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1838年
レガリス中央新聞
氷結の月18日
“大罪者デイヴィッド・ブロウズ、亜人の手先へと堕ちる”
先日、アニガノ地区において行われた緊急総会において、歴史的な惨劇とも言える程の虐殺が引き起こされた。
棚の裏の害虫の様に厳重な警護をすり抜けアニガノ地区の中枢、ルークワギー議事堂に突如飛び込んできたレイヴンによって、議事堂は此処彼処に鮮血が飛び散る恐ろしい戦場と化した。
近年の情勢に影響され、此方の想定以上に増長してしまった抵抗軍ことレイヴンによって、数え切れない程の帝国軍兵士に加え緊急総会に出席していた議員までもが犠牲となってしまう。
レイヴンが奴隷貿易の緊急総会を襲撃してきた理由は未だ調査中ではあるが、憲兵達の間では“奴隷貿易その物に対する抗議行動として、メッセージを発したかったのではないか”との暫定的な見解が強まっている。
そして、ディロジウム手榴弾を用いてまで多数の死傷者が産み出した今回のレイヴン襲撃事件だが、今回身の毛もよだつ様な事実が発覚する。
今回レイヴンとして、アニガノ地区中枢のルークワギー議事堂を襲撃してきたその人物は、現在逃亡中の大罪人デイヴィッド・ブロウズである事が調査により明らかとなったのだ。
先月、新たに6件の強姦事件に関与していた事が判明したデイヴィッド・ブロウズだったが、今回のレイヴン襲撃に出逢わせたオイレンブルク夫人により、不気味なレイヴンのマスクの下、おぞましい素顔の特定へと至った。
オイレンブルク夫人、アマンダ・オイレンブルクは過去にブロウズとの面識があり、一時期は被害届けを出すか迷う程にしつこく付きまとわれていた、との事。
「自身と交際しろ、と長い間しつこく付きまとわれていたんです。私の友人や家族の名前を出しては、不穏な事を言ってくるので恐ろしくて…………浄化戦争が終わった頃に泥酔したブロウズに襲われそうになった事があって、その際に蹴飛ばしてからはめっきり姿を見せなくなっていたんです。ですが、まさかここまで腐っていたなんて…………哀れにさえ思いますね。私の様な人が、他に居ない事を願うばかりです」
帝国軍は今週から、レガリス全土の憲兵による巡回を強化、またブロウズと黒羽の団に対する有益な情報に対して支払われる報酬を、更に増額する事を明らかにした。
また一時的にレガリスと他国の貿易を監視、規制する事も発表している。
クラウドラインや列車を含むレガリス国内の交通機関についても、一部規制されるとの事。
一部の地区では夜間外出禁止令も検討されているとの事だが、その点についてまだ公式の発表は無い。
捜査に協力を進言していたブロウズ一家は、今回の件において家族全員からレガリス全土に向けて正式な謝罪が行われた。
今回の件から帝国軍の監視下に置かれる事となったブロウズ一家だが、先祖代々続くキセリア人の家系である事に加え、デイヴィッド自身が元々は施設育ちの養子である事も加味された結果、家族においては非難に値しないとの判決が下された。
此からもブロウズ家はレガリスの正義の為、贖罪の意味も込めて帝国軍に全面協力するとの事。
【正当性保証】
今回の件において帝国軍のデイヴィッド・ブロウズに関する意見は、全て正当な物だと自身の人格、家系、誇りをかけて保証する。
今回の記事について虚偽の記述等があった場合、我々全員で責任を取る事を此処に記す。
“1838年、氷結の月17日”
“現ブロウズ家代表、ルイス・ブロウズ”




