表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界もふもふカフェ  作者: ぷにちゃん
第三章 テイマー、もふもふ小熊を助けに雪山探索
71/90

9 森のもふもふ

「タイチ・アリマ、テイマーです。こっちはルークとピノ、クロロ、ノール。こういった依頼は初めてなんですが、どうぞよろしくお願いします」

「「「よろしく!」」」


 冒険者ギルドにて。

 ヒメリの後押しもあり、太一は共同依頼を受けることに決めた。今回はルークとケルベロスが一緒にいる。とても心強い。


 ほかのメンバーは、グリーズたちのパーティ。それから、アルケミストの女の子が一人。


「よ、よろしくお願いします……。アルケミストのソフィアと申します。ええと、私もパーティは得意ではないのですが、精一杯頑張ります」



 おどおどして声が小さい、アルケミストのソフィア。

 腰までのびた綺麗なプラチナブロンドに、ハニーグリーンの瞳。黒いフレームの眼鏡には、植物をモチーフにしたチェーンが付けられている。

 白衣ローブには大きなポケットがついていて、たくさん物を入れることができそうだ。

 年のころは一〇代後半くらいだろうか。



 太一はパーティに不慣れそうなソフィアを見て、これは初心者仲間では? と考える。それならば、いくぶんか気が楽になる。


「アルケミストの人に会うのは初めてで、ご一緒できて嬉しいです」

「……私も、テイマーは初めてです」

「なら、初めて仲間ですね」


 同じように返事をしてくれるソフィアに、太一は微笑む。


 挨拶が一通り済んだところで、グリーズが手を叩いた。


「んじゃ、簡単に説明をするぞ。俺達が行くのは、馬車で半日ほど進んだ『コログリ山』になる。そこで数日間、調査を行う。だいたい三日くらいだな。野宿のときの見張りは俺たちがやるが、いろいろ手伝ってくれると嬉しい」


 そう言ったグリーズの視線は、チラチラとルークへ向けられている。どうやら、かなり期待されているようだ。

 太一はアハハと笑い、「善処します」と告げる。


(まあ、ルークなら寝てても危険を察知できそうだから大丈夫かな)


 そうそう危ないことにはならないだろう。


「んじゃ、出発!」


 グリーズの声に返事をして、太一たちは出発した。



 ***



 コログリ山へ行くまでの馬車は、ギルドからの貸し出しでグリーズが御者をしてくれている。

 防水布のホロがついた馬車で、太一は荷台部分に乗せてもらっている。ルークは持ってきたお気に入りのビーズクッションで昼寝をし、ケルベロスは楽しそうに景色を眺めている。


「馬車での移動って初めてだ、すごく……揺れる!!」


 電車が心の友だった社畜の太一には、なんともいえないガタゴトと揺れる馬車に動揺する。


(道が舗装されてないってのも原因かな?)


 とはいえ、砂利道だが一応の舗装はされている。

 コンクリートのようにきっちりならされているわけではないので、こればかりは仕方がないだろう。


『あ~! 見て見て、タイチ! スライムがいる~!』

『倒す?』

『あれは雑魚だからほっといて大丈夫』

「山に着くまでは、襲われない限り何もしないよ」


 はしゃぐケルベロスたちの頭を撫でて、太一は「のんびりしよう」と告げる。

 山についてからが本番なので、ここで体力を使うわけにはいかないのだ。


(とはいっても、ケルベロスの体力は無尽蔵だけど……)


 自分がついていけるかが、ちょっぴり不安な太一なのであった。




 そして半日後、太一たちはコログリ山に到着した。


「お疲れ! 今日は周囲を警戒しながら進んで、中腹くらいで野宿だな。そこを拠点にして、明日から調査をする」


 グリーズが説明をすると、全員が頷く。

 今日は基本的に魔物を倒しつつ進むため、太一がテイミングをするのは明日以降になる。ソフィアの薬草採取も、明日だ。


(山の中腹……かぁ)


 山を見上げると、なかなか高い。

 冬ということもあって、山頂は白くなっている。おそらく、中腹をすぎたあたりから雪が積もっているのだろう。


(とりあえず、足手まといにならないように頑張ろう)


 すると、太一の足にもふっとした柔らかな感触が。

 なんとルークがもふもふの尻尾を絡ませてきていた。


「るるる、ルーク!?」


(突然のデレ期!?)


 太一のテンションが一気に上がり、今なら山頂だって楽勝で登れるような気がする。


『背中に乗っていくか?』

「あ、あー…………いや、今日はみんなもいるし、やめとくよ。気持ちはすごく嬉しいんだけど……」

『そうか』


 普段、ルークの背に乗って移動することが多い。

 今もとてつもなく乗りたいけれど、それだとルークに元のサイズに戻ってもらわなければならなくなる。


(そしたら、ルークがフェンリルってばれちゃうかもしれないしな……)


 後は普通に、男の自分がルークの背中に乗って進むのは絵的にもよくない気がしたからだ。ちょっとは男前に頑張っているところも見せたいところ。


 なんてことを考えルークとやり取りをしていると、太一の横にあった木がガサリと揺れた。そして――


『きゅ?』

「はわわわ、可愛いリス!!」


 新たなもふもふと出会った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] コロ(ガルドン)グリ山。転がるのは木の実だけなのか、果たして。
[一言] 実はリスって人を襲う程に凶暴w
[良い点] リスだーーー!モフモフダァーーー!リスのしっぽはきっと最高のモフですよ!…みなさんどこ派!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ