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「いい加減にしてくれよ、本当に知らないんだ」
「分かっていないのか?はっきり言っておくが、庇うのならお前も重罪に問われる事になる。ウェルデリー刑務所が噂通りの場所だと思ったら大間違いだぞ、噂より酷い場所だ」
「脅されたって知らないものは知らねぇよ、デイヴが何処に行ったのかなんて分かる訳無いだろ。そもそもデイヴが消えたのはもう4ヶ月近く前だろ?何で今になって再度聞くんだよ」
「何度も聞かれたくないなら、めぼしい情報でも出すんだな。お前は落ちぶれて、誰からも見捨てられたブロウズをわざわざ拾ってやった程の仲じゃないか。行く場所の検討ぐらい付くだろう」
「俺がデイヴを雇ったのは、命の恩人のあいつが軍を抜けて行く宛が無いと聞いたからだ。大体デイヴが訳も無く2人も兵士を殺す訳がねぇ、あんたらこそ何を隠してる?」
「新聞を読んでないのか?デイヴィッド・ブロウズは精神異常の殺人鬼だ、食人嗜好症に加えて帝国軍の重要機密漏洩という容疑もかかってる。ヤギとニワトリ以外相手してくれないお前らには、難しい話かも知れんがな」
「ふん、ならその新聞に出てきた“従業員の証言”ってのは何処から出てきたんだよ?デイヴからあんな言葉を聞いた奴なんて、うちには一人も居ねぇがな」
「おい、口に気を付けろ。あんな屠殺場など、その気になれば、どうとでも出来る事を忘れるな。親父の代から受け継いだ屠殺場を経営していたいなら、“賢明”に喋る事だ」
「分かったよ、新聞が全て正しいって。だが、どう答えて欲しいんだ?何度も言うが、俺は本当にデイヴが何処に行ったのかは知らないぞ。こればっかりは脅されても分からないとしか言えないんだから」
「ふん、役立たずのクズが。まぁ良い、従業員を全員集めろ。それと、屠殺場は暫く営業停止だ」
「何だって?ちょっと待ってくれ、営業停止?どうして?俺は言われた通りにしたじゃないか!!」
「望む情報も出せずに何が言われた通りだ、何にせよこの屠殺場は徹底的に調べる。ここの連中にも洗いざらい喋ってもらう、ヤギやニワトリを捌く仕事はその後だ」
「待ってくれ、只でさえこの呼び出しで仕事が押してるんだ。頼む、仕事に戻らせてくれ」
「おい、こいつの両親を連れてこい。このクズは知らなくても、何か知ってるかも知れん。こいつも喋り易くなるかも知れないしな」




