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地球大戦  作者: ET
8/99

第八話 ウル ニューゲーム②

【ウル】

「私の“神技”は、触れたものを爆弾に変えることができる。

火花(かか)爛漫(らんまん)

ただし、爆発するタイミングは分からないし、操作できない。

数字の見えない時限爆弾かな。

だが私は、持ち前の頭脳により、ある法則を見つけた。

それにより、一秒の狂いもなく爆発する時間を予測できるようになったのだ!」


男は、民衆の前で演説する大統領さながら、高々と両手をあげて語りだす。

しかし、おれはこいつの言っていることがさっぱりわからない。

「おい!“神技”ってなんだ!」

幼馴染を殺された怒り。

今はそれを抑えろ。

この得体のしれない人物のことを掴むまでは・・・。


「おや。どうやら自分の能力にまだ気づいていないようだね・

それに例の動画も見ていない・・・。

しまったな。てっきり、キミの“神技”によって、私の能力が見破られたものとばかり・・・」

「だから、その”神技“ってなんだ?それに動画って?」

男は深く息を吸い込む、また話し出す。

「“神技”は、神によって、選ばれし人間に与えられた特別な力。

神はその力を使って、戦って欲しいのだそうだ。自分が楽しむためにね。

その旨が、今日の正午ちょうどに投稿された動画で、説明されていたのさ」


・・・神?

話を聞けば聞くほど、おれの頭は混乱してくる。

しかし、こいつの顔を見て、おれはあることを思い出す。

「おまえ。この高校の教師じゃないか。確か、・・・。」

おれの学年の担当ではなかったが、今年、新任したばかりで見覚えがあった。

「えぇ。ご紹介が遅れました。この高校で数学を教えていました、タレス、と申します」

タレスと名乗る男は、わざとらしく、深々とお辞儀をする。

「キミの名は?」

「・・・ウル。なぜここの教師が、校舎を爆破なんてするんだ?」

「大人には、いろいろ事情があるのだよ。

キミが想像もつかない苦しみを味わうこともある」

「どんな理由があっても、大勢の命を奪っていいことには、ならないだろう」


すると男は突然、歯をむき出しにして叫ぶ。

「うるさいぃぃぃ!!私に説教をたれるなぁぁぁ!!」

そして、足元にあった小石を数個手に取り、おれの方へ目掛けて投げてきた。

「ドクンンッッ!!!」

小石は、おれにあたる前に光を放ち、爆発する。

おれは爆破の勢いに、数メートル後方へ吹っ飛ばされた。

両腕に痛みを感じながら、地面に転がる。

「そこでおねんねしてな、ウルくん」

男は、おれを通り過ぎ、ゆっくりと去っていった。


まずいぞ。

何が何だか分からないが、やつの力は本物だ。

小石を爆弾に変えて投げつけてきやがった。

やつは、手のひらに触れたものを爆弾に変えることができる。

だとすると、この町のものすべてが爆弾になりうるってことじゃないか・・・。

危険すぎる。

野放しにはできない。

おれは、痛みに耐えつつ立ち上がり、男の後を追う。


タレスを追いながら、おれは考えを巡らせる。

小石が向かってくるとき、また心臓が強く鳴り響いた。

今回は、今までで一番強かった気がする。

そして、おれはふっとばされ、腕を負傷した。

あいつのいうとおり、おれにも“神技”とやらが備わっているとしたら・・・。


おそらくおれの能力は、身に起こる危険を心臓の鼓動により感じ取ることができるものだ。

鼓動の大きさは、身に迫る危険の大きさを示しているんだ。

だから、校舎にいたとき徐々に心臓の鼓動がでかくなっていたんだ。

爆発する時間が迫っていて、おれもみんなと一緒に死んでしまうから。

その時、幼馴染の顔が浮かぶ。


「くそ!絶対許さねぇ、タレス!」

「ドクンンッッ!!!」

また心臓がなる。

これは、さっき小石が飛んできたときの大きさと一緒だ。

つまり、近くで何かが爆発する!?

おれは、とっさに横方向に飛び避け、そのまま地面にダイブする。

「ドーン!」

予想通り、近くで爆発が起こる。


あいつ・・・おれが追ってくることも織り込み済みだってことか。

町中の物を爆弾に変えて、おれを仕留めようとしているんだ。

だが、大丈夫だ。

おれには、この能力がある。

危険を感じた瞬間、周りにあるものから距離をとればいい。

それに、爆発した後を辿っていけば、あいつにたどり着くことができる。


“神技”か。

あいつも名前をつけてたな。

おれもなにか・・・。

危険を感じとる・・・。察知する・・・。

よし、決めた!!

おれの“神技”は“危険察知(リスク・キャッチ)”だ。

ネーヤ、まってろ!

おまえの仇は討ってやる。

この能力で、タレスを倒す!!



















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