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1827年
レガリス中央新聞
氷結の月24日
“リドゴニアの穢れた亜人、檻から逃走”
先週、レガリスからリドゴニアに出向いていた奴隷商人クエンティン・リプスコム、及び彼の部下13名がリドゴニアの地方都市、カザドグにて亜人に虐殺された。
罪人は駆け付けたカザドグの憲兵に拘留され、北方国リドゴニアの法律及びカザドグの地方裁判所にて裁かれる予定だった。
だがリプスコム氏はバラクシア国際貿易商人としてレガリスから特別認可及び、派遣された正式な貿易商人だった為、帝国本部はこれをカザドグのみならずバラクシア全土で捉えるべき国際的な重罪とし、今回の事件をリドゴニア及びカザドグの地方裁判ではなくレガリスの中央国際裁判所にて裁く事に決定。
カザドグで拘留されていた罪人は、帝国軍が派遣した国際便及び飛行船にてリドゴニアからレガリスへと護送され、裁判に掛けられる予定だったが、港へ向かう途中で護送鹿車が襲撃され、その際に罪人は逃走し現在も逃亡中である。
いよいよペラセロトツカの亜人、及び奴隷達による戦争開戦が囁かれる中、今回の奴隷商殺害及び、罪人の逃走はレガリス内の亜人の心証を悪くしていると言わざるを得ない。
加えて、近年は情勢に影響されたのかレガリス国内においても奴隷民族ことラグラス人が、攻撃的になっている傾向が見られる。
ペラセロトツカからの奴隷入荷、及び輸入が大きく減少し現在、レガリスの奴隷貿易組合は大打撃を受けている事を公式に発表した。
今回の件にしても、リプスコム氏が北方国リドゴニアに出向いていたのは亜人の奴隷を入荷、及び輸入する為に他ならない。
無論、リプスコム氏は非合法な奴隷商とは違い、レガリスから正式に特別認可を受けた商人だ。
国から正式な認可を受けた我が国の国際貿易商人を、この様な形で失った上にそれだけの罪を犯した亜人を取り逃がす等、あってはならない事だろう。
我々は正当人種として、世界の主としてこのレガリスのみならずバラクシア全土を導く義務がある。
主が主であり続け道を示す事は従者に取っても福音であり、主の使命でもあるのだ。
本紙の読者、そしてレガリスに住まう正当なキセリア人よ。
どれだけ不当な目に合ったとしても、我等は聖母テネジアの子として世界を導いていかねばならない。
君達一人一人も、決して亜人や奴隷に道標と鞭を惜しまず、使命を忘れぬ様に。
我々は今、主が主たる証を世界に示す事が出来るかどうか、試されているのだから。




