喜んでいますが自分の事は?
友達の香さんと和合さんの結婚式に出席しましたよ
6月の花嫁は幸せになれるって聞くけど本当なのかな?
和合さんと香が式を挙げるのはギリギリで6月最後の日曜。
今朝まで梅雨独特の湿った感じだったのに挙式が始まる頃には晴れ間が出てきてスッキリとした青空が広がってる。もしかして日ごろの行いが関係してたりして。そしたら私の時は間違いなく雨が降るだろうな。それも土砂降りで。
教会の祭壇の前で厳かな神父の声が響き、新郎新婦の誓いの言葉がそれに続く中そんな事を思っていた。皆に祝福されて挙式を終え、にこやかに手を繋いで階段を下りてくる和合さんと香。本当に幸せそうで、見ているこちらの方も幸せになってくる。
それを見るとすごく羨ましいと思う。私もあんな風に幸せそうに微笑めるのかと言えば、どうなんだろう凄く自信が無いか・・・な。見かけ倒しの幸せじゃなくてお互いを想ってるって事を知っているからかもしれない。
おかげで恒例のブーケトスには参加しなかったっていうより参加できなかった。一応結婚する事は決まっているし、結婚して本当に幸せになりたい人が参加するものだと思っていたから別に参加したいとも思わなかった。
少し離れた所から見ている私に「どうして参加しないんだ?」不意に背後から話し掛けられて、振り向くと「岡崎 樹」がそこにいた。そう言えばこの人、和合さんの友達だったっけ。ここに居た事すら気が付かなかったよ。
「別に必要だとも思わないし、参加しなくてもいいんじゃないかと思いますがね」
そう答えると即座にその場所から離れた。だって会社の人だっているのに、どうしてこんな所で話し掛けて来るの?それこそファンクラブの方々に見つかったらうるさい事この上ないのに。お近づきになりたい人だって沢山いるだろうから、私に話しかけないでほしいよ。
実際ブーケトスが終わったら近づいてくるお姉さん方がいるみたいだし虎視眈眈と狙っていたであろう笑顔には鬼気迫る程の破壊力がありそうで、被害を被りたくなかったから直ぐに離れたのは正解だったみたい。
そんな事もあったし面倒な事に巻き込まれるのは嫌だから、二次会には参加しないで、気の合う友人達とお茶をして取りとめのない話に花を咲かせていた。さすがにノロケ話には苦笑いしか出ないけど、久しぶりに会ったのでなかなか話は尽きなかったから、いつの間にか結構な時間になっていて惜しみつつもお開きにして帰路についた。
でも家について着替えもせずにベットに倒れ込むと、何だか急に空しくなってきた。香は長い時間かけて一生の伴侶を見つけ共に歩もうとしているのに、私は一体何やってるんだろう。モノの数分でたった1年限定の伴侶とも言えないようなルームメイトのような人と契約して、これから先、面倒な事は嫌だからとその1年間をフイにして、代わりに互いの利益だけを尊重して勢いだけで結婚する事にしたけど
お互いを思いやって本当に好きあって結婚する二人を見てると、どうしようもなく馬鹿げたことをしてる気がする。
そんなに「一度は結婚しました」って既成事実は必要なものだっけ?
そんなに「結婚したら?」って言われるのって辛い事なのかな?
自分が自分で分からなくなる。
それにしても、どうして「岡崎 樹」はあんな条件を出してまで結婚したかったんだろう。誰かの代わりだとしても、一年限定ってのは良く分からない。
そもそもどんな人なのか全然知らないけど、興味を持たない事ってどこまで許されるんだろうな・・・
「結婚したい訳」を知りたくなったけど、それを聞いてはいけないんだろう。きっと契約違反だって言われるのが関の山なんだろうな・・・。
読んでいただき ありがとうございます