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第22話 銀髪美女アスターシア


 ――――――――――――――――――――――――


 アスターシア 人族 女性 LV1


 特性:隠蔽看破


 戦技スキル:なし


 魔法:なし


 装備:ボロボロの布の服 変身の耳飾り


 賞罰:なし


 ―――――――――――――――――――――――――



 は!? 俺とステータス表示が違うぞ!



 ステータス値の表示がされないし、ジョブもアクティブスキルもパッシブスキルもない!



 それにLV表記があるし、あと特性ってなんだ? 俺にはない項目だぞ?



 ステータスウィンドウに示された、シアの持つ特性である隠蔽看破に触れ、詳細を表示する。



 ―――――――――――――――――――――


 ランク:SSR


 スキル名:隠蔽看破


 種別:アクティブスキル


 効果:隠蔽魔法、隠蔽の付与された魔法の道具によって隠蔽された物が全て見えるようになる


 ―――――――――――――――――――――――



 詳細で表示させると、アクティブスキルとして表示されるな。



 つまりガチャのスキルガチャにも、シアの持つ特性である隠蔽看破は存在してるわけか。



 特性=アクティブスキルとパッシブスキルって感じなんだろう。



 シアのステータスを確認したら、『渡り人』の俺と、この世界の住民であるシアはステータス欄が違うことが判明した。



 つまりステータスを改ざんしないと、何らかの方法でステータス表示を見られた時点で、俺が『渡り人』だとバレるわけか……。



 あって良かったステータス隠蔽だな。



 ステータス欄の違いに気付いた俺は、さらなる違いがないか、シアのステータスを食い入るように確認する。



 ん? んん? んんんっ!?



 めっちゃ普通に見逃してたけど、名前が違うし、性別が女になってる!?



 普通に男の容姿をしてるのに! 表示がバグってるのか?



 ステータス欄の名前と性別が違っていたため、視線をシアに戻した。



「は? はぁああああああああっ!? ちょ!? なっ! おい! どうなって――!?」



 視線を向けた先には、俺へ耳飾りを差し出す、長い銀髪を垂らした蒼い眼の美女がいた。



「『わたしのすべてを見せろ』とのアオイ様のご指示通りに致しました。これで信じて頂けますでしょうか?」



 突如現れた銀髪の美女に頭が混乱しそうになる。



 落ち着け、俺。深呼吸してからよく考えろ。



 乱れた思考を整えるため、深呼吸をする。



 膝の上のガチャを撫でまわし、精神統一をはかった。



 落ち着きを取り戻すと、女性に変化したシアに視線を向け話しかける。



「その差し出してるのが、変身の耳飾りか?」



「はい、これを使い性別を偽っておりました。この魔導具は使用者を別の容姿に変化させるものです」



 差し出された耳飾りに触れ、鑑定を発動させる。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――


 変身の耳飾り


 効果:装着者を対極の容姿へ永続的に変化させる。


 解説:小さな赤い宝石がついた耳飾り。装着すると容姿が変わり、耳飾りは見えなくなる。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――



 アスターシアの言った通り、容姿や性別を永続的に変化させる効果が付いてるな。



 ボサボサ髪の冴えない大柄なおっさんは、銀髪美女の対極だったというわけか。



「つまり、男性のシアは存在せず。女性であるアスターシアが変身の耳飾りで姿を偽っていたというわけだな」



「はい、その通りです」



「俺にさっき話した身の上話はどこまでが本当だ?」



「全て本当の話です。交易の仕事で訪れた村が、奴隷商の人狩りに襲われた時、両親がこの耳飾りをくれ、男になって逃げるよう言われました。若い女は別の需要がありますので……。男になった後、上手く逃げ出すことができず先ほど話した通り、捕まって奴隷にされてしまい、病気となってデキムスたちに買われ、アオイ様に出会ったというわけです」



 こちらの目を真っすぐに見て話すアスターシアの言葉に、何かを隠している様子も嘘も感じられないな……。



『渡り人』として強力な力を与えらえた俺に、身を捧げてまで庇護を求めるのは、生き延びるということとともに、両親を殺した奴隷商への復讐もあるんだろうか。



 アスターシアの復讐の道具にされるのは、ご遠慮願いたいが。



 ただ生き延びるだけを願うのであれば、俺にもメリットが多いので、提案を受けてもいい。



 聞いてみるしかないな……。



 復讐を望むのなら、ある程度の情報を手に入れたところで別れるしかない。



「お前は両親を殺した奴隷商への復讐を望むのか?」



 俺の問いに、アスターシアの蒼い瞳から大粒の涙が零れ落ちていく。



「……いいえ、望みません」



「復讐する気はないと」



「はい、奴隷商に捕らえられ、放り込まれた獄舎の中でずっと思いを巡らし考え続け、彼らを殺しても両親は帰ってこないとの結論を得ました。それに両親はわたしに『生き続けろ』と言って逃がしてくれました。だから、わたしは生きて、生きて、両親を殺した奴隷商たちよりも長く生ききって、この世界を生を終えることが最大の復讐だと思っております」



 アスターシアは、迷いのないハッキリとした声で、復讐を望んではいないと断言した。



 生きて、生きて、生ききって復讐するか……。



 アスターシアが放り込まれた境遇で簡単に言える言葉じゃないよな。



 俺は目の前にいるアスターシアの決意の強さに好感を覚えた。



「分かった。直接的に復讐する気はないという言葉は信じよう」



「信じて頂きありがとうございます」



「もう1つだけ確認したい。本当に俺に身を捧げてもいいと思っているのか?」



 涙を拭ったアスターシアは、俺の手を握る。



「はい、デキムスの仲間に殴り殺されそうになった時、神様へ生き延びたいと願ったわたしに、アオイ様を遣わしてくれたのだと確信しております。ですから、この身はアオイ様へ捧げるべきものと思っております。そうすれば、わたしの願いは叶えられるはずですので」



「俺がお前をデキムスたちや別の奴隷商に売り飛ばすと思わないのか?」



 こちらの質問にアスターシアは顔色も変えず、真っすぐに見つめてくる。



「これでも交易商人の娘です。人を見る目は持っています。アオイ様がそのようなことをできる人ではないはず。それにわたしが有能さを示せば、切り捨てられることもないでしょうし」



 この世界の一般常識と、アスターシアの持つ隠蔽看破は俺にプラスに働く。



 総合的に判断して、提案は受け入れるべきだな。



 俺の右手を握っていたアスターシアに手に、左手を添えた。



「分かった。アスターシアの願いを聞き届ける。お互いに生き延びるため、協力しよう」



「願いを聞き届けて頂きありがとうございます! これよりは、アオイ様のため持てる力の全てを捧げます」



 ガチャが俺とアスターシアの顔を交互に見て、レバーを回して喜んでいる。



 頭のいいガチャのことだから、話を聞いてて、アスターシアと俺が仲間になったことを理解してくれだんだろう。



「ガチャも協力してくれよ」



「ガチャ様、これからよろしくお願いします」



 レバーを回して喜んでいたガチャのお腹が盛大な音を発した。



 そう言えば、ずっと走って逃げてたからな。



「飯にするか。連中から奪ったバッグの中に干し肉があったから、それを食べようぜ」



 ご飯と聞いたガチャが、レバーを激しく回す。



「でしたら、わたしがすぐに準備をいたします。雑用は、わたしでもできますので」



 外に出していたバッグの中をアスターシアが探り始めた。


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