表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青と蒼  作者: みつる
5/34

○月×日

今日から日記をつけようと思う。記憶を失ってしまうのは怖いけど、いつかは治ると信じ、できることをしていこう。記憶を失っている間も普段どうり生活できているようなので、日記をつけていれば、その日起こったことを忘れても記録としては残るはずだ。これは「試練」だ過去に打ち勝てという「試練」と私は受けとった・・なんとか前向きに捉えていけたらなと考えている。

今日は母と病院にいった。昨日も行ったらしいが覚えていない。心療内科にいったのだが、治療室は本ばかりだった。人の心を治すには本が大事なのだろうか?今度先生に聞いてみようか?先生にも原因が分からないそうだ。気長に治していく覚悟が必要かもしれない。そのあと母と手をつないで帰った。車にひかれた時の話をされて困ったが、私も母も同じ記憶を共有しているのが嬉しかった。そして日記を買ってもらい張り切っている次第だ。


○月×日

朝起きて、日めくりカレンダーを破ってすぐに日記を確認した。なにか書かれていたらどうしようと不安だったが、なにも書かれてなくて安心した。いきなり時間が飛ぶのはホントどうにかしてほしい。おちおち眠れやしない。

今日は普段どうり学校へ行く。みんなには風邪だと説明をした。医者にも行ったのだし似たようなものだろう。早く治れば良いのだが。授業は更に遅れる形となったわけだが、次のテストが、ただただ不安だ。上手いことテスト中の記憶を無くせはしないだろうか?母は理解してくれているので、ある意味では乗り切れるはずだ。やれることをしようと思う。和美ちゃんがドラマ最近面白くないねと話を振ってきた。最近見てないと言うと、驚かれた。どうして?と聞かれたので、それどころじゃないのよ。と大人っぽく返す。笑われた。友達と他愛のないことを話す。事件や事故なし。こういう日がずっと続けばいいのだが。


○月×日

日記をつけるようになり3日目。そろそろ危ない気がする。寝れないので薬を飲むことにした。書き終わり次第飲もうと思う。この年で睡眠薬を飲むなんて・・・。和美ちゃんにでも自慢しようか。心配してくれれば、嬉しいのだが。母が朝から心配してきた。昨日なにを食べたか聞かれる。カレーと答える。母は安心したようで美味しかった?と味の感想を求めた。微妙と答えるとなんともいえない顔をされた。母が記憶を無くしたら教えてほしいと言ってきた。どうしようか?

学校の音楽がちんぷんかんぷんだった。この前、練習したらしいのだが記憶が3回分抜けている。冷汗がすごかった。記録に残せない分一番厄介かもしれない。授業は復習をかかさないようにしよう。ノートをしっかりとろうと思う。これも日記みたいなものか、どうなのか。

今日の晩御飯はグラタンだった。毎日晩御飯を記そうか?あまり母には心配されたくないのだがバレる時はバレるだろう。


机の上に置いてあったのは日記だった。私の記憶のない3日間のことがざっくりとだけど、記されている。私は何度も何度も繰り返し読み直す。記憶を失くして起きた時の恐怖がいつもの数段和らいだ。たまに失いつつも健気に頑張っている自分に好感が持てる。私最高。

階段を降りる。昨日と今日、地続きになっているという当たり前の感覚がなんとも新鮮で、これならなんとかやっていけるかもしれないと階段を強く踏みしめた。台所では母が朝食の用意をしている。いつもの朝だ。

「昨日のグラタンは最高だった」

「は?」

朝食を用意する母にそんなことを言ってみた。なにいってんだコイツみたいな顔をされたけど、記憶はなくても知ってるグラタンの味は最高に違いない。母は「はぁ」とため息をつきながらも、何も聞かないでいてくれたサンキュー。


「和美ちゃんありがとう」

「え?なにが?」

学校に行って和美ちゃんが居たのでお礼を言ってみた。和美ちゃんはなんのことか分からない様子で目をパチクリさせている。フフフと私が笑うと、えなに?なんのこと?え?え?なんで何も言ってくれないの?と私に詰め寄ってきた。和美ちゃんは可愛い。今日書く日記にべた褒めしておこう。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ