表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩集⑫

履き古したスニーカー

作者: 桜ノ夜月

履き古したスニーカー。


記憶に残るスニーカー。


ボロボロで、薄汚くて、真っ黒で。


それでも捨てられないのは


僕みたいだ、って思うから。



駆け出したあの日。


小さな身体で


アスファルトを思い切り蹴って、走った。


楽しくて、目に映る全てのものにワクワクした。


履き古したスニーカーは



まだ、輝いていた。



何時からだろう、駆け出すことを恐れたのは。


何時からだろう、『明日』が来ることが恐くなったのは。


何時からだろう。何時からだったのだろう。



スニーカーを見ることを、しなくなったのは。



目まぐるしく季節は廻って

僕もだんだん歳をとって


駆け出すことを恐れた。

『明日』を見ることを、恐れたんだ。



スニーカーは、履けなくなった。



…でも。それでも。


止まない雨が無いように。

人が必ず笑うように。


優しい気持ちが繋がるように。



『明日』はまた、違う日々なのかもしれない。



履き古したスニーカーを


手に取ってみた。


ボロボロで、薄汚くて、でも、どこか輝いていて。


きっと、みんなそうなんだ。


みんな辛くて、でもそれでも泣きながら頑張っているんだ。


泣いて、傷ついて、叫んで、


それでも、頑張って生きているんだ。



履き古したスニーカーを


ゴミ箱へと押し込んだ。


思い出にすがるのはもう止めよう。



『明日』を見に行こう。



履き古したスニーカーは


僕の靴箱ココロから消えた。


それでもきっと


僕の『記憶』には



残っている筈だから。



靴箱の扉を閉じた瞬間に


声が聴こえた。



『いままでありがとう』



嬉しそうな、幸せそうな声で。


だから、僕も微笑んで言ったんだ。




『こちらこそ、ありがとう。』





感想、アドバイス等頂けると幸いです。

ここまでお付き合いくださり、誠にありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] とても素敵な詩でした。 良い気分になれました。
[一言] 前向きになれるステキな詩でした。いつも透明感溢れる文章で読んでいると僕まで幸せな気分になれそうです。
[良い点] 気持ちが新しくなる作品ですね! 読んでいて、すがすがしい気持ちになりました(*^o^*)
2014/01/05 21:55 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ