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三日月  作者: まねきくま
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俺が見合いをした訳

岡崎 樹サイドの話です

お互いに気心の知れた従妹の春香がどこかの御曹司のもとに嫁いでしまった。


春香とは将来を誓った仲で、必ずいつまでも俺の隣にいるものだと信じて疑わなかった。聞けば本人が望んだ事ではなく、資金援助のための政略結婚に近いものがあったらしく、別れる時もただひたすら俺に非が無い事と謝罪を繰り返し


「嫌いになった訳じゃないの。でもどうしようもない事なの」


そう言って涙を流していた。望まぬ相手に嫁ぐ事が不憫で


「一年だけ待ってくれ。俺が必ず迎えに行くから」


そう言って別れたのが最後だった。


それを目標にちゃんとした生活をしながらも、心にはどこか穴のあいたような言い知れぬ虚脱感があって満たされぬまま、このまま春香が相手に心を許して俺など必要としなくなるのではという焦りがあった。


そんな心の内を誰にも曝さなかったはずなのに、アイツにはお見通しだったようだ。いつの間にか見合いの段取りをとられていて相手を聞けば自分の彼女の親友だという。


取り立てて興味も無く、強いて言えば春香と同じ土俵に立てるって事だけが魅力って言えば魅力か?


それに春香を完全に諦めて想いを振り切ったと思わせるには好都合かもしれない。


一度見合いをして断わられる事になれば、再び見合いを持ちかけられた時の断わりの材料にできるはずだ。


相手には悪いが俺のために利用させてもらうことにした。まさか「私に興味を持たない事、干渉しない事」という条件をつけているにも係わらず食いついてくるとは思っていなかった。


更に条件をつけてこられるとは予想外の事で、俺に好条件の契約を結べた事は嬉しい誤算だった。関係としては偽装結婚に近いものがあるが、それは彼女も望んだこと。「無かった事」にはできない。


まぁ彼女の態度をみる限りそれはなそうだ。社内で偶然会ったとしても、今までの女たちと違って慣れ慣れしい態度を取ることもない。


まるで俺の事など眼中に無いような感じだ。俺の方がその事に戸惑っているのが自分でも信じられず、彼女との連絡を絶つことで彼女の出方を見ている。


結構、腹黒な男ですよ

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