呼ばれた面々
《二十着目》
そんなこんなで、町内会の肝試しの日がやって来た。参加者は続々と集まり、肝試しの準備は淡々と進んでいく。
肝試しの流れはこんな感じ。
まずは公民館に集まった参加者に、今回の主催者にされている袴が《怖い話》をして、次に、参加者達を、三人以下の少人数グループに分けて、墓場に用意してある《赤い紙》を取ってくるように指示する。最後に、全員が戻ってきたら簡単な食事会のようなものを開いて解散、とまぁそんな感じ。
特に何の変哲もない行事である。
ただ一点。
「おう、旦那。来たぜ。」
舞台裏にズラリと並んだ怪異達を除いては。
《二十着目 呼ばれた面々》
袴は淡々と彼らの名前を確認していった。
「ええと、一番左が《縊鬼》で………? 」
名前を呼ばれた怪異は、般若の様な顔をした長い黒髪の化け物。
「首を吊らせたい。」
「その右隣が、《針女》………。」
縊鬼の隣にいるのは、ニコニコと可愛らしい笑顔を浮かべる、長髪の女。
「イケメンをお持ち帰りしたいの。」
「んで、その隣が《夜道怪》………。」
そして針女の隣は、陽杖を持った修行僧のような老人である。
「子供をテイクアウトじゃ。」
袴はここまで言うと大きく息を吸い込んで、吸血鬼の頬を殴り付けた。
「おい、なんでコイツらを連れてきた! 危険人物と変態しかいないじゃねぇかっ! 馬鹿か! 」
しかし吸血鬼は口を尖らせて、こう反論する。
「えー。前回全然怖がられなかったから。今回こそはと思って気合い入れてみたのに。」
店主はもう一発、今度は吸血鬼の腹に拳をぶちこんだ。
「怖がらせる必要なんて無いんだよ! 安全第一! お前はさっさと子供達の前に飛び出して、翼を玩具にされてろ! 」
攻撃を食らった吸血鬼は、見た目よりも軽いのか、物凄く勢いよくぶっ飛ぶ。
見かねた、貧弱そうな男はおずおずと店主を止めた。
「あ、あの………。それくらいで。」
店主は吸血鬼が先ほど渡してきた名簿を見て言う。
「君は、ええと、《狼男》ってことでいいのかな。」
男は控えめに頷いた。
「………はい、満月じゃないので、全くそうは見えないと思いますが………。」
店主はその受け答えに感心する。
そして、上機嫌に彼の肩を叩いた。
「そうだね。でも私としては君がマトモでうれしいから全然OK。よし、事故の予感しかしないけど、早速、配役を決めよう。」
狼男は、嫌そうな素振りを見せるが、特に文句は言ってこない。吸血鬼が倒れたまま、問題なく話は進行した。
「………俺の扱いって何? 」
-つづく-




