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1839年
レガリス中央新聞
固雪の月4日
“奴隷商暴走、伝播していく亜人の悪意”
当紙の読者達がこの文章を読む頃、都市連邦バラクシアの“首都”ことレガリスでは、新年を迎えて実に4日が経過している事になる。
お祈りにしろお祝いにしろ、清廉なるレガリス市民達は優雅な催しを楽しんでいる事だろう。
しかし、読者達には言うまでも無い事だが、残念ながら優雅に過ごしてばかりも居られない。
主たる我々に対して、従者たる亜人達の近年の働きぶりと来たら“不遜”の一言に尽きる。
主と従者を決定づけたあの浄化戦争を超えて尚、反旗を翻す事ばかり考えている亜人には言葉も無い。
我々は今、下賎かつ低俗な抵抗軍の手によって、かつて空中都市が築かれる前の大陸時代、人々が空を渡る前の時代の混沌へと引き戻されつつある。
棍棒を手にし生肉にかぶり付く劣等種達に、争いの中で文明と分別、主従を教えつつ取り纏め、正当人種が苦労して世界を導いていた、数世紀以上も前の時代へと。
改めて言うまでもなくこれは恐ろしい事態であり、嘆かわしい事態でもある。
新年が明けたばかりにも関わらず、またも奴隷商のグループが問題行為や契約違反により逮捕された。
ここ去年の年末辺りから奴隷商及び奴隷貿易に関する地区、グループ、商人に置ける問題行為や違反行為は著しい増加を見せており、帝国本部は「元々は制御されていた商人達が、明らかに統率を失い始めた。奴隷貿易及び奴隷商の競合勢力図に、何か著しい変化があったと見て詳しい調査を進めている」と発表。
また、同じく帝国本部は先日の暴走行為や違反行為に鑑みて、奴隷貿易や奴隷の入荷出荷について、一時的な制限を設ける事を示唆した。
まだ思案段階を出ないが、記者の取材によると暴走行為や違反行為を鎮圧、鎮静化する意図が込められているとの事。
それに対して、有数の奴隷商社“パピーカラー”代表取締役、ゴットロープ・ホフマンスヴァルダウ氏は一部のキセリア人奴隷を条件付きで、値引きする事を発表した。
近年、希少価値が高まっていると言われていたキセリア人奴隷だが、浄化戦争でペラセロトツカに荷担したキセリア人の義勇軍や、その家族等の罪人をキセリア人奴隷として入荷した事により、亜人より高額なれど10年前に比べれば、手の届きやすい額となっているそうだ。
資金に余裕があり、亜人の従者が信用出来ない家庭はこの機会に、キセリア人の奴隷を買ってみるのも良いのでは無いだろうか。




