表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part2-マレーシア編
94/215

その6-01

ブックマーク・評価★・感想・レビューなどなど応援いただければ励みになります!どうぞよろしくお願いいたします。

このエピソードでもかなりの名前がでてきましたが、一体、誰が誰なんだ? と思われるかもしれません。

身内の話も多く、混乱させてしまったかもしれません m(_ _)m

今、“柴岬一族”の家系図を作ってみました。これから、どうやって、イメージをサイトに上げるのか確かめてみますので、お待ち下さい

『お嬢さん、飲み物でもいかかです?』


 プールサイドのビーチベンチで、気だるげに寝そべっている美花の上に、スッと影が差して、美花はかけていたサングラスを半分だけ上げて、その影を見上げるようにしてみせる。


『あら、ハンサムさん。なに? 私に飲み物を買ってくれるわけ?』

『美しい女性を誘えるなら、なんなりと』

『だったら、特別おいしそうなやつね』

『かしこまりました』


 気取ってお辞儀をしてみせる相手は、プールの中央にあるバーにゆっくりと歩いていく。


 それで、美花は座りなおすように起き上がって、サングラスを頭の上にかけなおすようにした。


 バーから二つのグラスを持って戻ってくる男が美花の前に来て、ピンク色のフロストが入った長いグラスを差し出した。


 美花がそれを受け取ると、男は隣のベンチにスッと腰を下ろしていく。

 美花がストローを口に近づけていき、最初の一口をゆっくりとすすり出していた。その傍らで隣の男を横目で確認するようにする。


 かなり日焼けした腕や顔が、この灼熱の太陽にも負けずにゴールドに輝いていて、ふわふわと、くせのある色落ちした髪の毛がキラキラと反射していた。無造作にベンチに寝そべったその体は細身ではあるが、シャツの下の引き締まった体躯は、かなりの筋肉質の体だ。


 気取ってなく、ラフな感じの魅力的な男だった。


『牧場はどうしたのよ』

『手伝いに任せてきたから、いいんだ。クリスマス用に酒ダルも残してきたし』

『それで、ボスは一人で常夏を満喫するのよねえ』


 男は美花の方を見ながら、くすっと笑う。


『いいじゃん。親戚一同、全員集合の集まりだろ? Nana とPop にもずっと会ってなかったし。二人とも、年取ったなあ』

『そうね。なんだか、ちっちゃくなっちゃって』


 なんとなくしんみりする美花だったが、気を取り直して、またストローを口に寄せていく。


『セス、あんたのガールフレンドはどうしたのよ? オニイサマは、随分、お盛んじゃない』

『まあ、あのブロンドも悪くはないかな。胸はないけど、足が長いし。ケード好みだな。あの足が』


 美花は皮肉げにちょっと口元を歪めてみせていた。


『セスは昔っから、胸のデカイ女に目がいくもんね。ああ、嫌だ、嫌だ。いかにも下半身で動いてる男達は、ダメよねぇ』


 にかっ、とセスが破顔してみせ、

『やっぱり、男だし。それくらいしか、楽しみがないじゃん。でも、俺は美しい女性にも、優しい男だぜ』

『そうかしら』

『そうだろ? ミカのドリンクも買ってきたじゃないか』


 美花の口元が、微妙に笑いを堪えているような感じだった。


『相変わらず口が上手いこと』

『そんなことないぜ。――おっ、チビ共だ』


 向こうからやってくるちっこい二人組みを見つけて、セスは寝そべっている姿勢から、スクッと身軽に起き上がった。


『おっきくなったなぁ。上はいくつだって?』

『3歳よ。下のはこの間で1歳』

『へえ、それでもよく動いてるな』


 セスは自分達の方にヨテヨテと歩いてくるチビ共を見ながら、嬉しそうにその笑顔を大きくしていた。


『ほーら、二人のおばさんとおじさんですよー』


 美花の母親が小さい二人組みを連れて、美花達のベンチにやってきた。


 大きい方の兄は、美花とセスを見るなり、パッと美花の母親の後ろにすぐ隠れてしまった。それで、足の間から二人を、じぃっと、観察しているようである。


 だが、転びそうになってヨタヨタと歩いてきた弟の方は、前歯を出して二人に笑いかける。アー、アー、と大喜びでベンチに走り寄ってきた。


『おっ、元気だな、こっちは。お兄ちゃんは、人見知りかな?』


 セスはちっこい方に腕を伸ばして、スッと、身軽に赤ん坊を抱き上げた。その反動で、赤ん坊が嬉しそうに手足をバタバタ動かしまくる。


『おっ、元気だな。こんな暑くても、元気なことはいいぞ』

『どうしたのよ。子守りなの?』


 美花は自分のベンチの足元を譲るようにして、奥にちょっと座りなおしていく。

 その空いた場所に、美花の母親がゆっくりと腰をかけていき、足元にまとわりついている兄の方を抱き上げた。


『そうよ。サフロンも忙しいでしょう? だから今朝はゆっくり寝れるように、ね。それに、おばあちゃんだって、ずっと会ってなかったものねえ』


 美花の母親にべったりしがみつくようにして、その小さい兄の方は、一向に美花達の方を振り返らない。


『エーサン、ミカおばさんよ。もうずーっと前に会ったきりだから、忘れちゃったでしょ。こっちはセスおじさんよ。そんな恥ずかしがらないで』


 ちろっと、美花の方を一瞬だけ見たエーサンだったが、すぐにまた美花の母親の胸に顔を埋めてしまっていた。


『ここに着いて以来、ずっとそればっかりねえ。ちょっと傷つくわよ』

『仕方ないわ。たくさん知らない人がいるんだから。ねえ、エーサン? いっぱい、パーティーにも来てたでしょう?』


 美花の母親には返事をするようで、モゴモゴと、何かを美花の母親の胸元に向かって話している。


『セスも、久しぶりね。昨日、着いたんでしょう? パーティーじゃ、みんな忙しくてゆっくりと話す機会がなかったもんね』

『伯母さんも、久しぶり。おばあちゃまは休暇中も大忙しだな』

『あら、ここだけよ。帰ったら、また離れ離れだものね。今だけ、ね?』


 美花の母親の春香は日本人のせいか、3人の成長した子供に孫までいるのだが、未だに若く見える女性だった。


『叔母さん、いつ見ても若いな。俺がもうちょっと年上だったら、すぐにデートに誘ってるのに』


 まあ、と美花の母親はやんわりと笑っている。


『セスは口が上手いのね』

『セスの得意技よ』

『あら、そうなの? だったら、その得意技でたくさんの女性もコロリ、かしらね?』


 美花の母親はお茶目な母親である。セスも笑っているような顔をしていた。


『ケードは彼女連れだったわよ』

『そうだな』


 美花の母親の顔が、セスを意味深に眺めている。


『俺はいいんだ。そっちの方はケードに任せてるから』

『あら、そうなの? セスだって、忙しい、って聞いてるわよ』

『俺は牧場があるし』

『あらあら。そういうことにしておいてあげましょうかしらね』


 くすくすと、美花の母親はおかしそうに笑っていた。


『そう言えば、ガブリエルの所は結婚が近いって言う話だけど』

『ガブリエルが? ――まあ、あそこは付き合いが長いからぁ。愛しの幼馴染だし』

『そうね』

『あの一家は、一家揃ってアツアツだからいいんじゃない?』


『そうねぇ。でも――、うちの残りの子供たちはどうしたのかしらね。靖樹は30才になったのに、全然、そっちの話が上がってこないし。私の一人娘も――そんな話が上がってこないわねえ』

『私はいいのよ。現代の女は、早々、簡単に結婚決めないのよ。しっかり見極めて、いい男を捕まえないとね』

『選り好みが激しいのもねえ……』

『いいじゃない』


『でも、私だっていつまでも若いままじゃないからね。いつになったら、次の孫が見れるのかしらね。60前に作らないと、疲れちゃうから面倒みれないわよ』

『60過ぎても気持ちは若く、でしょうが。ママはね、若いからいいのよ』

『ああ、次の孫も見たいわぁ。今度は女の子かしら。それとも男の子かしら。この家系は男の子が多いものねえ』


 美花を無視して話を続けている美花の母親に、美花も、うんざり、との顔をしていた。



読んでいただきありがとうございました。

一番下に、『小説家になろう勝手にランキング』のランキングタグをいれてみました。クリックしていただけたら、嬉しいです。


Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングタグ、クリックしていただけたら嬉しいです (♥︎︎ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
小説家になろう 勝手にランキング

大人になってもはちゃめちゃ恋愛物語『やっぱりやらねば(続)』は大人の恋愛編です。
やっぱりやらねば(続)(18歳以上)

別作品で、“王道”外れた異世界転生物語も、どうぞよろしくお願いいたします。
奮闘記などと呼ばない(18歳以上)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ