その12-2
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2月7日は“ローズの日”。ロマンチックに薔薇を送り日だそうです。アイラにそんなロマンチックな相手が?おまけに、アイラがそんなこと感動するの…?
「まあ、それはいいとして――次の授業が終わり次第、藤波と一緒にお昼頼むな。生徒会室で待ってるから」
「俺も――生徒会室に、行っていいのか?」
実は、ほとんどの生徒もそうだが、全生徒の実験を握っている多大な生徒会だけに、生徒会室の出入りを許されるのは、もちろんのこと生徒会役員と一応の管理の教師だけである。
龍之介は3年間この学園にいるが、生徒会室の中にはいまだに足を踏み入れたことがなかった。
「あそこなら、ゆっくり話もできるしね。丁度いいだろうさ」
ピィ――と向こうでホイッスルが鳴って、廉達のグループの試合が終わっていた。
「龍ちゃん、デザートも買えるならヨロシク」
「え? ――ああ、それはいいけどさ…」
「頼りにしてるよ、龍ちゃん」
大曽根はそれだけを言い残して、スッと立ち上がっていた。次は大曽根が混じったグループの試合なので、コートに歩き出した大曽根はこっちに向かってきた井柳院にほんの一瞬何かを話しかけたようで、井柳院の瞳が一度だけ座っている龍之介の方に向けられた。
それで、ポン、と大曽根が軽く井柳院の肩を叩いて、自分はコートに整列していく。
大曽根と交代で井柳院が龍之介の隣の開いた場所にやってきた。
「お前、なにやったんだ?」
「何も、してない……よ」
「そうか?それで全員集合、ってな。それはすごい」
井柳院は大曽根と同じで特別驚いている様子もなく、そんな口調でもなく、ただ淡々としていた。
「井柳院――も……知ってるんだよな。生徒会役員だし」
「まあな」
それで、龍之介はまたちょっとだけ拗ねたように口を尖らせてしまっていた。
「なんだ?」
「いや――なんでも、ないけど」
ふうん、と井柳院は特別それを追求する風でもなく、ただその横目で龍之介を見ていただけだった。
「二人で内緒話なんだ」
龍之介の前に影が差して、顔を上げた前には試合を終えた廉も戻ってきていた。
「まあな。だから、仲良くランチだぜ」
へえ、と廉はそんな相槌を返し、井柳院の隣にゆっくりと腰を下ろしていく。
「受験が近いから体育なんてやめさせればいいのにな」
「授業の一つだから、仕方がないだろう?」
「進学校は体育に力を入れてないから、特別、続けなくてもいいんだ」
「それは知らなかった。だったら、なんで体育が続いているのかな」
「さあな。教師の趣味だろ」
二人は龍之介の会話に戻ってくるのでもなし、他愛無い会話をし出していた。
「藤波と菊川は、買出し係り、だそうだ」
「なるほど。まあ、龍ちゃんがいるから、買出しは心配じゃないけど、たくさん買わないとダメだろうし。たくさん食べるのがいるから」
「たくさん食べるのか?」
「まあ」
この間の、チョコレートクリームやらの入った袋も、ペロッときれいに平らげたあの本人の食べっぷりを見ていれば、井柳院にも全く不思議はなかった。
「――デザート……も、って大曽根が言ってたぜ」
「へえ」
「それは、寛大で」
「癪に障るんだって、さ。――なんだか知らないけど。ランチ一つも提供できない能無し――とか言ってたけど」
「ああ、うん。なるほど」
「ああ、なるほど」
二人は妙な同意をみせて、そこで変な相槌をしていたのだった。
よく判らない龍之介は、気味悪そうにその二人の揃って同意する態度を見ていたのだった。
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