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キ険な毒の膿《海》

 二人の生徒が能力を発揮した結果。

 とても簡易な相関図と犯人であった場合に考えられる動機がホワイトボードに纏められた。


 まずこの事件の被害者、鬼塚香織(おにづかかおり)

 3-C所属。この学園においては珍しい常人。ただ理事長の娘ということだけでこの学園に入学。

 生徒会役員で、庶務やら書記やら会計やら何でもこなすらしく、おかげで『影の生徒会長』と呼ばれている。

 困った人を見ると放っておけない優しい性格らしいが、裏では恐喝などをしているなど良くない噂有り。

 生徒、先生からの人気は良い印象から悪い印象まで意見がまちまち。

 アレルギー持ちでは無いことから、服用していた薬はアレルギー抑制の為の物ではなく、ただの処方された医薬品だと伺える。

 死亡場所は彼女に特別に与えられているという校内にある個室。机に突っ伏した状態で発見。水の入ったコップは倒れ、薬と思しきカプセル剤が散乱していた。


 次に容疑者の一人目、鬼塚辰人(おにづかときひと)

 この学園の理事長であり、被害者の父親。また、鬼眼者で、複数の能力を持っていると思われる。

 学園の中で最も謎に包まれている人物ではあるが、生徒や教師思いらしい。

 事件発生予想時刻時には理事長室にいた。証言者は秘書を兼ねている副理事長。

 彼の証言からは、「娘は自殺する気配は全く無かった」とのこと。

 また、彼を犯人と仮定した場合に考えられる動機は「鬼眼者でないごくごく普通の娘が疎ましかった」。


 容疑者二人目、飛鷹飛鳥(ひだかあすか)

 被害者の親友で、被害者と同クラスに所属。学校に提示された個人証明書には常人と書かれているが、学校内では鬼眼者であるという噂有り。

 クラスで目立つようなことをしない地味なタイプ。人当たりが良い清楚な文学少女と言ったイメージ。

 事件発生予想時刻時には図書館で読書をしていた。証言者は本人曰く図書館の司書の先生に聞けば分かるとのこと(要確認)。

 彼女を犯人と仮定した場合に考えられる動機は「日常における被害者に対する嫉妬心」だろうと推測される。


 三人目、国枝透司(くにえだとうじ)

 学園の生徒会長で、クラスは3-A所属。鬼眼者でその能力は透視。

 生真面目な人物で、柔軟な行動が出来ない。曲ったことは大嫌いで、生徒からの信頼も厚い。

 事件発生予想時刻には生徒会室で来年の引き継ぎの為のまとめをしていた。ただし、一人で仕事をしていたらしいのでアリバイ証明をしてくれる者はいない。

 彼が犯人だと仮定したなら考えられる動機は「何でもこなす被害者への嫉妬や生徒会を牛耳られることへの不安」。


 そして最後、帯刀恭美(おびなたやすみ)

 被害者の部活の後輩で2-B所属。能力なしの常人(個人証明書より)。被害者と彼女は美術部らしい。

 人懐っこい無邪気な性格で、精神年齢が幼い言動が多い。

 事件発生予想時刻には、教室で友達と談笑していたらしい。その友人がアリバイ証明者である。

 彼女が犯人の場合、動機は「被害者に何かしら恨みを持った」。


「っと、こんな感じっすかねー」

 旦はクルクルとペンを回しながら言った。

「……あの資料の量の割には簡潔すぎませんか?それに動機も曖昧ですよね……?」

 琥珀は想像していた以上に手短に纏められていたので疑問に思っていた。

 菜々が調べた情報の量の割には少なかったからだ。

「本当に書くべきだろうと思ったことをここに纏めただけっすよ」

「…………つまり、貴方達はここに書かなかった、まだ私が知らない情報を持ってるんですよね?」

「そうなりますねー」

「あの、一応私にもその情報が欲しいのですが……。その方が捜査がはかどりますし……」

 琥珀がやや謙遜気味に言うと、菜々がやや低い声音でささやくように言葉を発した。

「情報を知って、信じるんですか?調べてくれるんですか?」

「……もちろん、捜査しますよ?これでも警察ですから」

「琥珀サン。俺たちはある事情があって警察が信じられない。だから情報を渡さない」

 旦は真剣な眼差しだった。彼らがどれほど真実の言葉で言ったかが分かる。

 琥珀は二人に情報を詮索することを諦めた。

「……仕方ないようですね。公開しなくて結構です。……で、小さな探偵さんたちはお次に何を?」

「そーっすね……、現場検証と取り調べ、っすかねー」

 旦はにぃっと歯を見せて笑っていた。

ようやく、被疑者説明でした。

本当はこの回で現場検証を取り調べをしようと思っていたのですが、予想外に長くなりそうなので次回に持ち越しに。

……あと、このまま行くと「推理も何もねぇじゃねぇかよ、ふざけんな」ってなりそうなので大目に見て下さることをお願いします。

それでは、また次回をお待ちくださいませ。

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