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異世界もふもふカフェ  作者: ぷにちゃん
第一章 テイマー、もふもふフェンリルと出会う
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10 ギルドカード

 手持ちが十分になった太一は、ひとまずテイマーギルドへと戻って来た。さすがに、商業ギルドにまで足を延ばすのは疲れてしまう。

 というか、このまま商業ギルドまで行っていたらブラックだった前世と何も変わらない。


 テイマーギルドに入ると、シャルティがすぐに駆け寄ってきた。


「おかえりなさい、タイチさん!」

「ただいまです」


 どことなく慌てた様子のシャルティに太一が首を傾げると、一枚のカードを渡される。

 見ると、太一の名前と、テイマーギルドに所属ということが描かれている。そしてカードには、『Fランク』の文字も。


(ギルドカード、ってやつか?)


「すみません、すっかり渡すのを忘れていました……。説明してもいいですか?」

「ああ、すぐに部屋に案内してもらっちゃいましたもんね」


 身分証をもらえるという話だったのに、自分こそうっかりしていたと太一は苦笑する。

 シャルティとカウンターまで行き、テイマーギルドの説明をしてもらう。


「テイマーギルドに所属した証の、『テイマーカード』です。これは身分証になるので、街の出入りやほかのギルドで使うことができます。なくすと再発行にお金がかかるので、気を付けてくださいね」


 冒険者ギルドを初め、登録している人はS~Fでランク付けをされているのだという。それが実力の指標で、依頼を受ける目安になるのだという。

 自分のランクより一つ上のランクまで依頼を受けられるので、太一はEとFランクの依頼を受けることができる。


 なるほどと感心していると、「一番大切な説明ですが」とシャルティがテイマーカードを指さした。


「テイマーカードだけではなく、すべてのギルドカードに共通しているのですが……魔力を流してみてください」


(え、どうやって?)


 思わず太一は固まった。

 確かにスキルを使えるのだから、この世界には魔力のようなものがあるのだろう。しかし、その使い方がわからない。


(スキルはスキル名を言えばいいだけだもんなぁ……)


 そう考えると、なんて楽なシステムなんだろうと思う。

 ひとまずスキルを使うような感じを思い浮かべてみると、テイマーカードが淡く光った。


「……! これって」


 表面に変化がなかったので裏返してみたところ、太一の情報がすべて書かれていた。先ほどギルドに提出したものではなく、持っているスキルや従魔の情報など、すべてが――だ。

 さすがにこれを知られるのはやばい、そう思ったところで「見せないでくださいね」とシャルティが告げた。


「ギルドカードに魔力を流すと、正式な情報が出ます。ちなみに、もう一度魔力を流すと消えます」


 シャルティに言われた通り魔力を流すと、太一のチートスキルたちがカードから消えた。


(よかった……)


「でも、なんでこんな機能? がついてるんですか?」

「基本的に開示の必要はありませんが、例外があります。依頼主からの希望と、犯罪などを起こしてしまった場合などですね。前者の場合は口ではなんとでも言えるので、信頼を得るために使われたりもしますよ」

「ああ、なるほど……」


 この世界では魔物が出て、常に死と隣り合わせだ。

 自分の職業やスキルを偽りなく提示できるということは、相手に信頼してもらう上ではいいのかもしれない。

 無理やりでないのなら、太一が今後誰かに見せるようなことはないだろう。


「ギルドで無理やり開示させることはないので、その点は安心してください。それと、あそこが依頼掲示板です」


 入り口から見て右手側の壁が掲示板になっていて、依頼の書かれた紙が貼られていた。基本的に魔物討伐が多いけれど、Fランクになると家畜の世話の手伝いなども含まれている。


(テイマーを動物の世話係か何かだと思ってるのか……?)


 まあ、もふもふカフェを運営しようとしている太一の言える台詞ではないけれど。


「説明ありがとうございます。戦闘などは無理なので、俺はのんびりカフェを開きます」

「……そういうと思ってました。あてはあるんですか?」


 太一が素直に依頼は受けないだろうことを言うと、シャルティは肩をすくめつつも頷いてくれた。


「さっき、冒険者ギルドで素材を売って資金ができたんだ。明日は商業ギルドに行って、物件を見る予定」

「そうでしたか。テイマーギルドも物件をいくつかもってますけど、見ますか?」

「え? そうなんですか?」


 テイマーギルドが不動産まで扱っているとは思わなかったので、少し驚く。


「どうしても大型の従魔もいますからね。いくつか物件を持ってるんですよ。ただ、従魔と一緒に……という条件がほとんどなので、街の中心より外壁近くか、郊外ですね」

「へえ……」


 フェンリルのルークは大きいし、今後はもふもふカフェに向けて従魔も増えていく予定だ。むしろ、街中よりも郊外の方がありがたい。


(というか、街中にして大忙しより、郊外にしてのんびり経営……の方がいい)


 商業ギルドの物件では、ペット――もとい従魔不可があるかもしれない。


「テイマーギルドの物件、見せてもらっていいですか!?」

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