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共鳴#3

なろうで執筆を始めて初めての感想をいただきました。

今後も力が劣らぬよう精一杯執筆に挑むのでよろしくお願いします。


それでは、本編をお楽しみください。


「あの国は、あの国王は明らかにおかしい」


 勢いに任せて国を飛び出した魔法使い『ナルミ・マホ』は止むどころか耳障りなほど大きく鳴り響く『聖なる剣』を抱え魔界と人間界の境までやって来ていた。


「へぇ、こんな所で勇者の仲間と出会うなんて」


「サキュバス」


 『聖なる剣』を持つマホと『魔なる剣』を持つサキュバスは一度、面識があった。


「フローズンシャンデリア」


 マホは魔なる剣と共鳴し続ける聖なる剣を握りしめ、サキュバスの頭上にシャンデリア状の氷塊を生み出した。


「前と同じ手法。でも」


 サキュバスは魔なる剣の鞘を投げ捨て、シャンデリア状の氷塊を一瞬のうちに屋の形に削り上げマホに返した。


「一対一ではないのなら面白くないな」


 サキュバスの返した矢はマホの身体を僅かに外れ、千鳥足ながらも正確にマホを追いかけて来た兵士の身体に刺さった。


「心配しないで、この程度の攻撃で命との繋がりが切れるようなら人間界で兵隊なんてやっているはずが無いから」


 サキュバスの言う通り、フローズンシャンデリアだった氷の矢は兵士たちの鎧の隙間にこそ刺さっていたが、反射的に返したとは思えないほど綺麗に人間の急所を外していた。


「貴女はこの兵士たちから逃げて来たようだけど、その理由は魔法使いであるはずの貴女が持っている『聖なる剣』と関係しているの? それともこの兵士たちにかけられている面倒な魔法が原因?」


「どちらもと言ったら?」


「そう言われたとしても私が直接対処することは出来ない」


 サキュバスがそう言っている理由がマホは十分過ぎるほど分かっていた。


「人間界の問題は人間界で解決しなくてはいけない」


 それは魔界にもある暗黙の了解であり、元を辿ればこの世界の昔話に出てくる『テン』が決めた事だった。


「でも、あくまで直接対処することが出来ないだけ」


 サキュバスはそう言うと次期魔王を名乗るには満点と言える邪悪な笑みを見せた。


「魔法使い。確か、マホと呼ばれていたよね? 前に戦った時、マホはこの世界最強の魔法使いだって自称していたけれど、この世界の魔法は全て扱えるの?」


 妙に馴れ馴れしい対応をし始めるサキュバスを不審がりながらもマホは答えた。


「禁忌魔法以外なら」


「やっぱり。という事は、兵士たちの不自然さの原因までは分からないでしょ?」


 マホは口を閉ざした。それをサキュバスは肯定として捉えた。


「兵士たちにかけられている魔法は『禁忌魔法エンジェリー・ウィスプァー』禁忌と言ってもこの兵士にかけられているのは一日で解けるレベルの軽いもの」


「サキュバス」


 マホの大声で兵士にかけられている禁忌魔法を語っていたサキュバスは語りを止めた。


「その説明では王国内に禁忌魔法を使う人物がいるという事なの?」


「いるだろう? 禁忌魔法を扱う魔法使いが」


「『聖なる剣』を持ち出して魔界と手を組んだ魔法使いが」


 サキュバスが羽織っているマントを掴んで叫ぶマホに答えたのは意外な人物だった。




「リョウちゃん? それに格闘家の……」


 マホの前に現れたのは聖なる剣の前持ち主だったレイド・ユウと共に魔王城へ挑んだ戦友である僧侶の『キサキ・リョウ』と格闘家だった。


「私が禁忌魔法を使えないことは知っているでしょ? 何でそんな嘘を」


「二人は理解できないよ」


 サキュバスは同情するようにマホの肩に手を置いた。


「残念だけど二人は『禁忌魔法エンジェリー・ウィスプァー』にかけられている。しかも、兵士とは比べ物にならないほど重く、強い本来の力で」


「返セ」


「返セ」


「「返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ、返セ」」


 リョウと格闘家の二人は徐々にマホに歩み寄りながら呪文のように聖なる剣の返還を求めた。


「二人とも、正気に戻って」


「返セ……」


 二人は突然歩みを止め、リョウが格闘家に向かって筋力強化の魔法『ヴィルダァー・アップ』を唱えた。『ヴィルダァー・アップ』により、全身の筋力が強化された格闘家は大樹の幹のように太くなった腕を地面に振り下ろした。


「危ないなぁ、操られているせいで一度に使う魔力配分が分かってない。これじゃあ、知性を持たない魔族以下だよ」


 間一髪のところで上空へ逃れ、余裕に満ちた声色でそう言うサキュバスの右手には咄嗟に抱えられたマホがいた。


「貴方たちの主がこの光景を見ているのなら、さぞ悔しがっていることだろうね。魔界方面に逃げたマホが魔族と出会うのは必然だけど、それがまさか次期魔王の私だなんて」


 操られているリョウと格闘家が驚くことは無かった。しかし、サキュバスの敵側か味方側かで言うと現在味方側に属しているマホは次期魔王の腕の中で驚いていた。



今回は共鳴の3話をお送りしました。

恐らく今回で共鳴の方は折り返しに入ります。


次回は共鳴の後半戦第1話『共鳴 #4』を予定しております。

最終話に向けて少し早足で書いているため、誤字や脱字があったり読みにくく感じる方もいらっしゃるかとは思いますが最後まで応援して頂ければと思います。


Twitterや前書きなどで何度も言っているためクドイと思われるかもしれませんが感想をお待ちしております。


本日はこの辺にして、また次回お会いしましょう。


東堂燈

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