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異世界もふもふカフェ  作者: ぷにちゃん
第二章 テイマー、もふもふ猫を求めて隣国へ
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22 新たな名物ライダー

「ふああぁぁ~」


 窓から朝日が差し込み、太一は自然と目が覚める。

 今日の朝ご飯は何にしようか考えながら着替え、欠伸をかみ殺す。


 そしてふと、いつも太一の部屋で寝ているルークと、ベッドに潜り込んでくるケルベロスがいないことに気づく。

 太一が寝るときはいたけれど、早起きでもしたのだろうか。


「みんなと一緒に下にいるのかな?」


 不思議に思いながら、顔を洗って階下へいくと……もふもふが大集合していた。


「おはよう、みんなでここにいたのか」

『ああ』

『『『みっ!』』』

『『『おはよう!』』』

『おはよう』

『『『にゃ~』』』

『おはようございます!』


 ルークのあいさつはそっけないが、尻尾がぱたぱた揺れているので嬉しいのだろうということはわかる。

 ほかのみんなは太一のところまで駆けてきて、足の周りにすり寄ってきた。


(ふああああぁぁここは天国か……)


 思わず昇天しそうになるのをぐっと耐えていると、鉱石ハリネズミが『タイチさん!』と声をかけてきた。


「うん? どうしました?」

『実は折り入って相談があるのですが……』

「お? おお、もちろん」


 いったい何事だ? と思ったけれど、後ろではケルベロスをはじめみんながキラキラした目で鉱石ハリネズミのことを見ている。

 どうやら悪いことではなさそうだと、太一は少し安堵する。


『自分も、もふもふカフェに出てみたいんです!』

「えっ!?」


 昨日はまったくそんなそぶりを見せなかったので、太一は驚く。

 そもそも、鉱石ハリネズミは冒険者たちに狙われたりして怖い思いをたくさんしてきたはずだ。それこそ、行き倒れてしまうほどに。

 もふもふカフェには冒険者の常連もいるので、いい人たちではあるけれど……鉱石ハリネズミが怖いと感じてしまうこともあるかもしれない。


(うーん、どうするのがいいだろう)


 太一としては無理やり何かをさせるなど、そういったことをするつもりは一切ない。


「カフェに出てもらえるのは嬉しいけど、お客さんの中には冒険者もいるぞ。今はゆっくり休んでもいいと思うけど……」

『いえ! ……実は、夜の間にみんなと話をしたんです』


(だからルークもケルベロスも起きたらいなかったのか)


『話を聞いて、タイチさんの元にいるのは楽しそうだと思ったんです。自分は番を探す旅をしていましたけど……ここでも、何かしらの出会いはあるかもしれません』

「そうだったのか。ありがとう、鉱石ハリネズミ」


(フェンリルとケルベロスがいるんだから、確かに珍しい魔物との出会いはありそうだ)


 そんなことを考えつつ、さてどうしようかなと悩む。


 もふもふカフェに出るためには、テイマーギルドへの登録が必要になる。その場合、鉱石ハリネズミをテイミングしなければならない。

 しかしテイミングをしてしまったら、自由気ままに旅へ出ることも難しくなる。


 その説明を……と思ったら、ウメが『話しておいたわ』と太一に報告してくれた。


「そうなのか?」

『ええ。あちしたちも、テイマーギルドに登録したでしょう? どんな感じだったとか、教えてあげたの』

『自分はそれもわかった上でお願いしているんです! 美味しいご飯に、安心できる寝床……一晩で、そのすごさを実感したんですよね』


 少しばかり、腰を落ち着かせてみたいのだと言う。


「そういうことなら、喜んで」

『はい! よろしくお願いします』

「じゃあ――【テイミング】!」


 太一がスキルを使うと、鉱石ハリネズミがパチパチした光に包まれる。無事に、テイミングが成功した。

 次にするのは、名づけだ。


 鉱石ハリネズミは、キラキラ光る針を背中にしょっている。とても綺麗で、ずっと眺めていたくなってしまうような赤だ。

 それを見た瞬間、もし名前をつけるのならそれがいいと思った。



「赤色の宝石からとって、名前は――【ルビー】」



 太一が名前をつけると、鉱石ハリネズミ――ルビーに、光が降り注いだ。

 ルビーは嬉しそうに笑顔を見せて、何度もつけてもらった名前を繰り返す。


『ルビー、自分がこんな素敵な名前をつけてもらえるなんて。ありがとうございます、タイチさん』

「こちらこそ。……それと、もう家族みたいなものだから、さんづけはいらないよ。な、ルビー」

『……タイチ!』

「そうそう。よろしく、ルビー」

『よろしく!』



 ***



 ルビーはテイマーギルドで登録を済ませ、無事にもふもふカフェの一員となった。とても嬉しそうに、ベリーラビットたちに囲まれている。

 サイズが同じくらいなので、親しみやすい何かがあるのかもしれない。


 太一がのほほんとしていると、カランとドアベルが音を立ててお客さんがやってきた。


「どもー!」

「久しぶりのもふもふカフェ~!」

「もう、二人とももう少し落ち着いてちょうだい」


 やってきたのは、もふもふカフェの常連の冒険者パーティの三人組。

 太一がアーゼルン王国から帰ってきてから顔を出してくれたのは、今日が初めてだ。


「いらっしゃい」

「お、タイチさん帰ってきたんですか。――って、小さいのが増えてる!!」


 店内を見回したグリーズは驚いて、思わず一歩下がる。後ろにいたニーナとアルルは、急に止まったグリーズのせいでその背中に顔をぶつけてしまう。


「もう、何してるのグリーズ! ふあああぁぁっ、もふもふパラダイス!?」

「フォレストキャットがこんなにたくさん……」



 いかつい顔だがもふもふ大好き、グリーズ。

 がっしりした体形に、重厚な装備。パーティの前衛を務めるソードマンだ。

 普段はその顔と体型のせいで小動物たちに近寄ってもらえないけれど、もふもふカフェの魔物たちは怖がるそぶりを見せないので幸せを噛みしめている。



 パーティのムードメーカー、ニーナ。

 茶色のボブヘアに、オレンジの瞳。赤いバンダナがチャームポイントで、動きやすいパンツスタイルに身を包んでいる。

 ポジションはハンターで、素早さには自信があるようだ。



 常に冷静を装いつつも、ベリーラビットが大好きなアルル。

 長い金髪をツインテールにした、お嬢様キャラ。勝気な瞳と態度でわからないけれど、休日は一人でもふもふカフェに来てくれることも多い。



 いつも通り注文を取りながら、太一は「久しぶりですね」とあいさつをする。


「俺がいない間も来てくれたって、ヒメリから聞きましたよ。ありがとうございます」

「ここは俺たちパーティの癒しの場だからな!」

「そう言ってもらえると嬉しいですね」


 そんな雑談をしつつも……グリーズはもふもふたちが気になって仕方がないようだ。しかも今は、まだ触れ合ったことのないフォレストキャットたちもいる。

 話をしようと言うのは、酷だろう。


 グリーズたちがさっそく店内に足を踏み入れると、目を見開いた。


「って、なんだあれは!」

「きゃー! 可愛いっ!!」

「あれは……とても珍しい、鉱石ハリネズミ!?」

「そんなに驚くことは……って、ルビー!?」


 グリーズたちの視線を追って、太一も驚いて声をあげた。

 ウメが背中にルビーを乗せ、キャットタワーを登っているところだったからだ。


(なんだあれは、よくわからないくらい可愛いぞ……ライダーかな?)


 全員がその姿にメロメロになっていると、奥から「いらっしゃいませ~」とヒメリが出てきた。

 ヒメリのアルバイトは太一が戻ってくるまでという短期間の約束だった。

 しかしフォレストキャットが一〇匹も増えたということもあり、手が空いているときに来てもらうという条件で継続することにしたのだ。


「えー、ウメがルビーを乗せて走ってる! 可愛い~!」


 この光景には、ヒメリもメロメロだ。

 そしてハッと我に返ったかと思うと、猫じゃらしを手に取ってグリーズたちを見る。


「最高の遊びをお教えしますね……!」


 こうしてまた一人……と、猫の魅力に抗えない人が増えていくのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] もふもふ達同士で遊びだすとは。。。うらやましい。 って作者さん今回誤字多いようですよ(;´д`) 最近暑さがしんどいかもですがご自愛くださいませm(_ _)m
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