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青と蒼  作者: みつる
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朝起きた。私は即座に日めくりカレンダーを確認する。大丈夫だ飛んでない。むくりとベットから身を起こし、昨日の日めくりカレンダーを破り捨てた。

あれからも定期的に記憶を無くし、昨日破り捨てた日めくりカレンダーとの記憶が合致しないことが多々あった。学校の授業にもだんだんついていけなくなって、ドラマはもう見ないようにしている。たまりかねて母に相談したら次の日には学校を休まされ、お医者さんに連れていかれた。そうして色々と身体検査をしたのだが異常は見つからず、心療内科へと回された。


待合室はとても静かで小奇麗でなんだか別の世界に来たみたいで私は病気なんだなと思わされた。母が隣に居てくれてるのだが、なんだか心細い。機会があれば私の隣に来てずっと手を握っていてくれる。私達はとても不安だ。

受付のお姉さんから渡された紙に名前や症状、今までにかかった病気など多岐に渡って記入する。自分の心に関しての質問もあった。私は正直に答えた。書いた紙を受付のお姉さんに渡し、ほどなくして


「青さん中にお入りください」


順番がやってきて私の名前が呼ばれる。母に「じゃぁ」とだけいって、つないでいた手をほどくと扉の向こうへと入っていった。

部屋の中は待合室と違って結構ゴチャゴチャとしていた。造りは内科の部屋と大差ないのだが器具の代わりに本や書類が置かれているといった感じだ。あれが心療内科にとっての器具なのだろうか?


「こんにちは。そこにかけてください。」


中で待っていた先生が私に椅子に座るよう促す。先生は見た感じ優しそうで、私を安心させるように笑顔で出迎えてくれた。

「今日はどうされましたか?」


先程、用紙に書いたのだが、同じ内容を自分の口から詳しく話す。先生は私の目を見つめ真剣に聞いてくれた。


寝て起きたら数日過ぎているんです。その時の記憶が全くないんです。最近では8日前にこの症状が起きました。8日前から3日前までの5日間の覚えがありません。起きたら5日経っていました。一月ほど前からです。今まで3回くらいありました。最近怖くてあまり寝れません。寝たら起きれなくなるような気がして。悩みとかは今までそんなに無かったです。今はこれが悩みです。まだ母しか知りません。友達は誰も知らないと思います。記憶が飛んだあとそれとなく聞いてみたのですけど、誰も何も。母は私の様子が最近おかしいことに気づいていたらしくて、昨日私が相談したらすぐお医者さんに行こうって。このまま生活していく自信がないです。私はおかしくなってしまったんでしょうか?


つらくて苦しかった。この一月間の恐怖が堰を切って流れ出し、私に喋らせる。先生は何か深いところまで探るように私に問いかけ、私は全部、正直に答えた。自分でも今置かれている現状に関する覚えがなく、理由をつけるのは困難な気がした。


「記憶を失うといっても様々な原因があります。外部からの強い衝撃を受ける、何か大きなストレスを抱えている、どこかに病気を抱えている等です。青さんの場合、まだ何とも言えないのですが、自覚症状があり、記憶を失っている期間も普段どうり生活できているところから見て、大きな病気では無いと思います。とりあえず様子を見て、これからのことを考えていきましょう。こういった症状は若い頃に起きやすいんです。大丈夫すぐに元に戻りますよ。」


本当だろうか?先生は私がなかなか寝付けないのは身体にも心にも良くないということで、眠りやすくなる薬を出してくれた。私はお母さんと一緒にそれを受け取り帰路につく。


「良かったね。お医者さん大丈夫だって」

「大きな病気ならどうしようってすごい怖かった。まぁ結構よくあることなんだって、それにすぐよくなるって」

「そうね。ひとまず大丈夫そうで良かった。ホントに悩みとかあるわけじゃないのよね?」

「記憶なくすのが、すっごいストレス」


夕ご飯は私の好物ばかりが食卓に並んでいて、母が私のことをどれだけ心配してくれていたのか伝わってきて、嬉しかった。不安なんて潰れちゃうくらいいっぱい食べて、私はなんだか久しぶりにほっとした。

眠る時間となり、私はお医者さんから言われたとうり眠りやすくなる薬を飲む。最近寝不足だったこともあってか薬はすぐに効いてきて、私はやわらかな眠りへと落ちていった。

朝起きると4日がたっていた。机の上には見たことのないノートが置いてある。

「なんだろうあれ」

自分で置いただろうに思い出せない思い出せない思い出せない。











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