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青と蒼  作者: みつる
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誰かが私を呼んだ。深い眠りの水面に波紋が広がっていく。

「青起きろ」

ゆっさゆっさゆすられて私は目を覚ました。薄暗い中、和美ちゃんに手を握られながら起こされていた。しかも恋人繋ぎ。???どういう状況?え・・?あ・・覚えてない・・。けど、大丈夫!失くしたら創っていけばいいのだから!!私はそっと目を瞑って和美を受け入れる準備をした。いいよ。どうぞ。


ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア


わかりました。理解しました。ここは映画館。そして上映されてるのはホラーです。一瞬のときめき、そこからの落差たるや。絶叫系のアトラクションは高ければ高いほど落下した時の恐怖は相対的に高くなるものです。

「ひゃぁぁぁぁぁぁ」

「青うっさい」

反射的にこの場から離れようと席を立ちました。だけど、手をひっぱられ強制的に座らされます。

「次、寝たり逃げようとしたら絶交だから」

「でも、色々漏れそう・・」

「コップもカップもあんだろ。飲んで食べて入れればいいだろ」

なにを?と聞くのは野暮でしょうか?和美ちゃんは私のためかどうか分からないけど、ポップコーンをひっつかんで口に入れました。私はバックをごそごそします。やっぱりこの時のためにバックに入れていた眠剤は無くなっていました。私はどうやら一度、映画の最中にも関わらず眠ったようです。


ふと、おかしなことに気づきます。私は恐怖の臨界点を越えて眠剤を飲んだはずです。そして目論見どうり記憶を失くしたようです。だけど、無くなったのは、ちょうど昨日の夜、寝た時からでした。私が寝て、記憶を失くして、失くしてる間の私が寝て、私が起きて。失くしてるというか・・・入れ替わってる・・?


キャッキャッキャッキャッキャ


変な女が変な恰好しながら変な奇声を発してこっちにゴソゴソーって近寄ってきました。「ヒィ」悲鳴が漏れます。

「目瞑んなよ。後で感想会するから」

和美ちゃんが、じっと画面を見ながらそんなこと言います。感想といっても怖い怖い怖い怖い。ぎゅーっと和美ちゃんの手を握ります。抱き着いたらダメでしょうか?おっと、画面でおっさんに変な女が抱き着きました。先を越されちゃいました。フレンドリーですラブリーです。おっさん嬉しさのあまり絶叫。画面が暗転しました。おっさんは喜びのあまり昇天したようで遺影になってました。隣の和美ちゃんが「またかよ」ってフフっと笑いました。



「青さ。約束した時のこと覚えてる?」

映画を見終わり、無事夏を迎えた私達は衣替えをすませるがごとく気持ちを切り替え、近くのカフェでオシャレにカフェってた。和美ちゃんは頼んだアイスココアをストローでかき混ぜながらそんなことを聞く。もちろん覚えてないのだが、親友を疑うなんてあってはならないので、和美ちゃんに話を合わせる。

「もちろん覚えてるよ」

「あれ、嘘。来てくれないと思ってた」

和美ちゃんがさらっと裏切りを告白しました。私は固まってしまいます。

「青ホントに大丈夫?映画だって、怖すぎたからって気を失うなんて、ホントに心配したんだから」

「じゃぁ手を離してよ・・」

「心配も嘘だけどさ、最近、おかしいよ。」

さらっと嘘をついた和美ちゃんだけど、本当に私を心配してくれてるらしい。映画で寝たの薬のおかげだけど、それを言うと和美ちゃんが烈火のごとく怒るだろうから黙っておく。いくつか、和美ちゃんの中でも心当たりがあるのだろう。ちゃんと私を見てくれてる人もいるんだ。それが単純にうれしい。

「大丈夫だよ。なんでもないって」



その夜私は日記を調べた。すると、やはり私が記憶を失ってる日に日記をつけられているようだった。

あなたは誰ですか?

日記に書いて、消した。日記の中の私じゃない私はちゃんと私私してて、まぎれもない私であった。記憶障害ではなく人格障害。だけど、記憶の無い時の私も、同じように悩み頑張ってる風だ。人格障害というか二つに分かれた・・?こういう場合はどうすればいいのだろうか?ビミーミリガンみたいに、皆バラバラに名乗って人格があって、本物と偽物の区別がつきやすければ、対処の仕様もあるだろう。だが、どちらも青だった場合はどうするのだ・・?

私はとりあえず、この日書く日記の出始めをこんな文面にしてみた。


こんにちはもう一人の私へ


私と私の私だけの私に対する私のための私から私に送る交換日記がはじまった。






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