確信犯ですか?
岡崎樹の計画が明らかに・・・
「誰それ?」
何やら訳ありなようで、それが「岡崎 樹」に結婚を急がせている原因だとすると私も知ってもいい権利があるような気がする。もっとも私の結婚したかった理由も言わなくちゃフェアじゃないのは分かってるんだけどね。
「春香は俺の従妹で、本当なら俺と一緒になるはずだった。諸々の事情でそれは叶わなくなったけど、向こうだって政略結婚だ。一年もすればきっと離婚できる。だから一年後迎えに行くって約束したんだ。ただ、女性は離婚後半年しないと結婚できない。だから俺の離婚が成立すると同時に春香と入籍する。それまで人の目を欺くために婚姻を結ぶ必要があるんだ。それに俺もバツ1だと春香に変な気負いをさせる事もない。」
はぁ?なにその計画的犯行。
一般常識的にそんな事許されると思ってんのかしら?そんな事したら自分だって相手だって肩身の狭い思いをするだろうし、政略結婚で婚姻を結んだのなら彼女の家はどうなるかとか考えてんのかしら?下手すれば相手の家から圧力掛けられて立ち行かなくなるかもしれないのに。それに一年で離婚できるなんてその自信は一体何処から出て来るのかしら?大体において、この男馬鹿じゃない?分かった時点でそんなまどろっこしい事しないで、その政略結婚が決まっちゃう前にさっさと自分のモノにしちゃえば良かったんじゃないの?
突っ込みどころ満載の告白に溜息を吐きながら呆れた視線を向けると
「君だって人の事言えるのか?」
と鋭い視線が向けられた。
「いや?それはその・・・なんて言うかさ?」
「周りから結婚しろって言われるのが嫌だったから契約結婚する気になったんだろ?」
どうして知ってるんだ。オマケに図星だし。私の個人情報はどうなってるんだろうね?っていうか、この事は誰も知らないはず。香にも言った事がないはずなのにどうしてアンタが知ってるの?
「なんでそんな事・・・」
表面上は取り繕ってはいるものの、反論の余地が無いからうろたえてしまう。
「なんだ図星だったのか。」
一瞬あっけにとられてから素に戻ると、適当な事を言われたのが偶々事実だったという事に気付き悔しくなった。いつかコイツの鼻を明かしてやりたい。憎々しい視線をむけると澄ました顔の「岡崎 樹」が優雅に缶コーヒーを飲んでいるのが目に入って苛ついた。
「そんな特殊な事情が無い分私の方の負担が少ないですよね。なんだったら今から離婚後の慰謝料の計算でもしときましょうか?そうすれば安心して離婚を迎えられますからね。」
明らかに不機嫌になった顔を見て、内心ざまぁみろと思いながら
「だってあなたがしようとしている事はそういう事なんですよ?」
と忠告めいた言葉を言えば
「そんなのは分かってる。だからといって結婚もしていないのに慰謝料の計算とは随分俺も舐められたものだ。」
「いや?別になめてる訳じゃないんだけどさ。最初から離婚ありきだとしたらそれでも良くない?」
おかしな事言ったかしら?首を傾げていると
「その時になったら弁護士でもなんでも紹介するよ」
ってアナタに紹介されるのって怪しくない?思わず怪訝な顔を浮かべて「岡崎 樹」を見るとシテヤッタリって表情を浮かべていて呆れて溜息を吐いた
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