表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三日月  作者: まねきくま
2/32

落ち込んでますよ?

あっさりと知らない女に攫われてしまった事に落ち込んでいる私に、友人たちはいい加減に諦めなよと言うけど、何だか自分の気持ちはいつまでも治まらなくて、治り切れない傷のようにジクジクと痛む


たしかに俺様だったし、きつい事も言うけど、優しい時はトコトン優しくて、私なりに好きだったんだよね。だから「彼、彼女」の関係が終わってしまってからは、同じフロアにいるあの人を、見ない訳にも話さない訳にもいかず、ただ張り付けたような笑顔で対応するしかなかったから、辛かった。


周りも二人の関係が終わってしまった事ぐらいお見通しだったのか、一緒に組んでする仕事はできるだけ避けてくれたみたいだし、和合さんに至っては机の位置まで変えてくれるほどの力の入れようだった。おまけに何度か香と一緒にヤケ酒にも付き合ってくれた。


くそう。和合さんに彼女が居なければ間違いなく和合さんと付き合っていたな。でも和合さんは香の彼氏だし、勿論心から幸せになってもらいたいと思ってる。


こんな相反する思いで、少しでも邪な事考えてたなんて知れたら、流石の香にも見捨てられるかも知れないな。


和合さんと幸せそうにほほ笑む幼馴染でもあり親友の顔を見てこっそりため息をついた事は内緒


そんな時


「祥子、ねぇ占い行こう占い。とりあえず和則さんとの事吹っ切れるようにさ。あわよくば、いつ頃に「出会い」があるか分かるかも知れないしさ」


香に誘われいまいち乗り気じゃないまま、占いに行くと・・・


「その方とは、男女の縁が無かった。と、そういう事ですね」


どれだけたっても、未だに悶々としている私に向かって、「一見、見た目は普通のおばちゃんなんだけど、よく当たる占い師と評判の人」がにべも無く言い切るのをただぼんやりと聞いていた。強制的にここまで引っ張ってきた香が


「ほら、だからアンタは悪くないってさ」


占い師の言葉にホッとしたような顔をしてすかさず口を挟んだ


浮気はされていたし、別れた原因も浮気相手を見せつけられたから

浮気を咎めれば「浮気は男の甲斐性だ」と言われれば黙るしかなかったし、許してきたつもり。でも、あそこまで私の事を拒否されたらどうしようもない


「要するに、私に女としての甲斐性がないか、どんだけ魅力がないかってとこだね」


なんとなくそういう縁がなかったって事には納得したし、あらためてそんなこと教えてくれなくていいから


「もうすぐ、あなたを本当に必要としてくれる人がきっと近いうち現れますよ」


はっきり言って、そんなの信じられるかい。それがいつなのか具体的に言ってみなよ

ため息を吐きながら、隣で香が一生懸命占って貰っているのを見ていた


正直、もう恋愛するなんて疲れたから「本当に必要としてくれる人」なんて現れなくてもいいし、そんな気力も体力もない。だいたいあんなのはもうこりごり


まぁ、親からすればいい年なんだからそろそろ孫の顔を見たいっていうのも分かるんだけどね


愚痴ってますね。ハイ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ