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異世界もふもふカフェ  作者: ぷにちゃん
第三章 テイマー、もふもふ小熊を助けに雪山探索
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15 指名依頼

 夜になり、太一は改めてこの世界と自分のことを考えていた。

 ベッドに寝転んで、見えるのは自室の天井。いつも一緒に寝ているルークやケルベロスには、考え事があるからとカフェで寝てもらっている。


「テイムしてない魔物と会話ができるのは、たぶんスキルの【異世界言語】のおかげかな?」


 今まで何も言われなかったから気にしていなかったけれど、やはり自分は規格外のようだ。

 普段は隣にルークがいるのでそちらに目がいきがちだが、太一も十分すごい。


「かと言って、スキルを隠しておくっていうのも難しいよなぁ……」


 自分のことだから、うっかりが間違いがよくある。

 太一にとって当たり前でも、この世界の人たちにとって当たり前だとは思えない。


(もちろん、お買い物スキルの日本のものや、創造で作ったものが規格外だってことくらいはわかるけど……)


 スキルに関してはもう、どうしようもないのだ。


(レベルも無限だし)


 はてさてどうしたものか。

 考え悩みつつも、太一はそのまま寝落ちした。



 ***



『人間は買い物が好きだな』

「まあまあ、肉も買うから付き合ってくれよ」

『お、ドラゴンの肉か?』

「さすがにそれは売ってないけど……」


 もふもふカフェが定休日なので、太一はルークを連れて街へやってきた。いわゆるウィンドウショッピングだ。

 何か面白い道具や、変わった食材や調味料があれば購入する予定だ。残念だが、ドラゴンの肉が売っているところは見たことがない。


 でも、今日も目的はショッピング以外にもある。


「ギルドランクが上がったら、カフェを増築するだろ? 建物の外観とか、いろいろ見て考えておきたいんだ」


 さすがに、日本にあるようなお洒落なカフェを創造するわけにはいかない。そのため、じっくりと街の風景を見たいと思ったのだ。

 中世ヨーロッパのような街並みは、歩いているとワクワクする。


(もふもふカフェは、温かみがあって、休まる場所にしたいなぁ)


 もふもふで癒され、簡単な食事とドリンクで休憩し、元気になってほしい。


「お、あの建物いいな」

『それなら、あっちのはどうだ?』

「それも捨てがたい!」


 水色の屋根の家、レンガでできた家、花をたくさん飾っている家や、ステンドグラスなどの装飾が凝っている家。

 いい味が出ていて、迷ってしまう。


「でも、絶対に必要なのは大きな窓! 通りがかりの人が中を覗いて、興味を持ってくれるのが一番!」


 まずはもふもふカフェに興味を持ってもらうところから始めなければ。

 そして、ほかのテイマーにも同じようにもふもふカフェをしてほしいと思っている。そうすれば、従魔だけではなくもっとたくさんのもふもふたちと触れ合えるからだ。


 もふもふ――魔物と触れ合うという概念がほぼないこの世界では厳しい道のりだが、もふもふスキーは着実に増えていっている。


「大丈夫、数年後にはもふもふカフェが溢れているはずだ……!」


 なんて考えていると、「タイチさん?」と声をかけられた。


「ん? あ、シャルティさん! こんにちは」

「こんにちは。ちょうどよかった、今、タイチさんのところに行くところだったんです!」

「何かありました?」


 少し慌てた様子のシャルティに、太一は首を傾げた。




 場所をテイマーギルドの一室へ移し、用件を聞くことに。

 太一がソファに座ると、ルークはすぐ横の床に落ち着く。シャルティが紅茶を淹れてくれたので、一口飲んで肩の力を抜いた。


「実は、タイチさんに指名依頼が来ているんですよ」

「え?」


 思いがけない言葉に、太一は目を瞬かせる。


(あ、でも最近はいろいろ依頼を受けてたから……)


 ランクはそんなに高くないけれど、指名依頼がきてもおかしくはないかもしれない。


「どんな依頼なんですか?」

「……タイチさんが調査をしたコログリ山なんですが、ここ数日フラワーベアが下りてきたみたいなんです」

「フラワーベア?」


 そういえば、コログリ山のことを聞いたときに上がった名前だったと思い出す。

 普段は山の上の方にいるため、めったなことでは下りてこない魔物。しかも今は冬なので、冬眠しているとグリーズに教えてもらった。


(冬眠してるクマが山を下りてきた……みたいな感じか?)


 そういえば、日本でもクマに襲われるニュースを見た。


「――って、めちゃめちゃ危険じゃないですか!!」

「そうなんですよ! フラワーベアは比較的温和で、人を襲うようなことはほとんどないらしいんですけど……」


 山から下りて来てしまったら、討伐するしかない。


「なので、テイマーであるタイチさんに指名依頼というわけです。テイマーなので、戦闘職の冒険者よりはフラワーベアを扱えるのではないか……って」


 それに、もし人を襲うような場合でも、ルークがいるため討伐することも可能だ。いろいろな可能性を考え、今回は太一に依頼をお願いしようということになったようだ。


(つまり、フラワーベアが山から下りてこないようにするか、それが無理なら討伐すればいいっていうことか)


 なるほどなるほどと、太一は頷く。


「うちにはコログリ山のコログリスがいるので、話を聞きながら行ってみます。理由がわかったら、たぶん一番いいんですが……こればっかりは、俺もどうなるかわかりません」

「もちろんです。受けてくれてありがとうございます、タイチさん!」


 ということで、フラワーベアの対処をするためコログリ山へ向かうこととなった。

ハチクマ→フラワーベアに変更しました

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― 新着の感想 ―
[気になる点] スキルに魔物用の【会話】はありましたが【異世界言語】はなかったような… Lv∞だから何とかなるのかな?
[気になる点] ああ!…熊の名称が変わったのですか!…道理で聞き覚えがないと思いました!…フラワーベア…良い名前ですよ! [一言] 主人公!…モフモフ好きなら!人のためではなく!クマさんの為!クマさん…
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