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序章2



怖くてその場で立ちすくみ瞳を強く瞑った。死にたくないと念じながら。


「・・・」


数秒間沈黙が流れる。あのスピードなら俺はとっくにもう襲われてお陀仏な筈なのに異常はないし獣の唸り声すら聞こえない。

俺は恐る恐るキツく閉ざした目を開けてみる。


「・・・え?」


目の前にいるのはカチカチに固まった先程の動物。まるでそれだけ時間が止まっているが如く固まっている。


(何が起きたか分からないがとりあえず助かった。)


そろそろとその動物の方に近寄って触ってみると、なるほど見事にカチンコチンだ。それが溶かれる気配もない。

俺はほっと肩をなでおろしその場にへたり混んだ。


「・・・はぁ。まじ、はぁ。最悪だ。なんなんだよ、全く。夢にしたらリアルだし長いし自分が正気だし。オマケにこんな獣に襲われるとか、無理だわ。・・・でも、まぁ、とにかく座りこまないでこの場を離れた方が得策かもしれんよな。仲間の獣がいるかもしれないし・・・」


と独り言を抜かしているうちに見事にフラグ回収。俺を取り囲むようにぐるりとお仲間さん達がこちらを覗いている。勇気をだして走るとしても取り囲まれてはどこにも逃げられない。


(終わった・・・)


そうこうしているうちに徐々に仲間が増えてきている。八方塞がり万事休す。先程の感じた怖いという感覚ではなく今回は絶望に近い。血の気か引き無気力に座ったまま動こうと言う気にもならない。


(せめてさっきの獣みたいに凍ってくれれば・・・)


と何も出来ない俺は強く願った。


ピシッ、ピシッ、ピシッ

俺が思うと同時に獣が次々と凍っていく。


「?!」


見事に全て凍った。最初のやつのように固まったままピクリとも動く気配もない。

再度何が起きたか分からない俺はそのまま自分もフリーズする。


(・・・。これってまさか俺がやったのか?)


凍れと思ったら凍った、まるで魔法の様に。夢ならありえる。夢なら・・・


「あ、夢じゃん!あは!ははははは!」


(夢じゃないか!そうだ、これは夢だ!夢なら何やっても俺最強だろ!化け物がいくらでてきても魔法か何かで倒せるじゃん!)


夢まじサイコー!と大声で叫んで嬉しくなって俺は一目散に駆け出した。何も怖いものがないもう無敵状態。


「こうやって念じれば手から氷が・・・・・・・・・・・・・・・・・・でた!」


ある程度の大きさまでパキパキと作られていく氷が俺の手の中に収まっている。

嬉しくなり何度も繰り返し繰り返し氷を作ってみる。

よく見ると周りもキラキラと輝いているように見える。色は青いが蛍の光の様に綺麗な光だ。その光はなんとなく俺にとって心地よく感じることができた。


「なんて素晴らしいのだろう!夢万歳!」


そう言って俺は両手を上に上げて万歳してみせた。いつの間にかどっぷり日も落ちて星が綺麗にみえる。周りもキラキラと輝いき夜空もキラキラと輝き、何も無いと思っていたこの空間が一瞬で宝箱の中の様に思えた。


高揚した心を隠せぬまま森を抜けると、遠くに街が見えた。大きな街だ。ここからじゃまだ遠くてはっきりとは分からないがなんというか西洋的な雰囲気。


ドサッ。


ようやくわくわくしてきたこの段階で何故か一気に力が抜けて倒れ込んだ。最初は頑張っても寝れなかったのに急に眠気が襲ってくる。


「・・・力使いすぎたか。」


なんて普段なら絶対に言わないだろう厨二くさい台詞を捨て俺は気を失った。


どうやらこの夢が覚める時が来たようだ。



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