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やっぱりやらねば  作者: Anastasia
Part1-出会い
5/215

その1-05

 この二人、歴代の生徒会人員に負けず劣らずで、東大をストレートで合格し、後には、代議士にでもなるであろうと予想されているくらいである。

 互いに否定する所を見せない限りでは、あながちこの噂も間違ってはいないのだろう。トップに立つことを生きがいとしているような性格が、全てを物語っていた。やはり、昇りきるなら、最後まで昇りつめなければいけない。


 日本のトップに立って。


「見かけない生徒だったような」

「確かにな」


 大曽根と井柳院が揃って、納得がいかない、と言ったような表情をしてみせる。


「なんで?」


 もちろん、龍之介は不思議そうにその二人を見上げる。


「この時期に転入生というのは、滅多にあることじゃない。編入してきたにしては、そう言った噂も聞かなかったような」


 ふむ、と少しだけそっちを向いて一人で考え出してしまった大曽根を見て、龍之介がちょっと顔をしかめるようにした。


「おいおい、また、「これは探っておかなきゃ」とか考えてるんじゃないよな」

「それは、人聞きの悪い。探る――なんて、物言いが悪いな」

「ただの確認、って言うことになるな、この場合は」

「確認ね、確認」


 しらーっと、龍之介の冷めた目が二人に向けられるが、二人はにこやかにその笑みも崩さず、

「龍ちゃん、どうしていつも俺達のことを悪者みたいな言い方するのかな」

「大曽根は裏で絶対何かしてそうな顔だけど、俺はいたって真面目な生徒なのにな」

「それはひどいな」

「その万人面(ばんにんづら)が怪しい」


 わざわざ指を指して、指摘する井柳院に大曽根の冷たい眼差しが返される。

 いつものことなので、その二人を無視して、龍之介が廉に向いていた。


「その――女生徒、どうしたんだ? 具合悪かったん?」

「うーん、そうみたいだね。その後は、眠ってしまったようだけど」

「ええ? ただ単に眠かっただけじゃないのか?ずっこいなぁ。俺だって朝寝したいのに」


「龍ちゃん、そうやって物事を決め付ける傾向はよくないな。事情を知ってから、断言した方がいいぞ」

「だってな」

「まあ、菊川はなんでも興味があるだろうけど、次は数学だし。準備した方がいいだろう?そっち二列は今日の課題組みじゃないのか?」


 げっ、とそれを思い出したらしく、龍之介の顔が一気に引きつっていった。


 課題組みに当たった列の生徒は、授業の前半に黒板に上がって出された問題を解かなくてはならない。クラス全員の前で復習をさせられる羽目になるのだが、自身で復習をしていないとすぐにバレてしまう方法だけに、気を抜いていられない特訓である。


 げげぇっ、と更に龍之介の顔が引きつっていき、龍之介は大慌てで自分の机に戻り出した。


 くすっと、その背中を見送っていた二人も自分の席に戻り出してていく。


 廉の列も含めて課題組みになっている為、それぞれに席に戻り出して行く友人を見やりながら、廉も少々溜め息をこぼしていたのだった。



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