11話 WHAT EVER
リアム
僕はそのまま引きこもりを続け、高校には入らなかった。
でも僕には収入源の目算があった。
動画編集だ。
僕は中学生の間に僕は動画編集のスキルをある程度身につけた。
母親に無理を言って、有料の動画編集ソフトを使わせて貰い、有名YouTuberの人が作っているような動画を作れるようになった。
高校生の年になってからネット上で動画編集の仕事を探したが、当然16歳の未経験の少年に依頼は来なかった。
真さんに相談すると知り合いのあまり知名度のないYouTuberを紹介してくれた。
僕は
「最初の1回は無料でやるから、それを見て注文するか考えてくれ」と伝えた。
僕は必死で本当に一生懸命に動画編集編集の仕事を覚えた。教えてくれる人はいないので独学だ。時間はいくらでもあった。
アルバイト程度に稼げるようになってから、オンラインの講習等を受け更に仕事を取れるようになった。
仕事が増えると僕は更に自室にいる時間が長くなった。
動画編集を初めて2年目からは親の扶養からも外れ、それなりの収納を得るようになった。
その頃に真さんから連絡があった。
「キャンプで天体観測とかしたくて望遠鏡買ったんだけどさ、星教えてくれない?リアム確か詳しかったよな」
そういえば小学生の時、プラネタリウムに行った影響で、真さんに偉そうに星をレクチャーした事があった。
引きこもってからも星に興味を持って色々調べた時期があったので多少は知っている。
断ろうと思ったが、真さんには世話になりっぱなしだ。
夜に近くの公園とかで望遠鏡を覗く位なら自分のリハビリとしても良さそうな気がする。
「わかりました。」
と、返答すると。直ぐに日時を指定して来た。
集合が昼前になっていたので
「どこ行くんですか?」
と聞いたら「高ボッチキャンプ場で2人でキャンプしよう。テント2個用意するよ。ウチの寝袋で良ければ貸すけど、気になるなら、毛布と枕だけ用意して」と返信が来た。
イキナリキャンプですか…ほぼ家から出てない僕に…
でも、キャンプなら他の人と会話する事も無いのか。
しかも近所の人や同級生に会う事もないだろう。
昨今のキャンプブームに少し興味はあった。
「無理して喋らなくてもいいし、気楽に考えていいよ。帰りたくなったら言ってくれ」
今行動しなければ、いつその気になるかわからない。
「わかりました。」
かなり勇気を出して簡潔に答えた。
当日迎えに来た真さんは
「リアムでかくなったな!」
と、驚きを隠さなかった。
僕は中2の歳から身長が伸び始め今では183cmになっていた。真さんより5センチほど大きくなった。
ほぼ全く運動はしていないので、まだ太っている。
「お、お、お久しぶりです。よ、よろしくお、お願いします。」
久しぶりに家族意外に対して言葉を発するのは難しかった。
僕は結局ほとんど喋ることは出来なかったが、真さんは楽しそうに、嬉しそうに僕に話しかけてくれた。
僕は役に立たないなりに設営を手伝い、外の空気をたくさん体に取り入れた。
ご飯は一緒に食べて別々のテントで寝た。
少し雲がかかったりもしたが、僕は何時間も望遠鏡を見ていた。
数年ぶりにワクワクを感じた。
帰りの車で僕は真さんに聞いた。
「僕が一人でキャンプしたいって言ったら出来る?」
真さんは当然のように
「余裕でしょ。何回か俺かお父さんと行ったら、なんでも出来るようになるよ。なんでも相談してくれ。」
僕の仕事は自宅にいる必要がないので、外で仕事をしながら天体観測をする事が可能だと思った。
だけど、僕は免許を持っていないので、公共交通機関を使っての徒歩キャンプになる。更に望遠鏡も持っていかなければならない。真さんは、昨日使ったテント、徒歩キャンプで使えそうなギアを僕にくれた。
それから3回程キャンプに連れて行ってもらい準備を整えた。僕は月の3月分の一程をあちこちのキャンプ場で過ごすようになった。
それから2年位経った頃、母から連絡があった。
「真さんの奥さんからなんだけど。「晴ちゃんの様子を見に行って欲しい」って 」
そういう訳で、僕は今日晴ちゃんの様子を見に来ている。
子サルをやっていた時、周りでチョロチョロしていた女の子が、とても可愛くなっていて驚いた。本当にこの子があの髭面の真さんの娘なのかと衝撃だった。
僕に奥さんから送られてきた写真はバイクだけだったのだ。
と、とにかく、僕は少しでも真さんの役に立ちたくてここへ来た。
結局すぐに坊主頭の男性は状況を理解してくれた。
見た目と違ってとても優しい人だった。聞けば真さんの奥さんの元部下だという。
僕の望遠鏡も気になっていたらしく、後で子供と星を見させてくれと頼まれ快諾した。
またも真さんの影響で、予想外な所で、僕には歳上の友人が出来た。




