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「ゴシュジン、ディロジウムガキレソウダヨ、ゴシュジン」
「もうそんなに使いましたか、今年の寒さは厳しいですね」
「モットアツクシヨウヨ、サムクナッチャウヨ」
「寒くありません。これ以上温度を上げると不快になります、よく分かっているでしょう」
「エーーー、サムイノヤダヨーー」
「去年だったか、貴方は同じ事を言って温度を上げたら“気持ち悪い”と言い出したのを忘れていませんよ?」
「コンドハダイジョーブダヨ、アゲヨウヨーゴシュジン」
「駄目です。上げません、寒くはならないから安心しなさい」
「エーーーーー!!!アゲテヨーー!!!」
「もう一度情報収集に行きますか?」
「サムクナイ」
「宜しい。大人しくしていなさい、必要と判断すれば私が上げますから」
「ホカノヒト、サムクナイノカナ?ココニハ、ダンボーガアルケドホカノヒトハナインダヨネ?」
「何かしらあるでしょう。技術班以外でも、既製品の暖房器具ぐらいなら不自由無く扱えるでしょうし。問題はレールの積雪ですね………搬送レールに不具合が起きないと良いのですが。もし除雪作業員か除雪作業に問題が起きれば、かなり深刻な事になります」
「ミンナ、ヨカッタネ。“トシコシ”デキテ」
「年越し?」
「ゴシュジンモ、クルーガーモ、デイヴィッドモ、ミンナトシコシデキタ。デイヴィッド、オイダサレチャウカモシレナカッタノニ」
「…………ブロウズが処刑や追放されなかったのは、不幸中の幸いでしたね。彼無しではまず間違いなく、この団に勝機は無いでしょうから」
「デイヴィッド、イナイトサミシイモンネ」
「我々が、帝国に勝つ為には欠かせないだけですよ。私情なんて二の次です」
「ソーイエバ、ゴシュジン」
「何です?」
「カンセーシタ“アレ”、ダレカニアゲルノ?」
「“完成”。前も言いましたが、あれは研究の一環で製作した試験的な産物です。誰かに贈与する事は想定していません」
「デイヴィッドニ、“アレ”アゲタラヨロコブヨ」
「あの骨のヴァネル刀と違って、あれは依頼品ではありませんよ」
「“アレ”アゲタラモットツヨクナッテ、デイヴィッドヨロコブノニ。ゴシュジンドウセ、ツカワナインダシサ」
「あげませんよ。私は研究者であって、商人じゃないんですから。そもそも、彼が求めるかどうかも分かりませんし」
「ホントニ“アレ”、デイヴィッドニアゲナイノー?ソンナニ、テーネーニ“チョーコク”マデシタノニ、ホカノヒトニアゲルノ?」
「丁寧、彫刻。あげないと言っているでしょう、あくまでも私が個人的に製作したのですから」
「デモサ、ゴシュジン」
「何です?」
「ダレニモアゲナインダヨネ?」
「それがどうかしましたか?」
「ジャアサ、ナンデアンナニ、デイヴィッドノ“キロク”ヲミナガラ、ツクッテタノ?ナンカイモ、ミナオシテタヨネ?」
「別に、他意はありませんよ」




