青
ある日、起きたら3日くらい経っていた。なにを言ってるか分からねーと思うが、思った。
「お、お母さん!私ずっと寝てたの?!」
ドタドタドタと階段を駆け下りて、降り掛けにそんな質問を母に投げかけた。母はよくわからないと言った顔をして「ずっと寝てたんじゃないの?」と私に問いかけるように質問を質問で返した。途中まででかかった言葉をぐっと飲み込む。
「え?え?お、起こしてよ!!み、三日も私寝てたの?!ん?ん???寝ぼけてる??」
「寝ぼけてるのよ」
母はそう言って、朝食の準備へと戻っていった。ん?ん?い、いやだって、でも、さすがに私が三日も寝てたらほっとかないだろ?でも、あ、あれ?携帯で確認した今日の日付が二十日。私が次の日のドラマを楽しみにして寝たのが16日。ごっそり私の中から3日分の記憶が抜け落ちていた。昨日のことすら覚えていない。きっと寝ぼけているんだ!私は、そう考えて二度寝をすることにした。
起きた。記憶は戻らなかった。ヤバイ、コレハヤバイ。私はあせりながらもパソコンを開いてぐー○ぐるを開く。分からないことがあれば聞けばいいのだ。だが、さすがにぐー○ぐるといえども、抜け落ちた私の3日を知りはしないだろう。さすがに私もそこまでバカではない。私はあせりながらも検索欄へ文字を打ち込む。
記憶が抜け落ちる 病気
記憶が抜け落ちると打ち込んだら、勝手に病気と付け足された。やっぱりあるんだ!そういう病気!最早寝ぼけているだなんて、おこがましい!!私は、一番上にあるページを開く、解離性健忘。どうやらこの病気にはこういう名前がついているようだ。なんでも、過度なストレスを受けることで、記憶に蓋をして、思い出すをのを無自覚で拒否してしまうとか。なにがあったんだよ、私の三日間・・・・。思い出すのが怖くなってきた・・。がんばってもがんばっても欠片すら思い出せないのだが・・・。体に異常は無さそうだし・・部屋に異変があるわけでもない。ホントに三日間の記憶が私の中から抜け落ちていた。学校のノートを見た。すると見た覚えのない授業の内容がノートへと私の字で写してあった。ぞっとした。他のノートも確認する。どれも普段と変わらない。分かっていないのは私だけ。これはホントにヤバイ気がする。
私はあせらない。階段を下りて母の元へと歩を進めた。
「お母さん、昨日、私、へんなとことかなかった?」
「なにそれ?どうしたの?」
普通に心配された。母には昨日の私のおかしな点など思い当たる節はなく、今現在、そんなことを聞いている私がおかしいと思っているようだ。どうしたの?なにかあったの?みたいな。
「どうもしてないけど、なにしてたっけなーと思って」
「普通にしてたわよ。いつもどうり帰ってきたら部屋に行って、ご飯になったら降りてきて食べて、部屋に戻って、ドラマになったら降りてきて、終わったら帰っていって、いつもどうりだったわよ」
少し非難混じりに言われた。自分ですら、なんて味気ないんだろうってなったけど、普段どうりの私だ。だけど、昨日見たはずのドラマの内容は頭に全く入っていなかった。失われた3日間。私は一体全体どうしたんだろうか?
次の週のドラマを見た。見事に一週分飛んでいて、知らない人が主人公と仲直りしていた。.
誰だコイツ。