その4-01
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【マレーシア編】では、ほぼ旅行記になりつつあります。簡単に旅行ができない日が続いていますので、せめて、お話の中で楽しい観光など経験出来たら、と?
真冬から常夏のビーチにやってきて、今年の龍之介のクリスマスは最高である!
今朝も、朝早くから、一人、早起きをして、ビーチに駆け込んでいったほどである。
まだ、熟睡しているアイラを置いて、龍之介は朝食前の一泳ぎ――ではないが、一気に、海にダイビングである。
マレーシアのリゾート地に着いてから、アイラの親戚中が集まって、ワタワタ、ワイワイと賑やかで、それだけでも楽しい一日だった。
今日は今日で、クリスマスパーティーが予定されているらしいから、泳ぎ終えた龍之介も、今日の一日の予定が、今からでも楽しみである。
ものすごい数の親戚が集まってきて、それに驚いている龍之介の前で、全員が全員参加するクリスマスパーティーになるようだったから、一体、どんな賑わったパーティーになるのか、本当に楽しみだ。
まさか、真冬の北海道から、常夏に移ってクリスマスを過ごすなど、一体、誰が考えただろうか。
ああ、龍之介の大学生活も、満喫できているではないか。
今日は、夜にパーティーがあるので、アイラの親戚達は、のんびりとした一日を過ごすらしい。
アイラからも、出かけるのは後にしましょうよ、と誘われているので、龍之介は、朝食後も、また、ビーチにでも戻ってこようか。
「あら、龍ちゃんって、相変わらず朝早いのね」
ふわっ、とあくびをしながら、部屋から出てきたアイラが、ビラに戻ってきた龍之介を見て、呆れている。
「よう、アイラ。廉も起きてたんだな」
「お早う、龍ちゃん」
廉は着替えも終えて、ソファーに座っていた。室内のテレビで、ニュースでも見ていたようである。
「もう、お腹空いちゃったぁ」
「だったら、すぐ、シャワー終わらせてくるな」
「そうしてよ。まず、朝食済ませてから、二度寝するわ」
「――するのか?」
「そうよ」
そして、あまりにあっさりと、簡潔に言われてしまった。
「でも――せっかく、常夏のリゾートに来てるのに――もったいなくないか?」
「あら、大丈夫よ。まだまだ、休暇は続くんだから。今から、しっかり体力溜めておかないとね。しっかり遊ぶわよ、龍ちゃん」
「おうよっ」
「早く、シャワーしてきてよ。お腹空いたわ」
いつもながら、それを偉そうに言いつけて気も、龍之介は気にした風もなく、すぐに頷いていた。
「すぐに終わらせてくるぜっ」
ダッ――と、一気に駆け出してバスルームに駆け込んでいった龍之介は、さすが、高校でも俊足と知られる早足だ。
「龍ちゃんって、いつでもどこでも元気よね」
「そうだね」
マレーシアにやってきて大はしゃぎの龍之介なら、シャワーで鼻歌でも歌っていそうである。
「ミカさんも待つの?」
「ミカ、まだ起きてないの?」
「まだだよ」
「じゃあ、寝かせておけば? ミカが起きたら、勝手に、レストランに来るでしょうから」
「起こさないの?」
「いいのよ。ホリデーなんだから、寝させておけば。――それより、何時に起きたのよ」
「6時半過ぎかな」
アイラは寝坊ではないが、まだまだ、睡眠不足なので、無理矢理、8時前くらいに起きてきたものだ。
アイラから、早起きなんてしないわよ、と言いつけられている龍之介だけに、アイラの起きる頃を見計らって戻ってきた。
「ねえ、朝食食べ終えたら、龍ちゃんと遊びにいってもいいけど、午後には帰ってくるのよ」
「遊びにはでかけないだろうけど。――午後の予定はなに?」
「今夜はクリスマスパーティーよ。遅れるなんて、許されないんだから」
「それって、何時頃?」
「6時に夕食よ」
「早いね」
「そうね。でも、夕食を早くして、その後は、宴会もあるし、長いわよ」
「アイラの親戚がいるから?」
「そうね」
あまりにあっさりと言いきるアイラを見やりながら、アイラの親戚交えて、かなりの大騒ぎになるのだろうか――などと、そんなことが、廉の頭にも浮かんでいた。
「今夜は、パーティーだわっ」
旅行だけで喜んでいるのではなく、なんだか、アイラは今夜のクリスマスパーティーを――かなり期待している様子なのだ。
それで、廉も不思議そうに少し首を倒してみせ、
「そんなに嬉しいものなのかい?」
「当たり前じゃない。年に一度のお祝いよ。おまけに、全員が揃ってるから、派手なパーティーになるわぁ」
「――その――派手なパーティーという定義は、ものすごいドンチャン騒ぎ、ってこと?」
「あら、いいじゃない」
否定もせずに、あまりに簡単に断言されて、そこで、全て納得していた廉だったのだ。
アイラの勢いもかなりのものであるが――もしかしなくても、アイラの親族だって、アイラに負けずの勢いで、ドンチャン騒ぎをするかもしれないだろうことを――なんだか、簡単に想像できてしまった廉だった。
* * *
アイラと美花は、まだまだ時間がありそうなののに、3時を過ぎると、すでに自室に戻ってしまって、今夜の為に、すでに、パーティーの準備に取りかかると言う。
その話を昼食時に聞いた龍之介には、なぜ、数時間前からパーティーの支度になど取り掛からなければならないのか、全く理解できず。
「そんなに、なに、支度するんだ?」
だが、その素直な一言に、ギロッと――アイラだけではなく、美花からまでも両方で、冷たい眼差しが龍之介に投げつけられたのだ。
「龍ちゃん、女性の支度には、口を出さない方がいい」
自分の昼食を食べ終えた廉が、龍之介の隣りで親切にそれを囁いた。
「いや、でも――だって、確かに、クリスマスパーティーだけど、夕食前に着替えりゃいいんだろ?」
「龍ちゃん、あんたね、その程度で済まされると思ったら大間違いよ」
「え? なんで?」
「ちょっとね、龍ちゃん、この前、言った通りに、ちゃんとスーツは持ってきたんでしょうね」
「え? ――ああ、それは、一応、持ってきたけどさ……」
マレーシアに来る前に、アイラから、ものすごいしっかりと念を押されて、言われて――言いつけられたので、龍之介も仕方なく、紳士服売り場に言って、手頃なスーツを買う羽目になったのだ。
なぜ、常夏のリゾート地にスーツが必要になるのかは、龍之介の理解を超えている。
それを質問した龍之介にも、
「いるんだから、いるのよ。絶対に、忘れずに持ってきなさいよ。スーツ一つも持ってなかったら、ディナーなんかに連れてかないわよ。スーツ一つ、着飾れなくてどうするのよ」
などと、理解できない注文――要請をされて、本当に仕方なく、龍之介は常夏にスーツの一着をもってきたのだった。
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