新章 本能寺の変
1582年5月の京。
まだ陽が上らないある早朝。
みすぼらしい家に1人の女性が激しくドアを開け大声で叫ぶ。
「起きろ!!!」
家中に響き渡る声だったが、返事は返ってこなかった。
女性はおかまないなしに部屋に入る。
そして勢いよく襖を開ける。
そして再び大声で叫ぶ。
「もっさん起きろ!!」
感高い声でようやく起きる。
「う、うん...な、なんだよ...」
「起きろってばさ!」
「んあ!!デカいおにぎり」
女はため息を吐いた。
「デカいおにぎりってなんだよ」
男は寝ぼけていた。
「早く起きてよ」
男は寝ぼけながら周りを見た。
「まだ薄暗いじゃないないか!!」
「もう朝だよ」
「なんだよ!何しに来たんだよ!また向こうの家から抜け出してきたんかよ!」
「違うよ...皆んな寝てるから普通に出てきたの!」
男は呆れ顔になった。
「それを抜け出して来たって言うんだよ...んで用件はなんだよ」
「用件なきゃ来ちゃダメなのかよ!こんな可愛いあたしに朝から会えて嬉しいでしょ」
「は?用もないのに来たのかよ!しかもこんなに朝早く...」
「嬉しいだろぉ!!」
「嬉しくない!!早く戻れ!また信長にバレたら面倒だぞ」
女は不貞腐れた様子で口をとんがらせた。
「あの人嫌い、なんかすごいえらそうに話すし...蘭丸さんは男前だけど...」
頬を赤らめた。
「なんだよ...藤堂さんじゃないのかよ...顔がよければ誰でもいいのかよ!」
「あーーー!その名前だすかねぇ!!」
「もう勘弁してくれ...それにお前だいぶキャラ変わったぞ...まぁいいわ...俺はまだ寝る」
男は布団を頭から被り再び寝むることにした。
「もう...せっかく起こしてあげたのに...」
女はぶつぶつと呟きながら家を後にした。
数時間後、男はようやく起き出した。
「ふぉぁぁよく寝た...」
ぼーーっと辺りを見渡し大あくびをかいて髪をかいた。
「んーそういや...わかめちゃんが来た気がする...」
寝ぼけながら立ち上がり厠に向かった。
この男は前作でも主役だった坂本透
そして女の方は鳥羽伏見の戦いで、鈴木康孝の悪ノリで大砲で砲撃されたはずのゆいかであった。
なぜこの2人が一緒にいるのか...。
なぜ戦国時代にタイムリープしてるのか...。
この先の物語で徐々に明かにされて行く事になる。