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「落ち着いてくださいミスターフィッツクラレンス、まずは落ち着きましょう」
「ここまでされて落ち着けると思うか!?あの亜人どもめ、まさか共食いしてまでダニールを殺すとは!!」
「所詮亜人です、抵抗軍どもには誇りすら無いとでも流布すれば汚い身内争いで済む話です、どうか落ち着いて……」
「そんなもの、レガリス中央新聞の知人にとっくに掛け合わせたさ!!奴隷民族どもが荒れているだけ、良い迷惑でしかないと記事にしろとな!!結果はどうだ!!」
「ミスター………」
「今やレガリス中で話題になっている!!ダニールの“疫病”も終止符が打たれ、いよいよラグラス人の未来が見えてきたかも知れないとな!!亜人どもが、自分達の汚い血筋すら弁えておらんのか!!!」
「ミスター、使用人が今朝から怯えております。どうか、落ち着いてください。何もダニールの信者が皆反旗を翻した訳ではありません、ダニールの意思を継ぐべきだという者も居ります」
「……ダニールの死によってざわついている亜人が使用人内に居ないか確かめろ、怪しい素振りを少しでも見せたら私の前に連れてこい」
「はい、直ちに」
「抵抗するなら処分して構わん、どのみち替えは効く。それと直ぐに夕食にする。ニーデクラの赤を一本持ってこい」
「ニーデクラの赤ですか?」
「二度言わせるのか?亜人の使用人と代わるか?」
「いえ、ニーデクラの赤でございますね、承知しました」
「…………後で電話を使う、用意させろ」
「はい。どちらに掛けられますか?」
「もう一度レガリス中央新聞の知人に念を押しておく。今回は事が大きすぎる、テオドールにも連絡せねば」
「はい」
「お話の所失礼します、ミスター!!」
「何だ!!飛び入る様な用事なんだろうな!?亜人の使用人が、わざわざ私の話に割り込む程なんだからな!!」
「お邪魔して申し訳ありません、テオドール様から連絡が………」
「ふん、それならば丁度良かった。今から連絡しようとしていた所だ。少し早いが先に電話にするか。用意しておけ」
「その、テオドール様から速達でこれが………」
「見せろ」
「………ああ、ミスター!!ミスター落ち着いて!!」
「黙れ!!!落ち着ける訳無いだろうが!!!亜人どもが!!!」
「ミスター、それは希少な……ミスター!!!」
「今回の件を鑑みて、焼き印の法案を見送りだと!!?ふざけおって!!!!」




