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「アキム、今日は原生林の方が随分騒がしいが、どうかしたのか?」
「狩猟だよクロヴィス、いつも通りさ。大方、小型か中型の鳥でも狙ってるんだろう」
「にしては随分森が荒れているな、窓を見てみろ、さっきから鳥が原生林の上を飛び交ってるぞ」
「……本当だな、恐らく今日は大物を狙っているんだろう」
「この騒ぎようは銃砲でも使ったな、余り狩猟に銃砲は良く無いと思うんだがな」
「そうでもないさ、確かに銃砲は場を大きく乱すがそれを補えるだけの威力がある。使いどころを間違えなければ狩猟に銃砲は決して間違った選択じゃない」
「まぁそうなのかも知れないが…………よく銃砲は卑しい武器というじゃないか。どうにも好きになれなくてね」
「高貴な銃砲というのはしっくり来ないか?しかし貴族は一発も撃たない銃に丁寧に彫刻を施し、壁に飾っていたそうだぞ」
「私が居た屋敷でもそうだったとも。だが弓矢とは行かずとも、クロスボウぐらいにしておいた方が品があると思うんだがな」
「何にせよ、今日は余り森には近寄らない方が良いだろうな。興奮したハネワシでも襲われたら大事だぞ」