶ理由が分からねぇ」





「大体、真っ暗な倉庫で殴り合う任務って何だよ?」

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