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三日月  作者: まねきくま
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どうしてお見合いなのさ?

だからって、占いから帰ってきたのを待ち構えるみたいに釣書を持ってくるってどうなのよ。おまけに占いに行った事なんて筒抜けだし


香・・・あんた、うちのお母さんとグルになって仕組んだわね。怒りがこみ上げてきた。


「あのさ?心配してくれるのは嬉しい事なんだけど、私は香みたいに綺麗でも要領良くもないから、そう簡単にいい人なんて見つかるわけないし、ましてそんな人がいたら1年もぐずぐずしてないよ。もうすぐ人妻になるんだし、香が幸せならそれでいいじゃない。私まで巻き込まなくっていいから・・・ね?」


怒りをオブラートに包んで少し突き放した言い方をすると、香は何か言いたそうな顔をして眉をしかめていたけど、知らないふりを決め込んだ。


この件はもう構わないでほしい。それが私の本音


確かに、正直なところ立ち直ってないけど、仕事も面白くなってきたし、一人で暮らしていける自信もついたから、男なんて要らない。振り回すだけ振り回わして、おまけに自分勝手に振る舞われるなんて懲り懲りだし、それが一生ついて回るなんて考えたくもないよ。だから、もうすぐ現れるっていう私を必要としてくれる人なんてクソくらえだ


「嫌だ。絶対にお見合いなんてしないんだから」


「でもねぇ。お父さんの上役の方が持ってきて下さったお話だから、無下にお断りもできないのよ。」


「そんなの知るかー。」って言いたい所だけど、この景気だし、断ってリストラの対象になんかなっちゃったら目も当てられない。確かまだ家のローンが残ってるはずだし、私がそこまで稼げるかっていえばそれは無理な話だ。それなら


「お母さん。会うだけあったら断っちゃってもいいんだよね?」

断る気満々で一応聞いてみると


「まぁ一応はね」


なんですか?その歯切れの悪い言い方。まさか私に拒否権は無いとでも?


じとーっと見つめていると、観念したように


「先方からどうしてもって望まれたもんだから、そんなに無碍には断れないんだけど?」


おどおどしながら申し訳なさそうに言う母に返す言葉も無く


「そう。分かった」


なんで圧倒的不利な訳?でも、どうせ甲斐性もなけりゃ魅力も無い私を望むなんて、どうせつまらない男だろう。いざ会ってみたら幻滅したりして


そう思って、名前とお見合いの日取りだけ聞いて、釣書も何も見なかった。


だから、当日訪れた男があまりに美形で驚いた事は内緒にしておこう。でも、どこかで見た事あるような無いような。ってか雰囲気が似てる人なら見た事あるかも。


そう思っていると、どうやら同じ会社にいるらしい。経理部なんて興味も無いから名前も知らなかったし、顔は見た事あるかなってくらい。


だいたいその顔だし、エリートだし、お見合なんかしなくても充分結婚相手なんて選り取り見取りで決められそう。


でも、結局はまだ特定の女を絞り切れなくて女よけかが必要だったから、こんな地味な女を選んで条件を付けた訳か

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