危機
彼はノヴァがヘーゼルと言う女によって誘拐された状況に唖然とした。そして彼はメッセージを読む。
「私の居場所を知りたいなら私のメッセージに従って動いて。」
メッセージの続きを読む。
「まずあの女とやり取りをしていたポストの所まで行って。」
彼は鞄にメッセージを入れた。
「トーマス、どこに行くんだ?」
「少し旅行に言って来る。車は返してもらうから。」
彼は車に乗っていつもの公園に行った。そしてポストの鍵を開ける。すると中にはポストの鍵とメッセージが入っていた。そしてそのメッセージも読んだ。
「ポストの中に入ってた鍵が必ず持ち歩いて。使わなくなっても必ず持ち歩くこと。」
彼は鍵をカバンの中に入れる。
「公園内にある鳥巣箱の中に新たなメッセージがあるからそのメッセージを次に読むこと。」
彼は鳥の巣箱を探し回った。
「何探してるの?」
数人の小学生がトーマスに聞いた。
「鳥の巣ここら辺で見なかったか?」
「おじさん、鳥が好きなの?」
「野鳥を研究してるんだ。研究で鳥の巣を観察しないといけなくて。知ってるかな?」
「分からない。」
「私も知らない。」
「僕も知らない。」
誰も分からなかった。
「分かった。ありがとう。」
彼は鳥の巣箱を探し続けた。
「ここにもないな。」
公園内を彼は走った。
「すみません、鳥の巣箱見ませんでしたか?」
「さあ、そんなの知りません。」
通行人に聞いたが中々見当たらなかった。
「あと見てない所はあそこか。」
まだ行ってない所に彼は行った。すると鳥の巣箱があった。
「あそこか。」
鳥の巣箱の鍵を開ける。するとメッセージが入っていた。それを読む。
「ヘーゼルよ。私からの次の命令よ。鳥の巣箱に一緒に地図が入ってるわ。目印のある河川敷沿いに来て。そこで一つのメッセージが入った空き瓶を見つけること。」
彼は地図を確認しながら車に乗った。
「ノヴァ、絶対助けるからな。待っててね。生きててくれよ。」
彼はかなりスピードを出して走った。何回か他の車にぶつかりそうになる勢いだった。そして彼は河川敷沿いについた。
「空き瓶はどこだ。」
彼は空き瓶を探し回った。
「ここにもない。」
「何をしてるんですか?」
川で釣りをしてる人が聞いた。
「河川敷沿いで大事な空き瓶を探してるんです。僕の大切な人が誘拐されてしまって。」
「誘拐?それは警察に通報しないと。」
「警察は信用出来ません。僕だけで解決します。」
「何言ってるんだ。空き瓶を探してる場合じゃないだろ。」
「空き瓶を見つけないと駄目なんです。警察は絶対に呼びません。」
「何を考えてるんだ。誘拐なんて君一人で解決する問題じゃないだろ。」
「もう良いです。」
警察を呼ぶとトーマスの立場がなくなる可能性があるから呼べなかった。
「ノヴァ、生きててくれ。急いで、君のもとに行くから。生きててくれ。」
彼は涙を流した。
「ちょっと、君!」
「来ないでください。」
男性を放置して空き瓶を探し続けた。
「見つけた。」
見つけた空き瓶には何も入っていなかった。
「違う空き瓶かよ。」
彼は探し続ける。
「これでもない。」
彼は走る。風が強くなっても走り続ける。
「見つけた。この空き瓶だ。」
空き瓶を開けてメッセージを取り出した。そして彼はそのメッセージを読む。
「よく見つけてくれたわね。次の命令よ。地図に表示された森に来て。そこにポストを設置した。ポストの中を見て。地図はホッチキスで一緒にとめてあるわ。それと最初に用意した鍵を必ず持ってくること。早くしないとノヴァと言う女を抹殺する所を見せられないかも。言ってる意味分かるよね?待ってるよ。私だけのトーマス。」
彼はメッセージを読み終わる。そして車に乗る。
「森かここから大体30分くらいのところか。」
彼はまたスピードを出した。
「もっとスピード出せ。」
どんどん速くなって行く。
「やっと森だ。」
森の中で車を走らせる。とても薄暗い森だった。獣や鳥や虫の鳴き声が響き渡った。森の中を見ながら車を走らせた。すると緑色のポストを発見する。
「見つけた。」
ポストの鍵を開けた。中にはメッセージが入っていた。
「探すの難しかったかしら?私のためならこれくらいのこと出来るよね。次の命令よ。いつもやり取りしてる公園内に一通のメッセージが入った空き瓶があるからその空き瓶を見つけること。待ってるよ。あなたは私だけのものだから。」
彼はメッセージを読み終わった。
「あの女、また公園に行かせるとかどういうつもりなんだ。本当にどこまで俺のことを振り回すんだ。ノヴァを監禁してるなんて許せない。絶対に見つけ出す。」
彼はイラつきはじめた。車どんどんスピードあげて走らせる。
「おい、お前の車ぶつかったぞ!」
他の車がぶつかってもノヴァのことで頭がいっぱいなのでどうでも良かった。それからも他の車と何回かぶつかるようになる時が何回もあった。
「ノヴァ、待っててくれ。」
彼はさっきの川を渡り、公園内に戻った。そしてヘーゼルと言う女の言う通りに空き瓶を探し出した。
「空き瓶なんてどこにあるんだよ。」
「トーマス、何してんだ?」
ノアが目の前に現れた。
「ノア、何だか久しぶりだな。だけど今急いでるんだ。」
「何してるんだ?」
「空き瓶を探してるんだ。」
「空き瓶?何で?」
「ノヴァが見知らぬ女から誘拐されたんだ。そいつは前から俺の生活を把握してたみたいなんだ。」
「警察に捜査依頼したくても出来ない状況だよな。お前が窮地に立たされているのはよく分かる。俺も協力する。」
「ありがとう。それでリアは大丈夫なのか?」
「今日は女友達の所にいるんだ。」
ノアも一緒になって空き瓶を探す。
「ノア、見つけたか?」
「まだだ。くまなく探してるつもりだ。」
「俺もまだ見つからない。」
彼らは空き瓶を探し続けた。
「空き瓶あったぞ。」
「ノア、見せろ。」
中を開けたが空っぽだった。
「メッセージが中にはいってる空き瓶じゃないと意味がないんだ。それさえあればノヴァの居場所を突き止められる。」
空き瓶を探して1時間が経った。
「これじゃないか?」
「違う。」
「綺麗な瓶が落ちてた。」
「本当だ。きれい!」
少女達が瓶を拾った。
「ちょっと待って。お嬢ちゃん、その空き瓶、おじさんに渡してくれないか?」
ノアが彼女達の方に行く。
「何で?こんな綺麗な瓶渡したくない。」
「そこのおじさんの大切な人が今危険に晒されてるんだ。この瓶さえあれば解決するんだ。」
「何言ってるの?意味が分からない。」
「ノア、俺が話をつける。」
トーマスはノアを押しのけた。
「お嬢ちゃん達、瓶の中のものが気になるから取り出したら君達に返すよ。」
トーマスがそう言うと少女達は彼に瓶を渡した。
「メッセージと地図が入ってるな。」
瓶に入ってるものを全て取り出した。
「お嬢ちゃん、これ返すよ。」
「ありがとう。」
「おじさん達元気でね?バイバイ!」
彼女達はトーマスとノアに手を振って瓶を持ちながら去って行った。
「何であんなきれいな瓶に入れたんだ?」
「さあ、知らないけど。それよりメッセージを読むぞ。」
彼らは一緒にメッセージを読む。
「読み上げるぞ。「ヘーゼルよ。私からの最後のメッセージよ。空き瓶の中に一緒に地図が入ってるからそれを見て私に会いに来るように。ノヴァと言う女よりずっとあなたのことを愛してるよ。ノヴァと言う女はあなたを愛してなんかいない。あれは幻想の愛なのよ。だからそんな悪い女を目の前で殺してあげる。あなたのためなら何でも出来るんだから。」だとよ。頭がおかしすぎる。」
「そう言うやつはお前一人だと不味い。俺も一緒について行く。」
「車に乗るぞ。」
トーマスはノアと一緒に目的地に向かう。
「ストーカーだなんて、何か心当たりはあるのか?」
「それが何もないんだ。何で俺がローガンのことを死なせたことを知ってるのかもよく分からないんだ。家にローガンの養母が来たことも知ってるみたいだし。ヘーゼルと言う女は本当に何者なのかよく分からないんだ。」
「確かに俺もお前があとをつけられているような気配なんてないと思っていたんだけどな。」
「クソ、燃料切れだ。」
彼らは車を降りる。
「ちょっと車貸してくれ!返すから!」
「ちょっと君達、待って!」
他の人の車に彼らは乗り換えた。
「代わりの車あって良かったな。」
「後で返す車だけどな。」
トーマスはどんどんスピードをあげた。
「トーマス、お前誰かに恨みを買うようなことはしたか?」
「いや、そんなことをするような人間に見えるか?」
「例えばローガンの養母の復讐とかあるんじゃないか?」
「それはないだろ。」
「鍵の修理をした家の高齢女性につきまとわれたとか?」
「変な冗談はやめてくれ。あの人はそんなようなことをする人じゃない。」
「人は見かけによらない。俺達だってローガンのことを無かったことのように隠してるだろ。それと同じさ。人間何考えてるかよく分からないもんなんだよ。」
「犯人が誰だろうとノヴァを助ける覚悟は俺には出来てる。」
彼らは目的地の付近についた。そして車に降りた。そして歩いて20分が経った。
「割と歩いたな。」
「何だか薄気味悪い所だな。」
あるボロ屋敷に入って行く。そこのテーブルに一通のメッセージがあったのでそれを読み上げる。
「やっと私達会えるね。ここから地下に降りると私とあのノヴァと言う女がいるわ。ダーリン、このメッセージを読んでることは私のことを見つけるのに待ち遠しかったのかしら?ようやく会えるね。あの女も殺すから楽しみにしててね。」
彼らはメッセージを読み終わった。
「あの女許せない。ノア、悪いがここは一人であの女のところに行く。ノアをこれ以上巻き込むわけには行かない。お前はこれから父親になるからな。ここで待ってろ。もし巻き込まれたらすぐに逃げろ。分かったな。」
「何だ。俺はここでようなしかよ。それならここで待ってやるよ。」
トーマスは地下へ降りて行く。昼間なのにとても薄暗いボロ屋敷だった。彼はようやくヘーゼルと言う女のもとに着いた。
「トーマス、助けて!!」
ノヴァはトーマスを見て叫んだ。ノヴァは手と足を女によって縛られていた。
「お前、ノヴァから離れろ!」
「やっと私に会いに来てくれたのね。この女は最初からいないような存在の女なのよ。」
「何を言ってるんだ。気持ちが悪い。ノヴァに何かしたら許さない。」
部屋の中は暗く、地面はコンクリートで空気は冷たかった。




