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異世界もふもふカフェ  作者: ぷにちゃん
第二章 テイマー、もふもふ猫を求めて隣国へ
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14 並んでお出迎え

 行きと同様に帰りも順調だったのだが、違った点が一つ。


『にゃう』

『みゃっ!』

『うにゃにゃ』

『オマエたち、落ちないようにもっとくっついて!』

(ああああああここは天国だ、もふ死んでしまいそうだ……)


 そう、フォレストキャットをテイミングしたものの、帰路に関してはあまり考えていなかったのだ。


(一気に大家族だもんなぁ)


 仲間が増えたのだから、無理なく馬車で……と思うかもしれないが、もふもふカフェでアルバイトをしてくれているヒメリには二五日ほどで帰ると伝えてしまっている。

 馬車を使うと片道で一ヶ月ほどかかってしまう。

 さすがにそんな日数はかけられないので、太一たちは全員でルークの背中に乗せてもらい夜の道を駆け抜けている――というわけだ。


『みゃふ~』

『にゃん』


 フォレストキャットは魔物というだけあって、ルークの移動速度もそこまで気にしてはいないようだ。

 ただ体が小さいので、落ちないかだけウメが注意をして見張ってくれている


 ということで、太一は猫のもふもふに埋もれるという大変素晴らしい旅になった。



 ***



 夜の移動ということもあって、太一たちがもふもふカフェに帰ってきたのは朝日が昇る少し前だった。


「はあぁぁ、さすがに眠いな……」

『軟弱だな!』

「しょうがないだろ……か弱いんだ俺は」


 あははと笑いながら、太一はカフェの鍵を取り出す。



 この世界の自宅兼『もふもふカフェ』。

 温かみのある木造の二階建てで、建物にはところどころ蔦が絡みファンタジーのいい味を出している。

 大きな窓からは中の様子が見えるようになっていて、誰かが足を止めて覗いてくれたらいいなと思っている。

 家の裏には太一が【創造(物理)】スキルで作ったお風呂と、小動物であれば走り回れるくらいのスペースがある。



 ドアに鍵を差し込むと、中から物音が聞こえてきた。


『わー、タイチの気配だ!』

『もう朝~?』

『おかえり!』

『『『み~っ』』』


 カフェでお留守番をお願いしていたケルベロスと、ベリーラビットたちの声だ。どうやら、太一たちが帰ってきたことに気づいて起きてきたらしい。


(お出迎えとか可愛すぎるだろ……)


 太一がドキドキしながらドアを開けると、全員がドアの前にちょこんと座って待っていてくれた。


『『『タイチー!!』』』

『『『みみっ!』』』

「うおっ!」


 ドアを開けた途端、全員が太一に向かって飛びついてきた。

 いい子にお留守番をしてはいたけれど、太一に会えない日々が寂しくて仕方がなかったのだろう。


 太一は倒れこみつつも、どうにか全員を受け止め頭や体を撫でてあげる。


「ただいま、みんな。俺の留守中は、大丈夫だったか?」

『えへへ、ヒメリがご飯くれたよ』

『美味しかった!』

『夜はベリーラビットたちと一緒に寝てたよ』

「そうかそうか。お土産のお肉を買って来たから、あとで出してやるな」

『『『やったー!』』』



 一生懸命太一に報告してくれるのは、真っ黒のケルベロス。

 元気で遊ぶのが大好きなピノ、自分の意見をはっきり言うクロロ、ちょっと寂しがり屋のノール。

 三つの顔と、一つの体。本来の大きさは三メートルほどだが、もふもふカフェにいる間は三〇センチくらいになってくれている。



 もふもふカフェの癒し担当、ベリーラビット。

 頭に苺がついている、可愛いうさぎの魔物。真っ白、茶色、ぶちと、毛の色が何種類かあるので自分のお気に入りを見つけているお客さんも多い。



 太一がケルベロスたちとあいさつを終えると、すぐにルークとフォレストキャットたちもカフェの中へ入ってきた。


『『『おかえりなさい!』』』

『『『みっ』』』

『ああ、帰ったぞ。留守は問題なかったか?』

『もちろん!』

『お客さんと遊んであげた!』

『みんながいたから、そんなに寂しくなかったよ』

『そうか』


 魔物たちの間でも、報告をしている。


(ちゃんとルークに留守中のことを説明できて、偉いなぁ)


 ルークとケルベロスの話が終わったのを見計らって、太一はウメたちフォレストキャットを呼ぶ。


「仲間になったフォレストキャットたちだよ。みんないい子だから、仲良くしてあげてくれ」

『あちしは群れのボスのウメよ、よろしく。この子たちは言葉はわからないけど、お利口だから言うことはちゃんと聞くと思うわ』

『『『にゃんっ』』』


 ウメが代表で挨拶をすると、それに合わせてフォレストキャットたちもお辞儀をした。世渡り術をしっかり身に着けているみたいだ。


『ボクたちは三匹で一匹!』

『もふもふカフェのムードメーカー!』

『ケルベロスだよ』

『『『み~っ』』』


 もふもふカフェサイドもケルベロスが代表してあいさつをし、互いに顔をすりすりしたりしている。

 どうやら、すぐに仲良くなることができたようだ。


「となると、残る問題は……カフェにキャットタワーの設置か」

『あの階段みたいなやつね』

「そうそう」


 ウメはフォレストキャット亭にあったのを見てから、実は登ってみたくてしかたがなかったようだ。

 でも、よそ様の家……というか宿なので、自分の住処になるもふもふカフェへ来るまではと我慢していた。


「作り直すのは簡単だから、改良とかのリクエストがあれば都度遠慮なく言ってください」

『ありがとう』


 今日はカフェの営業日なので、しばらくしたらアルバイトのヒメリがやってくるはずだ。


(今寝たら絶対に起きられないから……)


「よし、ヒメリが来るまで猫のおもちゃとキャットタワーを作るか!」

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