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1839年
レガリス中央新聞
夜霜の月2日
“奴隷商社パピーカラー、キセリア人奴隷の販売好調”
近年の奴隷貿易に対する被害等から業績予想の下方修正を囁かれていた奴隷商社パピーカラーだったが、先月も収益に目立った落ち込みは無くこの収益を保持できるなら下方修正は必要無いだろう、と幾人もの専門家がコメントを残した。
コメントを残した専門家によれば、先月からキセリア人奴隷を条件付きで値引きする事を発表したパピーカラー社の展開の早さが、功を奏したのではないかとの事。
近年の抵抗軍騒ぎにより、治安悪化に伴う景気減速への警戒を強めている者が多く見られるが、一部では利益拡大も確認されている為、今回の変化を一長一短で見る者も散見された。
キセリア人奴隷は希少価値の高さからも分かる様に、価値と引き換えに入荷が難しい事がネックとされていたが先日、アーウィン・フィッツクラレンス氏の提案によりキセリア人を奴隷にする際の条件緩和が検討されている。
去年、自身が罪人の血筋を理解し贖罪を呼び掛けていた稀有な亜人、ダニール・ヤンコフスキーを失っているフィッツクラレンス氏はかつて、奴隷の逃亡防止と管理の容易化を目的とされていた奴隷への焼き印を義務化する法案を提案した事でも知られている、由緒正しい愛国者だ。
亜人を奴隷認可する事に比べ、正当人種ことキセリア人を正式に奴隷として認可する際、条件が相当厳しい事は時折議論されてきたが、フィッツクラレンス氏はその点に着目し奴隷貿易に新しい形態、新しい風を吹き込もうとしているとの事。
今回の条件緩和が正式に可決された場合、既存の奴隷貿易から形態が大きく変化する事が懸念される為、一部からはキセリア人を奴隷として認可して景気と利益を維持しようとする姿勢に「一時的な解決にしかならないのではないか」と言った声や、「キセリア人の奴隷条件を緩和する事は、高額奴隷の品質低下に繋がるのではないか」と言った声が寄せられた。




